【佐塚真啓個展「おばけ館_美術やしき」通信_27~33】2023年7月3日~7月9日
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【佐塚真啓個展「おばけ館_美術やしき」通信_27】
20230703(あと36日)
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真っ白なF130号のキャンバス。
パレットにしている木の板に絵具を沢山出す。
描きだす。
なにも考えないで描いていく。
時々、我に返り、ここにこの色があったらいいな、
こんな感じの線を描こう、
みたいに描くと、急に絵が止まってしまう。
考えないで絵の前で動き続ける。
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ペンで描いている草の絵が全然終わらない。
こればかりに時間をかけていると
他が出来なくなってしまうので、
一時的に手放す決意をする。
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カインズで桟木を10束買う。
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チラシについて牧くんに電話する。
告知が全然できていない不安が膨らむ。
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夜、雨とカミナリがすごい。
ウッドデッキでヨーグルトを食べながら鑑賞。
ピカピカ、ゴロゴロ、ザーザー、壮大。感動。
こんな事が出来たらいいよな~と憧れる。
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【佐塚真啓個展「おばけ館_美術やしき」通信_28】
20230704(あと35日)
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コピー用紙に筆で「み」を
200枚ほど描く。
いい感じの「み」がなかなか描けない。
清水さんにアドバイスを求める。
だんだん文字が崩壊してくる。
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F130号の油絵のつづきを描く。
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油絵具をべったり靴に落として
足元がベタベタ。
普段、多少の汚れは気にしないが、
あまりにもべったりで、洗う。
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家に帰る。
“未来進行形 2023”という学生限定で
Art Center Ongoingを舞台とした展示企画公募
の審査員になっていて、審査する。
応募されてきた企画資料を見る。
見る前に以下5つの審査基準を個人的に勝手に設定し、
1項目5点満点、計25点満点で審査していく。
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審査委員:佐塚真啓_採点基準5項目
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①自由
手放し野放しの自由ではなく、
この社会や世界に存在する制約と向き合い、
そこから少し飛び出し、新しい景色が見えた時に感じる自由。
【個人的最高得点想定事物:私擬憲法】
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②確度
自分の思いつきや考えに
確かさをもって信じられているか。
【個人的最高得点想定事物:ドラえもん/藤子F不二雄】
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③他力
自分以外の力をどのように生かしているか。
他力を引き出す自力があるか。
【個人的最高得点想定事物:法隆寺/西岡常一】
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④生活と製作
生きる事と、つくる事を
どのようなバランスで考え実践しているか。
【個人的最高得点想定事物:円空仏/円空】
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⑤莫迦馬鹿しさ
社会の中で無理、無駄、無意味という言葉で
かたずけられてしまう物事に立ち止まり、
自分なりの視点と姿勢を持って、
愚直に向き合えているか。
【個人的最高得点想定事物:考現学/今和次郎】
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以上の採点5項目を設定したのだが、
審査の難しさをまざまざと感じる。
そもそも、僕自身、公募に通ったことがほぼないので、
落とされる人の気持ちはよくわかる。
なんとなく釈然としない。
だからこそ、選ぶ、選ばない、の根拠を
僕なりに明確にしておこうと思った。
しかし、そもそも
フォーマットもバラバラの
企画書とポートフォリオで
その作家と、やりたい内容を理解することが難しい。
僕のイメージが及ぶ範囲でしか採点が出来ない。
見えてない事、気が付けていない事が
膨大にありそう。
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【佐塚真啓個展「おばけ館_美術やしき」通信_29】
20230705(あと34日)
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朝、アトリエに行き、
三熊くんと、草の絵の額装について相談。
縁の太さを30mmくらいでどうかなと話す。
でも、基本的には三熊くんにおまかせ。
タンソスツールに柿渋を塗って、
その上から鉄錆び水を塗ると黒くなるとと教えてもらう。
少し検討。
「み」を選ぶ。
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奥多摩美術研究所で
ワタリウム美術館で開催される
山田虎次郎展の設営をうけおう事になり、
その打ち合わせに行く。
空間計画を山田紗子建築設計事務所がたて、
そこから指示をうけ形にしていく流れ。
現場の下見。打ち合わせ。
準備設営作業が、
僕の個展と重なっていて、
ケンタロウくん・永畑さんを頭に
うまく調整をしながら進めていく予定。
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奥多摩美術館で、
僕の展示と同時開催予定の
ナスくんと電話で相談。
イベントについて。
チラシについて。
準備、設営の日程について。
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【佐塚真啓個展「おばけ館_美術やしき」通信_30】
20230706(あと33日)
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アトリエで作業。
ケンタロウくんと永畑さんとで
昨日の打ち合わせの振り返り。
どうすればよりよい形にできるか
色々と相談。意見を出し合う。
永畑さんは午前で帰る。
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お昼を食べて、
ケンタロウくんと引き続き検討。
明日の「ファンダメンタルズ」という
イベントの設営準備。
65mm釘、クリップ、コード、ハンマー、バール、
腰袋、などなど、、。
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カインズに買い出し。
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明日は早いので早めに寝る。
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【佐塚真啓個展「おばけ館_美術やしき」通信_31】
20230707(あと32日)
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朝5時に起きる。
5時半家を出る。
6時半、ケンタロウくんの家に行って合流。
一緒に、ある大学で開催される
科学者と美術家と哲学者のイベントの設営に行く。
8時半現場着。
10時作業開始。
大学構内にある舞台施設にて、
そこにある平台を繋ぎ合わせて
床と壁をつくっていく。
平台の仕立てが微妙に違っていて、やりにくい。
昼、学食。
午後も引き続き作業。
17時半ほぼできあがる。
この施設の管理は学生が行っている。
施設管理をしている学生がきてチェック。
そのさい、いろいろと指摘される。
重箱の隅をつつくよう指摘で、理由も
「決まりだから」ということのみ。
臨機応変に、一緒に建設的に
落とし所をつくっていく気は感じられない。
こんな学生が社会に出て、
どのようになっていくのか、
こんな学生がこれからの社会をつくっていくのかな、
とか考えると、とても複雑な気持ちになる。
18時半、設営を終え、車で帰る。
途中睡魔に襲われる。
コンビニで仮眠。
つい寝すぎて、
23時半、帰宅。
明日も5時起きで
同じ場所に行かなければならないので寝る。
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【佐塚真啓個展「おばけ館_美術やしき」通信_32】
20230708(あと33日)
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朝5時に起きる。
5時半家を出る。
6時半、ケンタロウくんの家に行って合流。
一緒に向かう。
8時半現場到着。
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科学者と美術家のイベント1日目。
科学者、美術家の方々、それぞれ20分程をかけ、
白い紙に自らの事を語りながら書いていく。
美術の方々のを撮影しながら聞いていた。
それぞれが
自らの活動と思いを交え
美術について話す。
それぞれの考え方に、
正解、不正解、正確、不正確、
などを言う気はないが、
聞きながら、モヤモヤする。
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一生懸命言葉を紡いで説明しようとする美術家に、
ある人が、質疑応答の際に
そんな説明する必要ありますか?
作家はもっとポエムみたいな説明で良いのではないか?
という類の事を言っていて、
なんだか、いきどおってしまった。
美術は、非言語的に直観的につくるものという偏見なのか。
そんな側面があることは否定しないが。
美術はそこまで非言語的な
社会と断絶したものではない。
人間の心の表れとしての美術、
その心の動きは、言葉と無縁ではない。
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美術家が美術を説明する際に、
偉い人が書いた本や、
著名な作家の言葉や過去の主義主張、
それらしい言葉を並べていく事の空虚さを感じる。
それらを引き合いに出すだけで
美術という歴史の中に自分が立っている感。
改めて言葉の使い方について考える。
他山の石。
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美術について話をはじめる土台が
フワフワゆるゆる。
そんな土台の上でいろいろ話が進む。
モヤモヤ。
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イベントが終わって、車で帰る。
途中睡魔に襲われる。
コンビニで仮眠。
つい寝すぎて、
22時半、帰宅。
明日も5時起きで
同じ場所に行かなければならないので寝る。
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【佐塚真啓個展「おばけ館_美術やしき」通信_33】
20230709(あと32日)
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朝5時半に起きる。
6時家を出る。
7時、ケンタロウくんの家に行って合流。
一緒に向かう。
8時半現場到着。
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イベント2日目。
科学者、美術家、哲学者、
の3名がトークする。
それを撮影しながら聞く。
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科学者の方々は、
科学という学問を背負って、
僕には理解できない事も多々あったが、
「確かさ」を持って話す姿が印象的。
哲学の方も学問を背負って、確かさと共に話している印象。
それに対して、美術家は、
フワフワのゆるゆるした個人的
美術解釈を基に話している感じ。
美術家の端くれとして、
その話している人が語る「美術」を、僕も
一緒に背負っていると思われる事がもしあるのなら、
全力で否定したいと思う場面が多々あった。
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美術は、
「人間は何に心を動かすのか」
という事に向き合うものだと思っている。
そう考えると、その射程は
科学や哲学をも内包する。
美術家が作るものだけが美術作品。
美術家しか美術を行えない。
そんな話、本当につまらない。
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いろいろな考え方があっていい。
しかし、なんだか美術家が
美や美術について説明する言葉に
科学者の方々が醸し出す「確かさ」を感じなかった。
美術がそんなものなら、全く関わりたくない。
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美術、
美術、
美術、
美術に関る人が共有できる
確かさを感じられる「美術」という言葉は作れるのか?
モヤモヤは膨らむ。
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イベント終わり。
撤収作業。
また施設管理の学生がくる。
丁寧に無自覚に作業の邪魔をする。
それが正しい事だと信じて疑わない。
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みんなちがってみんないい。
みんな頑張って生きている。
でも、なんだか、
いろいろわからなくなってくる。
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車で帰ってきて、
アトリエで荷物を下ろす。
帰って寝る。
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