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訪日外国人の食事制限への対応

食習慣の多様性の外国語

ヴィーガンとか、コーシャ、ハラールって最近よく聞きませんか?

外国人向けのガイドをしていると、けっこう食事のリクエストが多いのですが、宗教上の理由だったり、健康上の制限だったり、ローフードなどの流行りや、動物も、生きた植物も殺さない(果実の採集はよいフルータリアンなど)愛護の思想だったり、ベジになった理由も様々です。

ベジタリアン(菜食主義)にもいろんな種類があって、動物性のものは卵やミルクもダメな人もいれば、部分菜食の人で、動物の肉がダメだけど魚は食べるよ、という人もいるわけです。なので、ベジですって言われても、宗教上の理由なのか、健康上の問題なのか、何が食べれるのか、細かく聞く必要があるのです。

ヴィーガン+グルテンアレルギー(セリアック)だとさらに大変。醤油や出汁も使えないわけですから、最悪、ご飯とサラダだけの食事になったりすることも・・・。

なのでまず、和食のDashiの説明から入ります。出汁にはカツオが入ることも多いこと、和食から醤油と出汁を抜くと、残念な味付けになってしまうこと、ちゃんと説明すると、健康上の理由でない限り、出汁はOKだという人も多いのです。

日本では、精進料理のときはヴィーガン対応もオッケーなわけですが、食事制限に対する日本語の言葉の多様性って、実は少ないのだな、ということに気づきます。きっと日本はほぼ単一民族でそれほど食事の好みの多様性はなかったということでしょうか。

英語の表現を見ていきましょう。

食事習慣に関する英語の多様性

Vegan:完全菜食主義

Lacto ovo vegetarian: 卵と乳製品はOK

Ovo vegetarian: 卵はOK

Lacto vegetarian:乳製品はOK

Pollotarian: 鶏肉はOK。他の肉(魚や動物)は食べない

Pescatarian (Pescetarian):魚はOK。他に肉(動物)は食べない。

菜食のことをplant-based dietと呼んだりもします。こっちの方がどっちかというとフレキシブルかも。

宗教上の食事

ハラール認証でおなじみイスラム教徒の戒律に乗っ取った食事ですが、KOSHERと書かれた商品を見たことはありますでしょうか。ユダヤ教徒の戒律に基づいて作られた食を認定する「コーシャ」認証も最近見かけるようになって来ました。全世界で1400万人とイスラム教徒に比べると少ないですが、宗教上の理由というよりは、JASなどの食品表示と同じように、厳格に作られた安全で健康な食べ物という認識で広まっているようです。日本にも認証機関があるようです。


赤い肉と白い肉という分け方

あと、I eat white meat but no red meat.と言われることも。白肉と赤肉ってなんだと思います?同じ魚でも赤と白があるんです。

Red meat : 牛、羊、豚、まぐろ、かつお

White meat: 鶏、白身魚(たら、ひらめ、はまちなど)

たしかにーー!って感じですが、日本語にはこういう分け方ないですよね。

アジアの仏教系だと、五葷抜き(ネギとか生姜とか刺激のきついスパイスもダメ)の精進系だったり、ユダヤ教のコーシャ、イスラム教のハラール認証を求められたりすると、日本には選択肢がなかなかないんです。

英語と比べた時に、日本語の食習慣を表す言葉の幅の少なさを見てもわかるように、個人の好みに合わせてカスタマイズしたものをだしてくれるレストランも少ないのです。

結構な確率で訪日外国人は食のマイノリティの依頼があったりするので、逆にオーガニックだとかローフードだとか、ヴィーガン料理をテーマにしたツアーがあれば、需要があるかもしれません。

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民族植物と食の実験室 | 里山文庫@奈良
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