1日30名限定!タイヤル族の自給自足の桃源郷へ
不老部落について
台湾植物民族と発酵ならいごとの旅2日目。入域できるのは1日30名限定!タイヤル族の現在版桃源郷へ。
不老(Bulau) 集落のBulauというのは、タイヤル語で、のんびり過ごすという意味で、日本語で言うと、"ぶらぶらする"みたいな感じです。
入域制限しているため、数ヶ月先まで予約でいっぱいと言われてて、なんとかキャンセル待ちで1席ゲット。
ここはほかのテーマパークのような民族村とは違い、人が実際に住んでる。機織りをしてて、天然の薬草を採集していて、染色し、濁酒を仕込み、肉を発酵させ、ほぼ自給自足。
入域制限は、集落の暮らしを維持するために必要な措置で、入国税をとって観光制限しているブータンの戦略とよく似ています。
村までは、車は入れないようになっていて、駐車場からはタイヤル族の住民に迎えにきてもらわないといけません。ちょうど「雪国」の冒頭に出てくるトンネルのように、長い吊り橋を徒歩で渡ると、かなり桃源郷に入った感が漂ってきます。
まず、粟の酒と薬草茶がふるまわれ、粟で発酵させたすっぱい肉を囲炉裏で焼く(タイヤル族は生肉で食べるそう)。どぶろくと肉は一口づつ交互に食べるのが、タイヤル族流なのだそう。
ここは、ほかのテーマパークのような民族村とは違い、人が実際に住んでる。
キノコ栽培施設や、どぶろく工房、パン工房があり、竹やナイフづくり、機織りをしてて、天然の薬草を採集していて、染色し、濁酒を仕込み、肉を発酵させ、食卓に登る食べ物も、約8割が自給自足なのだという。
人口は約20名。ごはんは、共同調理場で、村人全員の料理を一緒に作るのだそうだ。まさに、現代版の桃源郷。
村の食卓を体験
この村での食事は、80% が自給自足だといいます。
森から集めた野草や、キノコの栽培、神事でも使う粟を中心に、どぶろくの工房や酒粕を使ったパン工房も。
村を回りながら、随所でおやつが出てきたり、3種類のどぶろくを飲み比べしたり、テイスティングがはじまります。今回は食べ物をご紹介。
🌿タミャン(粟で発酵させた鮒寿司のような豚肉)の串焼き
🌿長豆と刺葱の塩漬け
🌿蒸し野菜&野草の盛り合わせ
🌿カタツムリの生姜巻き
🌿カボチャの蒸し物
🌿芋の蒸し焼き
🌿過猫菜(シダ植物)のおひたし
🌿粟のちまき
🌿鮎の塩焼き
🌿粟の酒粕パン
🌿粟の酒3種類(4% 、 14%、蒸留酒 58%)
🌿薬草茶(万寿菊)
ここで働く人のほとんどが20~30代の若者たち。
彼らは、村の職業訓練校にて、伝統的な狩猟採集技術や醸造技術のみならず、シュランシェフなど、外部から講師を招き、料理やパンなど最先端技術も学んでいるので、食のプレゼンテーションがとても美しいのです。
革新がなければ伝統は生き残れない。なんだか、それは、どこの国でも共通のテーマかもしれないと思ったのでした。日本の田舎においても応用できるアイデアはたくさんあり、コミュニティづくりの参考になるかもしれません。
生きる術を学ぶ職業訓練校
囲炉裏でウェルカムドリンク&肉のあとは、学校や工房など、村の施設を案内していただきました。
村には職業訓練校があって、タイヤル族の若者たちが、どぶろくを仕込んだり、狩猟採集したり、ナイフを作ったり、苧麻から糸を作り布を織り、染める技術を学んでいます。さらに、ミシュランシェフなど、外部から講師を招き、料理やパンなど最先端技術も学んでいるのです。
工房を見学させてもらいましたのでちょっとご紹介。
染色織物工房
竹工房
女性用のバッグ、上はあかちゃんしょいかご、下は野菜入れ。
織物工房
苧麻から織られる布で作られた服や雑貨を購入することもできます。
弓の訓練場
この村が入域制限している理由は、「生きた暮らしを継承するため」必要なことだったのです。
原住民の民族村は、アイヌの村もちょっと似たような感じかもしれませんが、ほとんどがテーマパークになってしまっていて、暮らしがそこにありません。ここでは、みんなの生活があり、工房があり、暮らしの技術が生きている、観光のための施設ではないからなのです(というわけで、数ヶ月先まで満席、奇跡のキャンセル待ちでなんとかすべりこみでした)
「父の世代の長老たちは、森を開き、野菜を植え、椎茸を栽培し、森で生きていくための収入源を作ろうとしてきました。私たちの世代は、外に売りに行くのではなく、きてもらうことで食べていくことにしたのです」と、代表のkwaiさん。
伝統をもとに革新したおしゃれモダンな原住民料理、現代のファッションにアップデートした染色織物。伝統的な粟のどぶろくをミシュランレストランに卸し、粟の酒粕を利用したパンを焼く。その細部には、伝統と革新のセンスが宿っていました。
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