パソコン通信からインターネット黎明期そしていまのネット社会、そして未来のために
1.ネットワーク社会黎明期から現在までの通信技術の変遷
「ガチャン、ピーヒョロヒョロヒョロガー」と電話線にモデムという装置をつなげて、受話器をあげる動作(昔の電話は受話器を上げると始めてダイヤルが出来る仕組みでした)を行うと、ファクシミリの送信の際に聴くことの出来る「ピー」とか「ガー」というような電子音。
正体は「1」と「0」を音で表したものでした。
この音声信号を相手先で受信して電気信号に変換する。
また、相手から送られたものは同様に音声から電気信号へ変換することで通信を実現していました。
家庭で使える有線通信回線もアナログ公衆回線、ISDN(デジタル)回線、アナログ公衆回線+ADSL(アナログ公衆回線に高周波音声を流す、上下で非対称な高速通信)、光回線と進歩してきました。
また、ポケットベル、自動車電話、携帯電話、PHSと進化してきた無線通信回線も、長らくPHSが高速通信が出来ると(ISDNと同速度)して君臨していましたが、携帯電話も2G、3G、4G、そして5G(「G」はジェネレーション、日本語でいう「世代」)と通信速度が飛躍的に向上しています。
5Gが世界中の注目の的となるのは、ほぼ遅延のない通信が出来る5Gが地球上どこでも使えるようになると、例えば東京から遠く離れた地域の土砂災害で、二次災害の恐れがあるような作業現場での土木作業機械の遠隔操作が東京で出来ます。通信に遅延がないので、細かい作業を行っても、その情報がその場にいるように扱えることは画期的で、技術革新だけではなく、今後の現実社会を変えていくものになります。
5G通信網という世界的な社会基盤整備の主導権を握りたい。米国と中国がギクシャクする1つの原因にもなっています。
2.ネットワークの進歩は人類に幸福をもたらさないのか
私がいまの仕事に就いた頃、Windows95が発売されてパソコンとインターネットが人々の身近なものになり始めました。
その頃は、まだ海外とのテレビ中継などは、通信衛星を介していることの方が多かったように思います。それがリアルタイムで地球の裏側とも通信できるようになる未来はきっと人類にとって素晴らしい世の中になっていくような明るい未来をぼんやりと想像したものです。
しかし、それから四半世紀経った現在、スマートフォンが普及する世界にあって、世の中の人と人はどこの国でもデジタル信号の様に相反する考えの人と人がハッキリと分かれてしまい、いがみ合うようになってしまいました。いわゆる分断です。
その原因として挙げられるのが、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)です。
「人的交流促進支援サービス」というべきこのサービスが普及し、使う人が増えるに従ってなぜか反比例して分断が進んでいるようです。
まるで旧約聖書の「バベルの塔」にあるように人間が驕り高ぶり、天上へいる神に近づこうと高い塔を建てたら、神の怒りを買ってしまった。
神は、それまでは同じ言語で話していた人類の言葉をバラバラにしてしまい、人々は争うようになったという話と同じような状況になってしまったと感じます。
このサービスの良いところは、居住地域、人種、年齢、性別、職業等のどんな属性の人でも、属性にあまり左右されずに同じような考えの人々が集まれることにあります。
(※Facebookの様に属性でつながるサービスもあります。)
逆に悪いところは、自らが聞きたいと思う意見や情報しか入ってこなくなることです。
この良いところはグングン伸ばす、悪いところは放っておくような仕組みが、残念ながら様々な差別などをはじめとして、時としては史実までも塗り替えてしまうような負の強化を促進しています。
この仕組みに影響される人が多いのも事実で、あなたの周囲の人でも急に人が変わったように近隣諸国や社会的弱者に対する批判を通り越した罵詈雑言を語るようになった人はいないでしょうか。
きっかけは、本や雑誌、新聞だったとしても、情報の氾濫しているネットの海にはもっと真実があると誘われて、ネットの世界に飛び込んでしまっているのではないでしょうか。
私もこのネットの大海で泳ぐのが得意などこれっぽっちも思ってはいません。逆に溺れかけそうになりながらも命綱付きの浮き輪をつかみながら、現実世界とネットの双方を行き来しているのが正直な感想です。そう、映画「マトリックス」シリーズの様にです。
3.私達はどのようにネットと付き合えば幸せになれるか
さすがに私一人でこのネットの大海原を干拓しますとか、島を作りますなどという大変革は起こすことは万に一つもありませんし、そんな無謀なことは考えてもいません。
私も人のことを言えませんがネット依存症に近い傾向にあります。折角買った書籍も中々読み進みません。(読むのが遅いというのも原因ですが・・。)
私達に出来る(実は私がしなければならない?)ことを4点挙げてみたいと思います。
(1)ネットの世界から離れてみる
最初はつらいですよね。でも、出来るところから少しずつ。
(2)ネットの情報だけを信用しない
ネットの情報って便利なんですが、ラジオ、テレビ、新聞、出版などのマスメディアには敵いません。なぜならば、私がこうして書いている文章は何の校正も経ずに世に出ています。
マスメディアが恣意的な報道をするようになってしまいましたが、さすがにありもしないことを報じるまで落ちてはいません。
情報発信力のある国務大臣、地方公共団体の首長、議員、有名YouTuber、著名人では情報の裏取り(本当にその情報は正しいか否かを確認すること)は出来ません。
上手にネットの情報とマスメディアの情報を見聞きして、判断しましょう。
出来ることならば、大手紙なら読売新聞・産経新聞と論調が違う毎日新聞、朝日新聞を見比べる様に相反するところがどう報じるかを見ることをされた方が良いと思います。(判断に迷うような事柄は特に)
(3)自分に置き換えてみる
そんなことを言われたりされたりしたら嫌だなぁと思うことは、他の人もされたくないことです。
そういった境遇にない状態であれば、どんなに歳を経ても理解できないこともあります。ですが、こんな時にこそネットの大海原を泳いでみましょう。どこかにそういう悩みや課題が提示されていることがあります。また、たどり着くことが出来なかったとしても、いろんな人に聞いてみるのも良いかと思います。
(4)親しい人に意見を求める
あなたの味方になってくれる人に聞いてみましょう。
かしこまって相談するよりも、雑談で「こんなことがあるんだけどどう思う?」なんて感じがいいと思います。
4.科学技術によって人間は不幸にも幸せにもなれる
新しい科学技術を生み出すのも人間、その科学技術を使いたがるのも人間です。
特に新技術が悪用された例は史実にあるとおり枚挙にいとまがありません。
例えば、ダイナマイトがそうでしたし、原子爆弾や水素爆弾もそうでした。
どこまで技術革新が進んでも、最後は人間であると思うし、そうであって欲しい、いや、そうあるべきだと思います。
そのためには、各々の分野において人としてするべき、しないべきことをもう一度考え、倫理観を磨いておくことも必要だと思います。
5.方向転換が不得意な日本人(電力の問題を例に考える)
人類には制御が難しい新技術というのもあって、代表格は原子力エネルギーや核融合ではないでしょうか。真面目で勤勉と言われる日本人にも制御が出来なかったのです。
日本社会は昔もいまも方向転換が不得手ですが、強いリーダーシップで変えていくのではなく、国民的な議論が必要です。なぜならば、原子力発電所立地自治体や周辺自治体だけの問題ではないのです。莫大な電気を消費する大都市圏の住民も、結果的に産業の無い地方に押しつけるのか等の問題があります。
また、雇用の問題もあります。原子力発電所で働くのは電力会社や電力会社の子会社の社員だけではありません。プラントメーカーや関連の企業、機械などのメンテナンスを行う下請け企業の社員、それら原子力発電所で働く人たちのための衣食住を賄う企業の社員にも影響が出ます。
そういった大量の人材をどうやって他の産業に転換できるかということも含めて考えなければ無責任ではないでしょうか。
そういう議論をするという点においても、社会問題や政治問題に対して日頃からそれらの重い課題であっても自らの問題として考え、考えを述べ合えるような環境が必要だと考えています。
それは、避けては通れない結局、自分に降りかかってくる問題だからです。
テレビドラマ「北の国から」のようにすべての電力を自家発電して生活していたら全く関係ないとか、うちの電気はクリーンエネルギーの電力を買っているんだからという方も中にはおられると思います。
でも、送電される電力は、ご家庭で使う段階では、水力、火力、原子力はもとより東京電力などの既存の電力10社のものもクリーンエネルギーの電力もごちゃ混ぜで送られてきています。正確に言えば、そこの地域はどこそこ発電所の発電した電力と、どこそこ発電所の混合だとかいうことになります。
じゃぁなんでクリーンエネルギーの電力を買っているのにと悲観することはありません。その発電によって作られた電力を使う権利があるのです。ですが、実際に使う電力はその電力とは限らないということです。
また、クリーンエネルギーの電力を使っていても、送電線を使って供給されているその送電網は、東京電力などの既存の電力10社の子会社が基本的には送電しています。(一部の例外を除く)
そういった送電網などにいままでどれだけの公的投資を行ってきたかのコスト等もありますから、費用対効果を考えながら移行しないと、あれだけの社会インフラをやめてスマートグリッド(次世代送電網)構築だというのもいいのですが、莫大な資金調達はどうするの?大増税?という問題もあります。だからこそみんなの問題なのです。
6.最後に
私自身の話で恐縮ですが、国政選挙期間に新聞社のサイトで実施される「どこへ投票したらよいか」等のサイトで自らの政治志向を計測すると、社民党~自民党(宏池会)辺りまでを行ったり来たりします。
どちらかというと、中道左派、支持政党のない無党派層の一人です。
そんな私ですが、正直者が笑顔でいられる。冬の晴れた日には雪を被った富士山を見て綺麗だなぁと感動し、春には川や公園で桜を花見して綺麗だなぁと感動し、夏は夜空に花開く花火を見て感動し、秋は夕暮れの夕焼けに感動する。
そんな日本であって欲しいし、これから私達が鬼籍に入った後、後生の世になっても平和で四季の移ろいを愛でることのできるような穏やかな社会になっていて欲しいと願うばかりです。