
けんべきがでた
あけましておめでとう。新年の嘔吐の話です。
わたくし身体ははちゃめちゃに強い。もうちょっと弱くてもいいよってくらい、熱は出ないし、免疫強いし、感染症はほぼかからない。最近熱が出たのは、コロナワクチンの副反応ぐらいじゃないか。
家族もあまり病気をしない人たちで、この頑丈さは遺伝子によるものなんだろうと思う。ありがたいことである。
しかしね、無理をしたら無理が出るのだなあと思っている。私はいま下半身が全体的に筋肉痛で、微熱があり、下痢をして、昨夜夜通しゲロゲロしていた。こんなこともあるんだね。
原因はわかっている。年末年始実家でいろいろ気を張って、そして若いつもりで甥っ子の遊びに付き合った結果だ。たぶん。
ちなみにゲロゲロは、酒に弱いのでたまにやる。先日秋葉原の路上で吐いたのはマジで同行の友に申し訳なかった。ちゃんとビニール袋にアレして周りは汚しませんでした。ぱちぱち。
親には「けんべきが出たんだね」と言われた。
「けんべき」というのは、故郷の方言で「疲れから出る熱」などを指すらしい。年末に会う約束をしていた友人が「ごめん、けんべきが出たみたい🙏💦」とキャンセルしてきた。そのときに「けんべき」とやらが全くわからなかったので、親に聞いたらそういう意味だとのこと。
親も、意味はわかるが自分では使わないと言っていたので、あの会話を思い出してわざわざそういう言い回しをしたのだと思う。うちの親は応用力が高い。
症状はやっと落ち着いてきたところだ。布団に寝転がりながらこれを書いている。
下半身は筋肉痛でじんじんしている。筋肉痛には水をたくさん飲むといいらしい。しかし水をたくさん飲むと吐いてしまうので手作り経口補水液をちびちび飲むまでだ。くそう。
昨夜トイレに頭をつっこみながら、こういう不調は久しぶりだなーと少し離れたところで浮いている自分が考えていた。ときどき、特に持病があるわけではないがあらゆる感染症にかかる気の毒な人がいる。彼らはしょっちゅうこの死にそうな気持ちになっているのだろうか。ますます気の毒だ。
嘔吐反射で生理的な涙を流し、しかし髪の毛が汚れないよう抑えるだけの理性はある。お腹は空っぽだ。水を飲んでも吐いてしまい、さらさらの水で胃を洗っているみたいだった。最後の方は水を吐いているだけなので、透明で、鼻に入っても花粉症時の鼻水みたいだった。
肉体っていろんなことが起こるなあ、なんだか新鮮な気持ちだなあ、とあそこにいる自分はつぶやいている。
肉体の方は「もうこれまでか」と弱気になっていたので救急病院に電話したりした。これこれしかじかと話したら、「対症療法になるので来たところで大した治療はできませんよ、家でゆっくり休んでたほうがいいですよ」と緊急性の低さを言われ、なんだこれは大したことないのか、と肉体も納得したらしく、そこから不調はありつつも、落ち着いたもんである。別に死にはしないらしい。
あんまり病気をしない民であるので、ちょっとしたことでも「死ぬかもしれない」と思う。そして同時に「おもしれー体験しちゃった」とも思う。
ゲロゲロが喉元過ぎて忘れちまうにはもったいないなと思ったので書いておく。私は疲れで不調をきたし、泣きながら吐いて胃を洗い、救急病院に相談するという経験をしたのだ。何に使うわけでもない経験を、経験値ストックに登録した。まあいつか、何かの折に応用できるかもしれん。
そんなこと書いてたらもよおしてきた。トイレに行こうかな。