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遺伝の影響73%!算数は地頭がすべてなのか⁈①


「算数の宿題に時間がかかってしまう、どうしたら良いか?」

「算数が全くわかってない、地頭が悪いのでしょうか?」

国語教師のわたくしにも、このような相談を頻繁にきます。

お母さんたちの言う地頭というのは「生まれつき持っている素質」を指すのだと思います。


さて行動遺伝学者の安藤寿康氏は9歳、子供の算数における相関関係ついて以下のようなデータを示しています。

算数「遺伝が約73%、非共有環境が約23%、共有環境は約4%」。

『日本人の9割が知らない遺伝の真実』著者 安藤寿康 (SB新書)P69の図5より抽出


算数は遺伝が73%‼

算数の得意不得意の7割以上が遺伝に関係があるということは、やはり地頭(遺伝)が悪いと算数はできないのでしょうか。






1,行動遺伝学ってなんだろう


あまり聞きなれない行動遺伝学とは、ざっくりいうと「知能や性格などの「こころ」に遺伝がどれくらい影響するのかを実証的に研究する学問です。

そして行動遺伝学の中心的研究手法は、一卵性双生児と二卵性双生児の類似性を比較する「双生児法」です。



UnsplashのTim Bishが撮影した写真





2,行動遺伝学の研究手法「双生児法」


「双生児法」については、前掲書『日本人の9割が知らない遺伝の真実』(以下『遺伝の真実』と略す)を引用してします。


遺伝子が100%同じ一卵性双生児と、50%類似している二卵性双生児。同じ環境で育った一卵性双生児と、二卵性双生児の類似性を比べて、もし一卵性双生児の方が似ているのであれば、それは遺伝の影響によるものだと考えられます。(中略)重要なのは全体的な傾向としてどれくらい類似性があるか調べることなのです。そのため、双生児法の研究ではできる限り多くの被験者に参加していただくことが重要になります。

『遺伝の真実』p63~64


そしてきょうだい間の類似性の高さを表す数値が相関係数です。
もしきょうだいの数値が全く同じなら(年齢とか)、相関係数は「1」、
全く相関関係がなければ、相関係数は「0」になります。





3、まとめ


算数における遺伝の影響について何も述べていませんが、これまで説明を一度おさらいします。

要点は以下の4つです。


①行動遺伝学の研究では算数における遺伝の影響は73%であること。

②行動遺伝学とは性格や能力など「こころ」の遺伝の影響を実証的に研究する学問であること。

③行動遺伝学では一卵性双生児と二卵性双生児の類似性を比べる
「双生児法」という研究手法が使われること。

④きょうだい間の類似性は相関係数という数値で表すこと。

「遺伝の影響73%!算数は地頭がすべてなのか②」
では、いよいよ算数の遺伝影響について解説していきます。





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