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なぜ日本にはゴミ箱がないのか。
外国人のガイドをしているとよく聞かれることのひとつが、「日本にはなぜゴミ箱がないのか?」ということ。
お寺に「護美箱」と書かれた箱が設置してあることがありますが、公園や商店街、ストリートにもゴミ箱がありません。日本では、ゴミ箱がないのに、道にゴミがちらかっていないことを不思議に思われるようです。
ガイドツアーで高野山へ行ったとき、尼さんがこんな話をしていただきました。
蓮の花は美しいけれど、地中は泥にまみれていて、手をいれてお世話をしてあげないと花は咲きません。奇麗な花を咲かせるためには、誰も気づかないところで誰かが泥だらけになっているのです。体は滅んでも、その美しい香は遠くまで届き、いつまでも残ります。その人の行為は、だれかの記憶になって残ります。それを少し心に留めておくと、世界が違って見えるでしょう。
お寺のお庭を見ていると、落ち葉ひとつありません。毎日、だれかが箒で掃いていて、それは日課で、お勤めのひとつだといいます。
これ、まさにゴミの話にもつながるなあと思うので、蓮の話を例に使わせていただいています。
汚くしているとまわりにどうおもわれるだろうか、お客さんはどう思うだろうか?見た人がどう思うかを考えて、自分で出したゴミは持ち帰る、これが日本の文化なのです。
こんなジョークがあります。沈みかけた船から、乗客に飛び込んでもらう為にかける言葉。
ドイツ人:ルールだから飛び込んでください。
イギリス人:名誉の為に飛び込んでください。
アメリカ人:保険がかかってるので心配せず飛び込んでください。
日本人:みんな飛び込んでますよ。
みんながどう思うか、他人の眼を気にしすぎてしまうのは、悪い面もありますが、他の人がどう思うかを常にきにかけるのが日本人なのです。
そんな話をしながら、バスの中のゴミを持ち帰ってもらいます。
バスドライバーさんは、外国人のツアー客(アジアばかりでなく、欧米人でも)はゴミが多いからやだな、と思っておられるようです。チップを渡しているのだから、ゴミの処分をしてもらうのは当たり前だと思っているのかもしれません。
こういう日本の精神にちょっとふれておくと、日本人の公共の場を美しく保とうとする意識に敬意を払ってくれますし、ゴミへの意識も違ったものになるかもしれません。
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