生まれてはじめて「デザイン」に出会った日
さとゆみ@実家です。北海道寒い。朝晩だけじゃなくて昼も寒い。
今日は朝から夫のリクエストで当麻町の「パピヨンシャトー」に行ってきました。
この建物は、蝶とカブトムシに代表される大量の昆虫標本が陳列されているという、昆虫嫌いの私にとっては罰ゲームのような建物なので、夫と息子の存在がなければ一生足を踏み入れなかったと思う。
実はこの三角屋根の建物、祖父が設計した建物です。
今日スタッフのかたに聞いたら、祖父が亡くなった平成4年にオープンしたというので、祖父の遺作なんじゃないだろうか。
オープン当時はこのような建築だったのですが、それから26年。今では周りの樹木がめきめき育っていて、道路からはほとんど姿形が見えなくなっています。
祖父と曽祖父(屯田兵として入植)は宮大工でした。
おじいちゃん子だった私は、祖父と一緒にいろんなお寺や神社を見て回りました。その時におじいちゃんが何を話していたかのほとんどは残念ながら覚えていないのだけれど、いくつか印象的だった言葉があって、そのうちのひとつが、奈良の薬師寺を見たときのことです。
薬師寺って、1300年以上前に建てられた東塔が国宝になっていて有名なんですよね。
でも、その薬師寺で、おじいちゃんはほとんどの人が見向きもしない、昭和56年に復興されたばかりの鮮やかな西塔を、ずーっと見ていた。
当時小学2年生だった私は、「どうしておじいちゃんは、みんなみたいに、東塔を見ないで、こっちの新しい塔ばかり見てるの?」と聞いた。子どもの目から見ても鮮やかすぎて、いかにも「今できました感」があるその西塔に、どうしておじいちゃんが釘づけになっていたのかを知りたかったから。
私の問いに、おじいちゃんはこう答えた。
「東塔は古いから価値があるんだけれど、建築物としては新しい西塔のほうが素晴らしい」って。
祖父が言ったことを、当時の私が全部理解できていたとは思わないのだけれど、何かとても胸にせまる感覚があったのを記憶しています。
これが多分、私がはじめて触れた「デザイン」の概念だったと思う。
そして、誰も注目しない西塔をずっと見ているおじいちゃんこそが、かっこいいなあと思ったし、大人になったらそんな人になりたいなあと思ったのでした。
大量の昆虫をおおらかに包み込む、祖父の遺作(多分)の中で、そんなことを思い出しました。
パピヨンシャトーは、そこまで怖くなかった。というか、思ったよりも楽しかったです。蛾以外はだいたい直視できた。
埼玉県から来たという、同世代の息子さんを連れていらしたお母さんと「虫好きの息子を持つといろいろ大変ですよね……」という文脈で意気投合しました……。
建築家の夫は、入った瞬間、「まさかの鉄筋……」と絶句していました。
んでは、また。
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[本日のさとゆみ]
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