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国立奥多摩美術館館長の他の美術館に行ってきた!(Vol.11)東京都美術館『展覧会 岡本太郎』

他の美術館に行ってきた!(Vol.11)



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東京都美術館
『展覧会 岡本太郎』
会期:2022年10月18日~12月28日
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2022年10月21日(金)曇り。上野の東京都美術館に「芸術は爆発だ!」でおなじみ、岡本太郎の展覧会に行ってきた。「芸術」といったら「爆発」という言葉がすぐ多くの人から出てきてしまうくらい、日本における芸術のイメージを作った岡本太郎。その活動は多面的で何者だったのか、なかなか一言で説明する事が難しい。職業を問われた太郎は「人間だ」と答えたという。大阪万博記念公園の『太陽の塔』や、渋谷駅の『明日の神話』などは、あまりにも有名で、晩年はメディアへの露出も多く、芸術家としての認知度も高い。だから、なんとなく岡本太郎の事は知っている気になってしまうのだが、本当は何者だったのか。何を考えて、何を思って「芸術」という言葉を使っていた人間なのか。僕にはまだ正直わからないところが多い。多くの作品と多くの言葉を残している。そのどれもが力強く、自信に満ち確信めいている。岡本太郎に勇気づけられた若者は多くいたと思うし、これからも勇気を与え続けていくだろう。しかし、そんな岡本太郎に、僕はとても繊細でか弱く迷っている姿も感じる。その姿を感じるからこそ僕は岡本太郎に興味がある。何か物事を言い切る人間には2種類いる気がしている。それ以外はありえないと信じ切ってただただ断定している人と、本当は正確にはそうじゃないんだけど、あえて断定的な言葉をつかって言い切る事が、より多くの人へ自分の意図を伝える入口になると知っている人。僕は基本的には岡本太郎に後者の姿を感じているのだが。しかし結局は、自分自身の断定的な言葉や態度が強すぎて、前者と後者が分離不可能なほど混然一体に溶けあって、晩年の岡本太郎を形成していたのではないかと思う。力強く自信に満ちた岡本太郎は、その言葉や作品から感じやすい。しかし、それと共にそれらの背後には、「それでいいのか?」と疑問を携えた岡本太郎が常にいたと思う。もちろん、この展覧会でも元気いっぱい力に満ち溢れた岡本太郎を見せようとしている。でも、所々に表れる繊細な岡本太郎を探してみるのも面白い。【☆7.6】(佐塚真啓)
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「西の風新聞」2022年11月3日(1674号)掲載



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