読書日記 ずっと読みたい
『町の悪魔を捕まえろ』
ジャナ・デリオン 島村浩子/訳 創元推理文庫
超おもしろい〈ワニ町〉シリーズの最新刊が発売された。12月頃だと思っていたから嬉しい驚き。
前作では、恋人のカーターに正体を知られてしまった主人公のフォーチュン。アーマドには逃げられるし、カーターとは別れることになるし、一体どうなるんだろうと心配していた。
買ったのはいいものの、もったいなくて読むことができず数日は表紙を楽しんだ。
赤いカツラをかぶってぴったりしたミニドレスをまとったフォーチュン。なぜかシスターの格好をしたガーティと男っぽい服装のアイダ・ベル。今度はどこに潜入する気なんだろう。
装画を見ているだけでにやにやしてくる。後ろの壁にかかっている魚の絵はなんだろう。ナマズのように見えるけど…。
休日の午後、コーヒーを淹れていよいよ本を開く。心配したとおり、フォーチュンはソファに寝たまま、3日もお風呂に入っていない。お腹が空いたかどうかもわからないなんて、ずいぶん弱っている。
でも、もちろん事件はフォーチュンをほうっておいてはくれない。今度はシンフルの町にロマンス詐欺の被害者が続出。こんな「邪悪」な犯人を野放しにするわけにはいかない。
読み出して20ページもしないうちにニヤリとして、80ページにさしかかるころには涙ぐんだ。忙しい。
おもしろすぎるので、ちょこちょこ本を閉じてほかのことをする。すぐに読み終わってはもったいない。そう思っていたのに、気づけばもうあと数十ページしか残っていない。残念がりながらも、あっという間に最後まで読んでしまった。とても満足。
ところで、このシリーズは本国では28冊まで刊行中とのこと。まだまだ楽しみたい。こういったコージーミステリのシリーズは途中で翻訳されなくなることが多い。いろんな事情があるのだろうけど、どうか最後まで出してほしい。せめてアーマドとの決着がつくところまでは。英語のできない読者(私)のために、東京創元社はぜひがんばってほしい。