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ガイド業と田舎暮らしの親和性

全国通訳ガイドの現状

語学試験で唯一の国家試験でもある通訳案内士。法律の大幅改正により、通訳案内士資格がなくてもガイドができるようになりましたが、そもそも、ガイドが足りてないといっているわりに、実際のところ、通訳ガイド名簿への登録者のうち、実際に稼動しているのは26.4%(うち、専業は10.2%)、年収は、62.2%が100万円未満なのだそう。働き方改革が話題となる昨今ですが、もともと業務委託が当たり前だったガイド業は、フリーランスはごく普通。足りていないのではなく、主婦(夫)業の傍らされている方も多いので、稼働率が低いのですかね。

ただ、ガイド業は季節労働なのです。春と秋に集中するため、夏と冬はがくんと減ります。専業でされてる人気ガイドさんは別ですが、夏と冬の仕事をどう乗り切るかが、業としてやっていけるかどうかのポイントなのでしょうね。

この点、収入について書こうと思いましたが、先輩ガイドさんのいい記事がありましたので引用。

季節労働としてのガイド業

畑をしたり、保存食を仕込んだり、田舎暮らしはしたいけど、自給自足はムリと思っていた私。ガイド業という復業は、自由になる時間を確保しつつ、四季のリズムに合わせた暮らしができる田舎志向の自分にぴったりの仕事でした。

今住んでいる奈良県の室生は京都市内からは約2時間。京都市内のガイド依頼が圧倒的に多いですが、できるだけ市内の普通の観光ガイドはお断りしています。なるべく奈良に近い宇治茶の農家さんを訪ねる旅や、山辺の道を歩く旅、薬草狩りや藍染めの旅など、海外の人がなかなか自分では予約できない旅をコーディネートしています。

春先はお茶摘みが始まり、茶農家見学のツアーや、野草のツアーが増えてきます。秋は手仕事系だったり、発酵食の料理人さんがやってきたり。四季の変化にあわせて、仕事の内容も変化していきます。ガイド業は四季の暮らしとともにある季節労働だなあと思っています。

実際のところ収入はどうなの?

収入については上記リンク先が詳しいですが、主に、2つのパターンがあります。

◎団体のスルーガイド:複数日かけてあちこちまわる団体旅行。5−6人の少人数グループもあれば、30人の大型バスでまわるグループ旅行もあります。

◎FIT:個人旅行のワンデーガイドなど。2〜3泊の宿泊つきで京都や奈良の田舎(off-the-beatenといったりします)をガイドすることも。ファミリー層や、カップル、友だちなど、2、3人のことが多いです。多くて2家族6名くらい。

スルーガイドはエージェント経由も多いですが、HPを見てご連絡いただいた海外の幹事さんや、口コミでご紹介いただいた方からダイレクトで受けることもあります。

エージェント経由の場合、10日間のツアーで約20~30万円(チップの額による)に通信費、食事代等の諸手当が付く感じです。エージェント経由せずに個人に直接来るガイド依頼では、さらにコーディネート料を上乗せするので、1週間あたり約30万円。FITだと、1日2万5千円〜3万円が相場というところ。月10日ガイド稼働すると、あとの残り20日は畑をしたり、書き物をしたりしつつ、とりあえずの生活費は稼げるという感じです。

もちろん、毎月どんどん仕事があるわけではないですが、むしろ、ずっとガイドばかりしてても飽きるし、ヒマな時には、旅に出かけたり、趣味のお稽古留学したり、自分の時間を作ってワーク&ライフバランスを保つことも大事だなあと思ってます。翻訳やライター業などとの掛け持ちもしやすかったりします。ちなみに、私は冬場は味噌屋でバイトしてました。収入というよりも、自分が気持ちいいと思える働き方を選んでいたらこうなったという感じです。

田舎暮らし時々ガイド

理想を言えば、いま住んでる場所に来てくれるお客さんを増やしたいのですが、外国のお客さんを受け入れてくれる滞在先がまだまだ地域に少ないのと、発信が弱いので、他地域のメニューと組み合わせで、いろんな場所をまわることが多いです。

今後は、出稼ぎ分を徐々に減らして、暮らしている場所でガイド業も成り立つようになれば、もっと自分のテーマを深める時間が増えるのになあと思っています。だいたいは5月の連休過ぎると落ち着くのですが、もう最後のツアーにするといいつつ、まだ店じまいできずにいる梅雨の候。7月はツアーを受けず、ゆっくり、秋以降の旅行企画書を書きたいと思います。

じっくり、里山の自然と向き合う生活がしたいという思いと、全国の村と村をテーマでつなぐ旅づくりも楽しい、という思いが交錯し、今のところ、全国の農村を渡り歩くスローライフじゃない田舎暮らしを送っているという現状です。

趣味×ガイド業のススメ

2018年1月からの法改正で、通訳案内士の資格がなくても、だれでも外国人へのガイドができるようになりました。多少外国語がしゃべれたら誰でもできる仕事です。

資格なくてもだれでもできるようになると価格が暴落するのでは?という懸念もありましたが、資格が撤廃されて半年。給料が下がったという話は聞いたことがありません。むしろ、個性豊かなガイドが求められるようになっていくのではないかと期待しています。

登山ツアー、バードウォッチング、お好み焼き巡りツアー、聖地ガイド、カメラ女子ツアー、などなど、趣味を生かしてもっとマニアックに何かに特化した旅の形がどんどんできてゆくのではないでしょうか?

音楽ツアーとか、趣味を全面に出したものだと、むしろ語学力は二の次になると思います。趣味を活かしたガイド業をナリワイのひとつにいかが?



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