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東京援農レポ③三鷹・冨澤ファームさん2日目

札幌で援農ボランティア団体「援農おやつ部」を運営しているマツモトです。東京の援農レポートが続きます。今回のレポートはわたしの気づきが大きい分、このシリーズで最も力入ってますので、ぜひ最後までお付き合いくださいm(__)m

〈東京の日程〉
三鷹・冨澤ファームさん1日目
拝島・Y-Farmさん
三鷹・冨澤ファームさん2日目 ←イマココ
町田・農コン見学
町田・あした農園さん
町田・NPO法人たがやすの事務局長とお会いした


この日の農作業

三鷹の冨澤ファームさん2日目!また昨日お会いしたボランティアさんもいらっしゃってました。白菜を少し収穫してから、人参の収穫へ。

立派な白菜。美味しそう…
この日も爽やかな朝日で◎
人参は抜いたそばからアロマティックにいい香りが…!

くどいですが、朝から畑で土に触っていると、間違いなく達成感に満ちるというか、絶対的に正しい感覚を得るというか、来て良かったなという気持ちになりますね…(宿から2時間以上通勤電車に揺られた人💦)
俗にいう、ととのうというアレでしょうか…。そうだ、得したって感じです!逆に雑なワードになりました…笑

2日目なので、少し場に慣れた分、「働くぞー!」という気合も少し上がっている私でした。

再び小松菜収穫

この日は8時から別のボランティアさんが来て、彼女は昼間でお手伝いするとの事だったので、わたしも便乗してお昼までいることにしました。柔軟に受け入れていただいて、ありがとうございます!お昼までの作業は人参と小松菜の洗浄、選別と計量、パッキングでした。

彼女は数年前までSE職でバリバリ働いていて、今は人生の方向性を考え直し農業にも興味がある段階だそうで…。
この日は冨澤さんも含めて、農作業しながらとか休憩や移動の時間通じて、雑談から人生論まで色々な話ができた日になりました。

収穫①冨澤ファームにはなぜここまで人が集まるのか

今年10月に出た「金持ち農家、貧乏農家」という書籍をご存知でしょうか?
こちらの本の中で”人集めを工夫している農家”として冨澤ファームさんのことも紹介されています。

農家じゃないですがめちゃめちゃ面白いです!

年間約1000人のボランティアを受け入れているという冨澤ファームさん。とうきょう援農ボランティアに登録して、お手伝いを随時募集しているのはもちろんですが、独自のしかけがあります。毎月第4土曜日には畑のオープンキャンパスというのがあり、子どもも含め沢山の人が集まって一気に農作業をするのだそうです。お昼ご飯には、学生さんなど若い人が中心になって賄いを用意。畑の美味しいご飯を囲んで、多種多様な人たちが知り合い交流する場所になっているみたいです。この本によると、ボランティアにやってもらう作業を時給換算したら年100万円以上になっていることもあるのだとか…。計算しようという発想も含めて、凄くないですか(笑
さらに冨澤さんは営農しながら短大の非常勤講師もされているそうで、そのつながりで学生さんが畑に来ているのもありそう。農園内にある加工所では菓子製造の許可もとっているので、学生さんが主体となった加工品の製造もしているそうです!

こちらお土産に頂いたんですが、米粉&ヘルシーで美味しかったです!!
ペロッと完食しました。

小学校の夏休みに合わせて早朝のキッズ援農を受け入れたり、他にも若い人が主体になってイベントが行われたりと、様々な企画が湧き水の如く生まれてます。

「なんで冨澤さんのとこにはこんなに人が集まるんですかね~、、」と、一緒にいた元SEのボランティアに聞いてみたところ、なんでだろうと首をかしげつつ、「いろんな人が来てて楽しいんですよね。あと、冨澤さんの露出も多い」との返答。確かに冨澤ファーム、上記の本もそうですが、映画人と仕事にも出演していたり(有村架純ちゃんが農園に来たそうですよ!)。都内のあちこちイベントや講師役にも呼ばれ、冨澤さん自身もかなり顔が広いはず…。人が来るところにさらに人が集まるの図。

収穫②ボランティアの使い方が上手すぎ

わたし、個人的には援農をもう7年やってます。色々見てきたから思うのですが、冨澤さんは決定的にボランティアを使うセンスがいい!!おしゃべりも休憩もするけど、やることはちゃんと終わっている。

慣れない農家さんだと、逆にボランティアに振り回されたりするんですよね…。ボランティアに気を取られて自分がやりたい作業が進まなかったり、任せる作業を見誤ったり…。受け入れればいいってもんじゃない、これは真実だと思います。

これ、ボランティアに対する態度の問題だけじゃないんですよね。まず時間の使い方が上手いんだと思います。上に書いたように、非常勤講師など他にも仕事や活動をしている冨澤さんですが、いまのところ農園はワンオペで回してますwこれはヤバい!夏場は早朝4~5時に赤坂のレストランまで野菜を配達することもあるそうなんですが…。

その辺りを冨澤さんにストレートに聞いたお返事はコレ↓

「やっぱりボランティアを入れるにはオペレーションは大事。ひとつには、本当に誰でもすぐできる簡単な仕事をまかせること」と、やはり意識していたご様子です…。前の記事で、ボランティアの募集を7-9時に設定しているのも意味があるのでは!?と推測したのですが、やはりそこそこ合っていたようでした。

ただ冨澤ファームの場合、ボランティアは単純に農作業を手伝って帰るだけの存在を越えて、自主的に企画して働いたり、ほかのボランティアを牽引するボランティアがいたりしますからねw なんなんだろ…まじで…笑

収穫③東京都はなぜ援農ボランティアを支援しているのか

これは今回わたしが東京に行ったら知りたいテーマでもありました。つまり、札幌市は援農ボランティアに対して何の介入もしてません。それどころか農家に対しても…(以下自主的に省略)。

ですが前の記事で書いたように、東京都は援農ボランティアに対して厚いプラットフォームを作ってくれている…(正確には事業委託ですが)。その見返りというか、理由は何かというのを知りたかったのです。

これ、冨澤さんによると「30年前は、東京の農家は行政からも邪魔者扱いされてたと思う。市内に農地があることで周りの土地価格が上がってる、とか…。ところが3.11で状況が変わった。スーパーから物が無くなり、物流が止まって、危機的状況を迎えたところで、東京の農家が何食わぬ顔で食べ物を差し出して、農地は避難所としても使われた。ここで行政と民間人の認識が変わって、住んでいる地域で農業が営まれていることの価値が認められたと思う」との話でした。

これにはとっっっても納得しました!!
そして冨澤さん自身が農家の4代目で、やはり長く地元の農業を見ていること、歴史にも詳しくご自身で分析をしていることが大きいなと感じました。聞けてよかった~~。

札幌では第三者としてどのように農家さんの地位を上げるアプローチをしていくか…ということを考える材料になりました。

収穫④冨澤さんのプロフィールが畑につながっている

冨澤さん(ちなみに今さらですが、畑ではトミーさんと呼ばれているらしい)、不思議なんです…。存在感があるのと同時に、なんか空気みたいに包まれてる安心感を感じる、独特のオーラをお持ちな気がします。

冨澤さんはもともと教師志望だったそうなんです(!)
短大の講師をしている時点で、「農家で授業できる人もなかなかいないのでは…」と思っていたのですが、なんだか合点がいきました。若い人を育成すること自体が「やりたいこと」なのでないかなと…。しかも来春からは高校での指導の話も来ているそうで、ますますミッションを全うされてます!

畑でちょっとした人生相談にも乗っているというトミーさん。結局のところ、農園に積極的に人を呼んでいるのは、見た目としては「ボランティア募集」であるけれども深い根っこのところでは「有機的な人のつながりの場」を創るという目的のため、なのかなと感じました。っていうか、HPでもちゃんと書かれてるほど明言してるので、もう一回リンク貼りますね!

今、冨澤ファームは裏では「トミー共和国」と呼ばれているそうなんです◇

個人的にはトミーさんの多動力と、人を観察して色々察せられる感性が、すごくうまい具合に農園で循環して機能しているなあ~と思いました!

援農ボランティアを使う極意

お昼になって農作業を終え、そのまま冨澤さんお勧めの中華屋さんに連れて行ってもらいました(T T)
中華銘菜 餃子菜館おいしかったーー!

お世辞ぬきにまた行きたい!!お勧めです!

冨澤さんにはさらに格言いただきまして…。

「ボランティアを呼び始めた初めの頃は、やっぱりよく分からなかったんですよ。ボランティアさんに何をやってもらったらいいかなとか、お返しどうしたらいいかなとか。でも気がついたんですよね、どうやらみんな自分で勝手に楽しんでるんだなってことに。そしたら僕はもう場を作るだけでいいんだなって事がわかったんです。」

めちゃくちゃ腹落ち!!!!それですそれ!
(私の感動が伝わりますように…)

ボランティアの使い方が上手すぎるのにも直結です!
なにせボランティア自身も言語化できるか怪しいことを、早い段階で認識しているのが凄すぎます。でも私も結構農家さんに言ってる気がします、「勝手に楽しんでるので大丈夫ですよ」的なことを…。ここはおさえるべきポイントですね。

ボランティアは自然豊かな風景とおいしい空気、その中で土に触って野菜のお世話をすること、どれをとっても日常から離れた新鮮な事で、それだけで気分上がっちゃうのですが、農家さんは当たり前すぎてまさかそこが楽しいだろうとは想像もせず…という図式なんだと思います。

私の話になるんですが、来年のおやつ部の活動では「まだボランティアをあまり入れたことがない(けど呼ぶ資質がある)農家さん」にアプローチしていきたいなと思ってまして…。ここで試行錯誤してある程度のひな型が出来たら、テンプレとかマニュアルみたいなものが作れると思うので。

そのときに絶対農家さんから「どんな仕事を振ればいいのか」「お礼はどうするのか」同じように疑問が来ますから…。これは今後の役に立つ視点でした。

あと思ったのは、援農ボランティアを「単なる労働力」として捉えて、その見返りに何をお礼しようかな?という発想だと、継続的に通ってもらうのは難しいんじゃないかなと気がつきました。今までの経験から振り返るに…という私の推測ですが。

援農ボランティアを入れる目的に、農作業を担う労働力ともう一つ、農家さんにとっての+αがあるといいんじゃないかと思います。そんなに崇高なものである必要もなくて、例えば農家さん自身が…
・人と話すことが好きだから、たくさんお喋りやコミュニケーションしたい
・たわいのない雑談からでも、いろんな業界の情報を仕入れたい
・自分の野菜のファンと交流できるのが楽しい
・料理好きなもの同士で情報交換したり、美味しいもの勧め合いが楽しい
・農業界のリアルな現状や持論を伝えたい(熱いか)
などなど…

「農家自身のニーズ」に援農を絡めてしまう!というのが、継続的な関係になりやすい要素としてあるんでないかなと。そこまでアピールするかは別として、自覚があるか無いかだけでも結構違うと思います。
ボランティアも割と勘がよくて、「単純に労働力だと思われてる」と察すると冷めることもありますしね…。軽んじすぎず、重すぎずの塩梅はちょっと難しいとこでもあり、だからこそ中間に入る私たちが助言やサポートできたらいいなと思うところだったりします。


そんなわけで、大変実りのある冨澤ファームさんのお手伝いでした♪
色んな話ができて、とっても楽しかったです!!

しかも、2日間ご一緒だった常連のボランティアさんに「次は泊めてください🙇🏻‍♀️」とお願いして「いいよー!」と言わせてしまいましたw
たっ、助かりますーーー!(東京の宿代の高さ、、、)

次回は援農おやつ部に今年来てくれた学生さんで、来春から東京に就職が決まっている子がいるので、一緒に畑のオープンキャンパスに行きたいな~などと思ってます♪ 行けるといいな~。

トミーさんのストーリーズから借用して♪
大変お世話になりました

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