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オランダ農家による、農家のための「トラクター旅行」

農業ツアー専門の会社「トラクター旅行」。

オランダの農家さんグループによる9日間の農業視察をコーディネート&アテンドさせていただきました。参加者は、酪農家やじゃがいも農家、施設園芸、チューリップ栽培など、オランダの各地から集まる農家たち11名のグループ。

そして、主催者は、オランダで農業雑誌の出版やコンサルに関わるメンバーで10年前に起業したという農業ツアー専門の会社。その名も「トラクター旅行」。世界中の農家を訪ね、農家支援を行ってきたという。

雨の日も、「What a Lovely Wheather ~ !! オランダみたいな天気になってきてうれしい♪ 」と、歌いながら、常に明るいオランダ人。畑をみるとつい雑草を抜きたくなるらしい。根っこを観察したり、米をかじって水分当て始めたり、機械をみると小躍りしてしまうくらい嬉しくなるという。素敵な農家たちでした。

今回訪問させてもらったのは、岡山、滋賀、静岡、つくばへ、米、わさび、茶、農業機械メーカーと、日本の特徴的な産品の生産者たち。日本の同じく農家と交流できて楽しそうでした。話は尽きず、毎日日が暮れるまで議論。農家から農家へ。旅のメッセージのバトンがつづく・・・。

いろんな人たちの暖かい歓迎と熱意に触れ本当にあっという間の時間。私のアテンドはここまでですが、彼らは、さらに東北から北海道へ、酪農家とじゃがいも農家、施設園芸を訪ねるそうです。

奥静のわさび農家にて

オランダ人から見る、日本の農業への疑問

今回の旅では、海外の農家の目線から、考えたことのない質問がたくさん飛び交い、わたしも発見が多い旅でした。

中には、こんな、オランダならではの質問も。

「大吟醸の削った酒米の滓は牛にあげるのか?」「オリ引きのオリは牛にあげないのか?」と、ことごとく牛にあげるかどうか聞かれるのが面白い。また、家畜の糞をどう処理するのかという疑問も。

オランダでは、地下水への硝酸性窒素汚染が社会問題となっていて、Nitrate Directiveという、畑に入れて良い窒素基準が定められているのです。

オランダ有機農業留学時代の授業を思い出しました。↓オランダ有機農業についてのブログ。

酒蔵では、実際に土用粕を味見させてもらい、「日本人は漬物や保存食に使うし、消費者も買うから飼料にはまわらない。もともと資源の有効利用が進んでいるから、地下水汚染の問題など、オランダほど社会問題になっていない。」と、とてもわかりやすく説明していただきました。

あとは、反収と市場価格、単位あたりのコスト、人件費、土地の値段、オーガニックの販売価格やマーケットチャンネルなど、経営面も気になってるようです。

エピソード1

「日本はテクノロジーが進んだ国だと思っていたけど意外とアナログですね。オランダなら、駐車場整理に3人もいないだろう、機械がやるから。オランダには道路に信号もない。あぜ道で草刈り機を使う人もいない。」
中国に行った時、いたるところに特に何もしてない立ってるだけ、座ってるだけの人が多いのは、さすが共産国だなあと思ったものですが、日本もオランダ人からみたら、そう見えるのだそう。

エピソード2

"Rice or Bread?(ご飯かパンどちらかついてくるレストランにて)"
"Potato!(ポテイトゥ〜!)"
全員声をそろえて答えるオランダ人。レストランにて、「なぜ、じゃがいもがついてないの?」という質問にはちょっと唖然としましたが、レストランのご厚意により、特別に芋に変更していただく。外国人のレストランを予約するときはアレルギーや宗教を確認しますが、オランダ人の場合、じゃがいもが入っていること、カプチーノタイムは1日1回必要。毎回ツアーの旅にいろいろ勉強になります。

生き方を訪ね、旅に暮らす。

さて、来月は地元奈良にて、海外のヴィーガン料理学校とタイアップした発酵合宿や、醤油蔵ハイキングツアーなど、フード関係の企画が続きます。いろんな国の人たちとのコラボ企画を作っていくのは大変だけど、これが面白い。

旅は学びの場であり、生き方の交換であり、暮らしの延長。そんな旅を作っていけたらと思います。ご協力いただいた方に感謝です!


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民族植物と食の実験室 | 里山文庫@奈良
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