2017/10/17
今年も、気づけばオリオン座が見える季節になっていた。
「オリオン座だよ」「ほんとだ」
こういう会話をいつかきっとしたのだろう。幼い頃、父は星座盤をくれたりプラネタリウムに連れて行ってくれたりしたから、星座の形も知っていたし、オリオン座のこともたぶん、知っていた。
でも、「ほんとだ」なんて嘘だった。私が本当にオリオン座を見たのはもっとずっと後のことだったから。今住んでいる家に引っ越した後の話だから、10歳ぐらいの時の話だろうか。初めてオリオン座を目にした時は、想像していたよりもずっとずっと大きくて、夜の空を飲み込んでしまいそうな大男が本当にそこにいるように思えた。
星座を作った人が誰だかは知らないけど、白い長いひげを生やしてて、こどもみたいな目のまま大人になった人なんじゃないかなと。そうだといいな。点の集まりがオリオンに見えた時はどんなことを感じたのだろうか。
空は地図だと思う。ほんとは全然違うところにいるお隣さんどうしを線で結んで道を作って、それが星座になって、それが合わさって地図になっている。そんなことを考えながらゆっくりと夜が過ぎて行くのを待つのも悪くない。
(2017年10月17日のこと)