お料理教室の英語
この前ガイドツアーの時、ごぼうのことを聞かれてburdockと言っても、よくわからないようだったので、"or do you know salsify? A kind of tuber crop"というと、「私、バイオロジー専攻してたから、時々出るあなたの農業用語好きよ」と言われてしまいました。なるほど、tuber cropは専門用語すぎました。そうか、burdockもsalsifyも知らないか・・・。
ということで、料理教室やフードツアーの通訳ガイドをするときに和食の材料をどう英語で説明するときの注意点。まず、イギリス英語とアメリカ英語では表現が微妙に違ったりするので、どちらのお客さんが多いかで使い分けることも。
言葉で食材のイメージが違ってくる
例えば・・・
ナスはアメリカ英語ではeggplant(卵形の植物) イギリス英語では aubergine。
ズッキーニは、アメリカ英語zucchini, イギリス英語でcourgette。
そして、かぼちゃといえば「パンプキン」と習いましたが、実は、日本かぼちゃはsquash。
画像検索してみると・・・
pumpkin
squash
明らかな違いです。
食べてみると、squashの方はねっとりした感じで、pumpkinはホクホクしてるんですよね。あと、農業的な分類でいくとこれにpepo種が加わりますが、そこまで説明すると、また専門用語と言われますのでさておき。
さらに、アメリカではオンス、パウンドを使わなければならないので通訳するときは要注意なのです。
私は算数が昔から苦手なので、単位換算表を持ち歩いています。
前回記事:アメリカ人に伝える時の単位:ヤード・ポンド法への対応
調理方法
stir-fry 炒める
deep-fry 揚げる
simmer 茹でる
stew とろ火で煮る
boil ぐつぐつ沸かす
parboil お浸しにする、湯通しする、下ゆでする
steam 蒸す
pickle 漬ける
marinade なます
dress 和える
garnish 付け足し
condiment 薬味
中国語と比較してもまた面白いのですが、国によって料理法も異なるので、火の感覚も変わってきますよね。
和製英語
紫蘇は辞書にはperillaと出てきますが、shisoで通じたり、枝豆もyoung soy beanでもいいですが、料理本にはそのままedamameと書かれていたりします
tsunami, karoshi, hikikomoriなんかもそのままになったりしてるので、案外、和食の食材なんかは、日本語を使ってdaikon raddishのように言い換えるのもいいかもしれません。
そばのように、外国にもある作物の場合はむしろ、sobaよりもbackwheatと言った方が通じやすいと思います。酒はrice wineよりもはや"saki"が通じますよね。
言葉の多様性と風土
雑穀は、粟も黍も稗も、辞書にはそれぞれfoxtail millet, common milletなど名前が付いてますが、違いを認識できていないので、全部まとめてmilletでOK。逆に英語の場合、麦の種類の違いは豊富で、小麦wheat、大麦barlety, ハトムギ oatsと別の種として認識されています。日本語では全部麦の亜種くらいの扱いですが、文化によって表現の多様性のレベルが異なるのは面白いですね。
ちなみに、中国語の場合も、大陸と台湾では呼び方が違います。トマトは大陸では西红柿(西の赤い柿と書く),台湾では番茄(異国のナスって感じ),じゃがいもは大陸では土豆,台湾では马铃薯(日本でもバレイショと言いますが、台湾経由で入ってきたのでしょうか?)。
料理教室の通訳をしていると、このような文化の多様性が言語に与える影響が見えてきます。語源をたどって行くと、その国でその野菜が根付いた歴史に辿りつきます。食卓の通訳から始まる異文化交流。食は国境を超えた文化交流のいいテーマだなあと思います。
(写真:GWに宇陀で開催した井口和泉さんの「発酵の5日間」にて)