穢れた聖地巡礼について
ノートのアカウントだけ取得して、4年以上放置していることに気づいた
特に書くことはないのだけれど、穢れた聖地巡礼についてを購入したのでそれについて考えたことを書こうと思う
以下ネタバレなのでよろしくね
六部殺しについて
人生にとって大切なことは全てゴーストハントが教えてくれた。六部殺しもゴーストハントで習った。
みんなで読もうゴーストハント。
マレビト殺し、ソトから来たものを殺して金品を奪う、すると殺されたマレビトは生まれ変わって何か呪いのことばを吐く。
現代的な怪談では「今度は殺さないでね」とやられるあれ。
お遍路とかの下地になっている概念なので、昔は罪を背負った人が六十六箇所の霊場を回って罪滅ぼしをしたりしていたらしい(昔某首相がお遍路やってたアレですかね)
昨今ではだいぶ荒れてしまった霊場もあるらしく、蓋を開けてみればこの物語は割とストレートに六十六部の話でしたね
風船男
敬一に呪われた元カノ、あるいはそれに似た経緯をたどった呪いとして生まれ変わる前のもの。
最初はSNSで同様の目撃例が集まったというのは話が広まることでどこかから呪いが発生してくる伝播のたぐいかと思ったけれど、どうも本作ではそういうものはあちこちで結実し、どこかで生まれ落ちているっぽい。
ググったら赤子なので頭が大きく、首が座っていないという考察を見た。天才。これは呪いの胎児の物語。
変態小屋
幸江曰く、背後に現れた「神様」、これは他の「呪いの胎児」たちが浄化されて消えることを恐れて、また新たな呪いを生み出すために、母をそそのかして回っているらしい。
母となる条件は、実の親がいないこと。
小林たちはなぜ小屋に写真が集まるのかの答えを得られないが、答えは簡単で「教える存在がいる」から。
親がいない人間が誰かを呪う、殺したいと念じる、そうするとなにか人間を呪いの胎児にしたい存在が現れて、その人に囁く。その方法は短期的には相手を呪い殺せるわけだけど、結局はその人を生まれ落ちる呪いの母胎にする呪いなのだ。
娘が呪いの言葉を吐く、娘を寝かし、お祓いイベントに写真を持ち込む、それでも呪いは消えない。もう一度変態小屋に女の写真を投げ込む、もちろんもう女は呪いの胎児になっているから効果はない。
その後にあるのは悲しい結末だけ。
天国病院
当然ですが胎内巡りの話です(断言)
磁場の影響なのかなんなのか、この病院は変態小屋や人形屋敷のような場なのだろう、そこに円形の病棟が作られ、看護師たちはずっと胎内巡りをさせられている。
死人と電話が繋がる、風の音がする。もちろんこれは胎内音だし、クチャクチャ音がするのも胎内の心拍なのかなあと思うけど、さすがに医療関係者ならそこはわかるか。
この病院で呪いの胎児になると、綺麗になるまで院内でぐるぐる廻るのだろうか。だから生まれ出ることができずに、脳死の人に乗り移るのだろうか。
でもエッセイストが数年後に自殺したというのだから、やっぱり出産したら子供が呪われた子だったのかも。
そもそも、ボスについては親がいないとかの情報がない、いじめは陰湿だけど、他の子にもしていた。
死神はエッセイストの幼い頃から、夢で彼女を追いかけていたと言うから、両親がいないという以外にも何か素質があるのかもしれない。
その素質がある人に、神様は語りかけ、小さな不満を呪いに仕立て上げる。
ボスがいじめていたのは1人じゃないので他にも死んでいてもおかしくない、なぜ急にその子が死んだのだろう。呪ったのはボスなのだろうか。
人形屋敷では誰か人間のような形のものが確かに場を封じていて、それを解くと怒りを露わにする。
結界を解いた人は明らかに呪いに追われているから、呪いの胎児は物に封じ込めて結界の中に閉じ込めることができるのだろう。
ボスの例では、看護師が結界の中で死んだために、脳死の患者の体に閉じ込められたのだろうか。
マンションに閉じ込められて死んだ子は、誰も呪うことなく死んだから、穢れた輪廻から解放されたんだろうか。
輪廻ラブホ
謎の男、敬一。
「あなた覚えてるんでしょ、あの時言ったこと。私たちのこと、責めてるんでしょ?」
ネットの感想を読んでいると、親が敬一に何かを言い、それを敬一が覚えていて責めているという解釈をしている人をちらほら見かけたけど、話の筋から言って、幼い敬一が両親に何かを言った(おそらくこんな晩に、的なことを)敬一はそれを覚えていないけれど、両親は敬一が「自分は殺されたアイツの生まれ変わりであること」を自覚しており、今も両親を責め続けていると誤解しているように思う。
敬一には無論記憶はないらしい。
呪いの胎児はよなよな徘徊し、やがて子供として呪った人間の元に生まれて、親を自殺させてそして成長する。その子らは小さな不満を呪いに変換しやすい性質を持っていて、まだ誰かを死ねと呪い、呪いの子を産む。
輪廻転生の流れがここでわかる。
輪廻ホテルの妻も、おそらくそう言う事情で死んだのだろう。
ググったら六部が体の前に鉦をつけていることになぞらえて、前金=前鉦の語呂合わせで風俗嬢のとこを六部ということがあるって書いてあったけど関係あるかな。
一階の絵が先なので、2階の絵から生まれるのは一階の女なのだ。
「こんな晩に、元気なあなたが生まれます。」
そして輪廻ホテルでは、その素質がない母親でも呪いの子供を産むなにかの仕組みがあるらしい。こわ。
白い足を絵に投げつける、元カノの家に石を投げ入れるのは儀式的に明らかに繋がりがあるんだろうけど理由は思いつかなかった。
ふつうのファミレス
これが敬一の話なのかはわからない。
伝わった話というのは脚色されて原型をとどめていないのはここまでの話の通りなので。
(人の間をぐるぐる回る間に、強欲な人間の欲によって歪められて悪いものになってしまう、という構造が、呪いと報道や噂話で共通している)
おそらく子供の親は誰かを呪って、その誰かがビルで焼身自殺したんだろう。
そして「こんな晩に」といったんだろう。
でっちあげ怪談
六十六箇所巡りの霊場は、そのほとんどがすでに廃れて浄化の役目を果たしていない
黒い石で飛び跳ねるナニカが見えたというから、某近畿地方のあの場所も昔の霊場の一つなのだろう
池田が浅はかな巡礼者なのは、些細な嫉妬から同級生を呪おうとしたところではなく、勘違いから呪いの輪廻を断ち切りそうになっていたからなんだろうな。
じゃあカナエさんってなんなんだろう、結果的には輪廻を止めていたわけだけど、一掃するほどの効果はない。
次作以降があれば登場するんだろうか。
また何か思いつけば書きます。