未来は
なぜこんなことになってしまったんだろう。
あの時、あれ以上私に何が出来ただろうか。
消えては浮かび、浮かんでは消える自問自答と不安感。こんなはずでは無かった。私が思い描いていた未来はー
「おかーさーん! みてみてー!ねーきいてるー?」
浮遊していた思考が突如として引き戻され、はっと我に返る。
「あ、ごめん。なになに?」
「もういいっ!おねーちゃーん!」
「もうっ」とため息をつきながら洗濯物を畳む。娘たちは、仲良く遊んでいる。笑い声が響く。まだまだ家事は終わらない。…大変だなぁ。でもやる事は、結婚していた時と変わらない。単身赴任の家庭も一緒のはず。
でも、なんだろう。この抉られたような、心の穴から出てくるどす黒い…得体の知れない気持ちは。
嫉妬? 焦燥感? 不安? 恨み? 辛み? 罪悪感? ……孤独。
まさか。
「はい、おかーさん。プレゼント♪」
百均のビーズで作った、うで輪。
キラキラしてとても綺麗。
「ありがとう!」と大袈裟に笑って抱きしめる。頭を撫でながら私は思う。ごめんね。
ごめんね。あなた達からパパを引き離してしまった。奪ってしまった。本当にごめん…。私の決断が娘達のハンデにならないだろうか。娘達は無事に成長してくれるだろうか。常に頭を過る。大人になった時、仕方が無かった事だと受け止めてくれるのだろうか。私の元に生まれて良かったと言ってくれた時、私の気持ちは救われるのだろうか。
おかーさん?きにいった?わたしのうで輪。
あったかいなー。いいにおいだなー。
おかーさん、たたむのがおわったらあそぼう!
うん、遊ぼう!コチョコチョしちゃうぞー! あははは うふふ
私は、今日も笑う。それは、未来のため。子供達の未来のためだ。このドス黒い得体の知れない気持ちを隠しながら。笑った数だけ、黒い気持ちが薄まるのだろうか。
きっと薄まるはずと信じながら。
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