「ズルい奴ほどよく吠える」12
■12 福沢学園小学校・裏手(夕方)
明日香が待っていると、城田が雪と西川に連れてこられる。
城田 「ちょっと何なんですか」
雪 「だから大切な話だって言ってるじゃないですか」
西川 「ちょっとだけですから」
城田 「(明日香を見て)あっ、お前は!」
明日香 「はじめまして」
城田 「こないだ校長に怒鳴ってた人だよね。何でここに?」
雪 「私の友達です」
明日香 「先日はお騒がせしてすいませんでした」
雪 「ほら、謝ってるんだからもういいじゃないですか」
城田 「はあ・・・」
西川 「そんなことより城田先生が警察に捕まるって聞いたものですか
ら」
城田 「え?警察に?」
西川 「そうです。城田先生もあの夜屋上にいたんでしょう?」
城田 「僕は行ってないですって」
西川 「じゃあ警察が間違ってるってことですか?」
城田 「間違ってますよ。僕は下にいただけなんですから」
雪 「何で下にいたんですか?」
城田 「それは・・・」
雪 「全部城田先生のせいになるかも知れないんですよ」
城田 「そんなあ」
雪 「それでいいんですか」
城田 「・・・分かりましたよ」
西川 「話してください」
フラッシュバック。
一万円札を拾い集める吉岡。
石原 「これは何ですか?」
政春 「これは・・・」
政春、名義変更届けを奪い逃げていく。
石原 「待ちなさい!」
吉岡 「待ちなさい!」
石原 「城田先生!」
城田 「はい!」
石原 「あなたはそれ何とかしときなさい!」
城田 「はい!」
石原 「吉岡先生!」
吉岡 「はい!」
石原、吉岡追う。
城田、お金を拾い続けていて
雪 「それで城田先生はどうしてたんですか?」
城田 「僕はお金を拾ってました」
雪 「で?」
城田 「待ってました」
西川 「それで、その後はどうしたんです?」
城田 「しばらくしたら外でドサッって音がして・・・」
明日香、目を背ける。
城田 「何だろうって思ってたら、校長先生たちが真っ青な顔で降りてき
て」
西川 「それから?」
城田 「みんなバーって走っていなくなっちゃいました」
西川 「そうだったんですか」
城田 「そのとき誰かが判子を落としていったんです」
雪 「判子?」
城田 「織部先生の判子です」
雪 「織部先生の?それどうしたんですか?」
城田 「持ってますよ。ほら」
城田、政春の印鑑を出す。
岩倉、来て。
岩倉 「こんにちは」
城田 「あ、警察の・・・」
岩倉 「城田さん、その印鑑、警察で一旦お借りさせていただきます」
城田 「え、はい」
印鑑を岩倉に渡す。
岩倉 「ありがとうございます」
明日香 「岩倉さん、私を尾行してたんですか?」
岩倉 「警護です。心配だったんで」
明日香 「そうですか」
西川 「城田先生、あの夜、他にあと二人いましたよね」
城田 「あと二人?」
西川 「校長先生と吉岡先生・・・他に後二人、誰だったんですか?」
城田 「・・・」
明日香 「大手建設の人じゃないですか?」
城田 「大手建設?何でですか?」
雪 「後二人いたでしょう」
城田 「・・・いました」
あすさ 「誰でした?」
城田 「知らない人でしたね」
明日香 「知らない人?」
岩倉 「もしかしてこの人じゃないですか?」
写真を出す。
城田 「あ、この人です。あとこの人も・・・」
明日香 「え?」
岩倉 「この人って・・・?」
暗転。
SE・学校の屋上。夜の強い風
非常階段を上ってくるカンカンカンという音。
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公演台本「ズルい奴ほどよく吠える」
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