2022年のUXリサーチャーとしての活動を振り返ります
こんにちは!サイボウズ(株)で「kintone」という製品のUXリサーチを担当している、サイトウユウタです。
年末なので、今年のUXリサーチャーとしての活動をシェアしたいと思います。
同じリサーチャーの方や、今後サイボウズで働いてみたいと思っている方に「実際のところkintoneのUXリサーチャーってこんな仕事してるんだ」と知ってもらえたらいいなと思っています。
2022年の活動概要
そもそもの話なのですが、2022年の年初時点で、kintoneには専任のUXリサーチャーがおらず、デザイナーが業務の合間にリサーチを行っていました。
そういった中で、2022年3月より、kintoneの専任リサーチャーとしてkintone開発チームに私がジョイン。「ユーザーを知ることで意思決定の精度を上げる」をスローガンに、UXリサーチの実施と、関連する業務に取り組んできました。
ここ2年、kintone開発には専任リサーチャーが不在となっており、世の中の情勢も重なったことでリサーチ数が減ってしまっていましたが、ユーザーリサーチ文化を復活させるべく奮闘しました。
ここからは、kintoneのUXリサーチャーが具体的にどういった活動を行なっているのか、リサーチ業務以外も含めて紹介します。
活動の大枠としては4つです。
取り組み①:リサーチを行い、製品の意思決定をサポートする
当然ですが、kintone UXリサーチャーのメイン業務はこちらです。PdMやデザイナーの要望に応じてリサーチを行い、意思決定に必要な情報を提供します。
この部分に関しては下の資料にまとまっていますので、ご興味あればご覧ください。
リサーチ目的で分けると、「検証的リサーチ」と「探索的リサーチ」に分解できます。
①-1.仮説の精度を上げる「検証的リサーチ」
検証的リサーチは、すでにある仮説や解決策をブラッシュアップするためのリサーチ。2022年のリサーチは6割ほどを検証的リサーチが占めました。
kintone開発でよく実施するのは、まだ実装されていないUIのモックアップを使ったユーザビリティテストです。
kintone開発チームでは、UXリサーチャーはプロトタイプ制作の段階から関わり、リサーチのプランニングをPdM、デザイナー、ライターなどと一緒に行います。こうすることで、関係者のリサーチに対する認識を合わせることができ、リサーチを有意義なものにすることができます。
①-2.課題を発見する「探索的リサーチ」
こちらは「私たちが解決すべき課題は何なのか?」を調べるためのリサーチ。デプスインタビューやフィールドワークなどの手法を使い、製品やその周辺のユーザー体験を深掘ります。
kintone開発では、探索的リサーチの実施時は、PdM全員にメンションを飛ばし、実施のアナウンスをしています。都合のあうメンバーは積極的にリサーチに参加して頂いてます。
また、今年は初めてスポットコンサルサービスの「ビザスク」経由でのインタビュー調査を実施しました。今後も引き続きリサーチ方法の探索も続けていきます。
①-3.新たな取り組み:サイボウズイベントでの来場者アンケート
サイボウズは毎年11月、幕張メッセにて「Cybozu Days」というイベントを行なっており、今年は2,000名以上の方にご来場頂きました。来場者の皆様は、サイボウズ製品を既に利用している、もしくは今後導入を考えている方々です。
自社に関連のあるこんなに大勢の方々に、オフラインでお会いできる機会はなかなかないと思うので、この機会を利用し、来場者様にkintoneに関するアンケート調査を実施しました。
今まさにkintoneを現場で利用されている方々からお話を聞くことができ、様々な情報を得ることができる貴重な機会でした。また来年もなんらかの形で実施したいと考えています。
取り組み②:リサーチをさらに効率よく、さらに精度良くする仕組みづくり
リサーチの実施だけではなく、リサーチを継続的に安定して取り組んだり、より精度の高いリサーチを実施するため、リサーチ環境の改善も日々行っています。
②-1.カスタマーサクセスとの協業強化
現場のユーザーの声をより多く、より精度高く集めるために、カスタマーサクセス経由でのリクルーティングや、顧客対応時のヒアリング実施など、協業を強化してきました。
取り組みの内容はResearch conferenceでも発表させて頂きましたので、下記ご覧ください。
②-2.社内でリサーチに興味のあるメンバーの「体験入部」受け入れ
「大人の体験入部」とは、サイボウズのキャリア形成制度の一つで、気になる部署のお仕事を一時的に体験することができる制度です。今年はUXリサーチを体験してみたい、という2名の方の体験入部を受け入れ。どちらもメンターとして対応し、期間中はリサーチの実施を一緒に行うなどをしました。
こちらは会社としてのリサーチ文化の醸成や、社内コラボの促進といった目的で実施しています。
②-3.リサーチ予算策定作業
kintone開発におけるリサーチ実施時の外注予算やスポンサー費などの取りまとめも行います。熱意はあっても、予算がなければリサーチはなかなか進みません。
もちろん予算取りの作業も大事ですが、普段からUXリサーチが必要とされる文化を作っておくことが、予算への納得感に繋がります。
②-4.他職種のリサーチサポート
主にデザイナーなどに対し、リサーチ手法やファシリテーションの方法などをレクチャーしました。
現状、kintone開発のUXリサーチャーは私1人なので、全てのリサーチ要望に応えることは難しいです。ですので、例えばUIの検証リサーチなどは、プランニングをデザイナーと一緒に行い、当日のファシリテーションや記録などをデザイナー自身で行なってもらう、といった対応をすることもあります。
②-5.ドキュメントの整備
リサーチ活動を行う中で、担当製品問わず、リサーチャー職能全体で必要になる情報やノウハウがあります。
例えば、調査被験者さまとの秘密保持契約の結び方、個人情報を含むデータの保存方法、リサーチ予算使用時の申請方法など…リサーチ活動における共通ルール(いわゆるResearch Ops)を、ドキュメントにまとめます。
これを行うことで、サイボウズ全体のリサーチの効率化を図ります。
取り組み③:サイボウズのUXリサーチを社外の方に知ってもらう
サイボウズのUXリサーチはまだまだ社外の方々に知っていただけていないと感じています。
現在は多くの企業でUXリサーチが取り組まれおり、みなさん積極的に発信されていますので、そういった方々に負けないように、kintoneリサーチの知名度アップと、後述するリサーチャー採用に向けた活動として、登壇や記事の執筆、イベントのスポンサー対応などを行いました。
③-1.「Research conference 2022」への登壇
UXリサーチをテーマにしたカンファレンスである「Research conference 2022」にスポンサーセッション枠にて登壇し、上の方でも触れたカスタマーサクセスチームとの協業について発表させていただきました。
カンファレンス参加者は約2,500名を超えており、社外の方にサイボウズを知っていただくきっかけにもなったかと思います。
下記は運営の方に執筆いただいた当日のレポート記事です。
③-2.WEB媒体での情報発信
こちらは主にnoteになりますが、kintoneのリサーチのことを知ってもらうコンテンツを発信しています。
個人でも記事を書いてますし、下記のようにデザイン関係のメンバーみんなで運営している企画もあったりします。
取り組み④:UXリサーチャー採用に向けた活動
kintoneのUXリサーチはまだまだ途上です。やりたいことが本当にたくさんあります。しかしながら、当然私1人だけではできることに限界があります。
まだまだやりたいことがたくさんあるので、UXリサーチャーを採用することを決めました。
④-1.採用に向けた情報整理
採用を開始するにあたり、kintoneのUXリサーチ体制に関して、どのような状態が理想か、現状はどうかなど、PdM、デザイナーなど多くの方と議論をしました。
④-2.募集要項の作成と公開
最終的に募集要項としてまとめ、先日公開をしました。ご興味あれば、下記ページをご覧ください。
社長の青野さんにもシェアしていただいてます。これはきっとUXリサーチャー職能が期待されてるということだと(勝手に)思っています。笑
⑤リサーチャー陣での輪読会の実施
サイボウズでは、およそ3ヶ月に1冊程度のペースで、UXリサーチャーが集まり輪読会を実施しています。
UXリサーチに関する本がメインですが、それ以外にもデザイン、アクセシビリティなどに関するものも。
今年取り扱ったのは下記の3冊です。
⑤-1.『一人から始めるユーザーエクスペリエンス』
⑤-2.『ミスマッチ 見えないユーザーを排除しない「インクルーシブ」なデザインへ』
⑤-3.『発想法』
以上、kintone UXリサーチの2022年の活動振り返りでした。
来年も頑張るぞ!💪
おわりに
この記事は UXリサーチ/デザインリサーチ Advent Calendar 2022 に参加しています。ほかにもUXリサーチやデザインリサーチに関する様々な記事がありますので、ぜひお楽しみください!
また、上でも紹介しましたように、kintone開発ではUXリサーチャーの募集を行なっております!
ご興味のある方、ぜひ下記のリンクからご覧ください!
また、デザイナーも積極募集中です。