見出し画像

[展覧会のご案内]佐塚真啓個展「おばけ館_美術やしき」

[展覧会のご案内]

-

佐塚真啓個展
「おばけ館_美術やしき」

---

〇奥多摩美術研究所 所長で美術家の佐塚真啓、5年ぶりの個展。

-

この度、奥多摩町立せせらぎの里美術館と㈱佐塚商事 奥多摩美術研究所では、2023年8・9月に美術家・佐塚真啓の個展「おばけ館_美術やしき 」を開催いたします。本展は佐塚の5年ぶりの個展であり、東京都西多摩地域にある2会場で、新作の大型絵画5点を含む多彩な作品を展示します。佐塚はこれまで、「美術」という言葉を手掛かりに、「美術」の概念を拡張する活動を続けてきました。「六本木アートナイト2017」では自分の身体を時計の針として時刻を表示する24時間不眠不休のパフォーマンス「人間時計」に挑みました。絵の描き方から日々の悩みまでどんな事でも「美術」で解決する「なんでも美術相談所」を開設したり、ラフティングで急流を下りながら美術作品を鑑賞するイベント「芸術激流」を開催したり、とその活動は常に観客を驚かせてきました。今回の展覧会では、そんな様々な模索を経て、改めて原点に立ち返り、絵画作品を軸に展覧会を構成していきます。今回の展覧会タイトル「おばけ館_美術やしき」は、昨年、佐塚がサウジアラビアにおばけ屋敷をつくりに行き、改めて美術や美術館について考えたことに由来します。武蔵野美術大学で絵画を学んだ佐塚は、2012年、友人知人らとともに「国立奥多摩美術館」を企画しました。都心から電車を乗り継いで2時間ほどの東京都青梅市にある元製材所を拠点とする「国立奥多摩美術館」は、一般通念としての「国立」「奥多摩」「美術館」のいずれにも該当しません。まだ見ぬワクワクする「美術」を目指して、不定期に展覧会などを開催しています。また、2018年には「(株)佐塚商事 奥多摩美術研究所」という会社をつくりました。会社という形をつかって、社会と「美術」とどの様に関わっていけるのかを模索しています。残暑厳しき候ではありますが、「美術」と真摯に対峙し続けている佐塚真啓の個展に、多くの方々にお越し頂けましたら幸いです。(奥多摩町立せせらぎの里美術館 / 株式会社佐塚商事奥多摩美術研究所)

---

---

【展覧会概要】

-

●展覧会名:
佐塚真啓個展「おばけ館_美術やしき」

-

●第1会場:
奥多摩町立せせらぎの里美術館
https://www.okutamas.co.jp/seseragi/
所在地: 東京都西多摩郡奥多摩町川井53
会期:2023年8月8日〜9月24日[×休館/月]
(10:00~17:00) ○入館料:300円

-

●第2会場:
国立奥多摩美術館〈研究室〉
https://moao.jp/
所在地:東京都青梅市二俣尾5丁目157
会期:8月11・12・13日、18・19・20日、25・26・27日
 
  9月8・9・10日、15・16・17日、22・23・24日
[〇開館/金・土・日](10:00~18:00) ○入館料:500円

(会期中行われるトークイベント等などの詳細はSNSでご確認ください。8月中は国立奥多摩美術館にて「生きろ④ 南壽 イサム」が同時開催されています。)

-

*[せせらぎの里美術館・玉堂美術館・国立奥多摩美術館]の3館チケットを、会期中、各美術館にて1,000円で販売いたします。

-

◎第1会場:

せせらぎの里美術館

JR青梅線「御嶽駅」で下車し、四季の風を感じながら川沿いの遊歩道を上流へ歩くこと20分。1987年に「むかし絵美術館」として開館した公立美術館で、1993年に「せせらぎの里美術館」と改称。築150年の奥多摩民家を解体し、その部材で建てられている。多摩地域に縁のある作家の作品を収蔵している。

◎第2会場:

国立奥多摩美術館〈研究室〉

JR青梅線「軍畑駅」で下車し、木々の緑を楽しみながら高水三山に向けて坂道を歩くこと10分。2011年に元製材所を借りて動き出した企画。一般通念としての「国立」でも、「奥多摩」でも、「美術館」でもない「国立奥多摩美術館」。普段は扉は閉ざしているが、不定期で展覧会などを企画している。

◎近隣おすすめ美術館:

玉堂美術館

JR青梅線「御嶽駅」で下車し、駅の目の前の御岳橋を渡り左折。下流へ歩くこと7分。1961年に川合玉堂の愛してやまなかった御岳渓谷に美術館を建てようとの声が上がり開館。玉堂15歳ごろの写生から84歳の絶筆まで幅広く展示されている。建築は吉田五十八の設計で、石庭は中島健が手掛け、奥多摩の自然と見事に融合している。

-

主催:奥多摩町立せせらぎの里美術館、株式会社佐塚商事奥多摩美術研究所企画協力:おくてん実行委員会、玉堂美術館
作品額装:三熊將嗣(額工房片隅)
展示物制作協力:倉持太一
デザイン:牧寿次郎
広報協力:周山祐未(Imabari Landscapes)

-

お問い合わせ:せせらぎの里美術館
Mail: taiki.sukigara@okuten.jp


【作家プロフィール】

佐塚真啓:

1985年静岡県生まれ。丑年。おうし座。長男。A型。右利き。2005年、武蔵野美術大学入学と共に上京。2009年、武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。2011年、青梅市に移住。2012年、「国立奥多摩美術館」を企画。2018年、「株式会社佐塚商事 奥多摩美術研究所」を設立。常に「美術」という言葉を考えている。1日8時間の睡眠を心掛けている。冬はガタガタ震え、夏はダラダラ汗をかき過ごしている。

-

-

-

美術について (佐塚真啓)

「美術」「芸術」という言葉は明治期に生まれたようだ。そこから様々な人々の間で育ってきた。現在の一般通念では、「芸術」という上位概念の下に、音楽・文芸・演劇・デザインなどと並び、「美術」があるという。今、「美術」は芸術における視覚芸術や造形芸術を指す言葉とされている。しかし、僕は芸術の中や下に美術があるとは思わない。南方熊楠という先人は、この世界には「心」と「物」があり、その交わるところに「事」が生まれるという考え方を残している。人間も「心」と、「体(物)」が交わった「事」として存在している。「心」の動きをどのようにこの世界に表出させるのかが美術。その表出させるために「体」をどのように使うのかが芸術。体の動きを、技にして、芸にまで磨き上げたものが芸術。体の動きを競うスポーツは純度の高い芸術。「心」がなければ「体」は動かない。「体」がなければ「心」は表せない。人間の「心」と「体」は不可分一体である。同じく「美術」と「芸術」も不可分一体。芸術と美術は、上位概念と下位概念の関係ではない。切り分ける事の出来ないものである。「体」の動きは目に見える。よって芸術は理解しやすく評価もしやすい。どのくらい早く、どこまで遠くに、どの様に動いたのか。しかし、「心」の動きにまつわる「美術」はなかなか意識化しにくい。そもそも「心」とはなんなのか。「心」「美しさ」「美術」について日々考えている。何かに接し、美しいな面白いなと心が動いた事、それを伝える術が「美術」。-美しさは視覚でしか感じられないものではない。美しさは造形物でしか表せないものではない。美しさは何処にでもなんにでも潜んでいる。自らが感じた美しさを表す方法は、いくらでもある。心が動いた事に気が付き、それを拾い上げる術が美術。美術という言葉がそんな風に使われていく事を願っている。美術という言葉は「わからないもの」の類語ではない。心を動かして事を生む術が美術。それは誰しもが日々おこなっている。特別な術でも、怪奇な術でもない。心の動きと丁寧に向き合う。それをこの世界に留める技を持つのが美術家。美術家の技の現れとして、絵画があり彫刻がある。しかしそれ以外でも心の動きを伝え留める方法はいくらでもある。それに気が付き、美術は拡張されてきた。美術史は、人間が何に心を動かしてきたのかの歴史。美術は、作家や作品だけで完結しない。美術は見る者の存在と共にこの世界に結実する。見る人の誤解や誤読が、作家と作品を育てる。作品をつくりながら美術という言葉の未来をつくっていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?