[Re:] Re-try; オールドレンズの楽しみ -- (8) Carl Zeiss Ultron 50mm --
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こんにちは。
この note オールドレンズの楽しみ も9回目、紹介したレンズも8本目となりました。写活も Film カメラに及び、ますます楽しくなってきました。次回あたりレポートしたいと思います。
これから季節は大好きな桜の季節に向かいます。今年は、「写活、サクラ前線と共に北上」っていうのもやってみたいなと思っています。
[Re:] Re-try;少年の頃、大好きだったこと -- オールドレンズの楽しみ --
さて今回は、昨年末、手に入れたCarl Zeiss 社製 Ultron 50mm f1.8。ご存知かと思いますが、このレンズは一番前に凹レンズを配し、通称凹みレンズと呼ばれます。オールドレンズファンの間では有名ですね。開発は Voigtlander、後に Carl Zeiss 社に合併されたことからもレンズの質が高いことを窺い知ることができます。
私がこのレンズを知ったのは、確か30年ほど前。一旦、入射光を広げておいて、後段のレンズで絞る カメラレンズの機能としては矛盾した作用を取り入れた光学設計に強く惹かれてしまいました。
凹レンズを導入した意図などは、Web上に数多の資料がありますのでそちらを参照していただくとして、私が、感動したこのレンズの魅力をレポートします。
ボケは f1.2 級
使ってみて、そのボケに強烈な感動を抱きました。そのボケの量と味は f1.4 級をはるかに凌駕する(つまり、使ったことはないけど f1.2 級の)印象です。
上の写真は、神田川にかかる万世橋の欄干。川をバックに撮りました。神田川の水面のさざ波がトロッと溶けたように写すことができました。一方で欄干や落書きの輪郭の切れ味はしっかりしています。
煉瓦の目地に生きる雑草。ピント面から僅かに前後するだけで豊かなボケが現れます。開放でもピント面の解像がしっかりしているので、対照的に前後のボケが圧巻です。後ボケは多重気味で前ボケの方が滑らかで綺麗です。
点光源の後ボケは、渦巻き状のバブルボケになりました。これは、先々の写活で楽しみです。
横道にそれますが、この Ultron を加え、現在、手元にあるバブルボケを楽しめるレンズは3本になりました。Domiplan 50mm f2.8 と Biotar 58mm f2.0 です。今年はこの3本の得手不得手を極めた撮り方も探って見たいですね。
後ボケは、2線、3線、、滲み などが渾然となってうるさくなりがちですが、この写真のように鉄柵状の規則性のある構造物にしてみたら独特の繰り返しパターンが発生して面白くなりました。(適当な被写体がなくて、コカコーラのボトルをアクセントにしました。禁じ手ですね。お恥ずかしい限りです。が、時々やります。)
後ボケが少しうるさいと書きましたが、構造がうるさくても色がシンプル、2系統色程度だったらそうでもないですね。この写真は、Ultron のボケ写真の中でも気に入った写真の一つです。
寒色系が綺麗なレンズ
このレンズの寒色系の発色が好きになりました。清々しくキリッと引き締まった冬の景色、春の暖かい空、ギラギラした太陽光の炎天下、それぞれ体感温度も表現できる気がしてきました。
青黒い隅田川の水の色、夕方の弱い太陽光が作る薄水色、清々しい冬の夕方が表現できました。
ビルの窓ガラスの微妙な青色の違い、ビルの窓に映し出された緑色がかったビル、様々な「青」の違いを再現し、写し出すことができました。
コントラストが高く、ダイナミックレンジが狭いので、比較的早く黒側が潰れるようです。しかし、四隅までしっかり解像されていて、さすが Carl Zeiss, Voigtlander ブランドの実力を感じます。
エッジが太く、金属の質感が素晴らしい
さて、このレンズ、開放近くのボケとは対照的に、f5.6〜8 ではエッジが太く力強い描写になります。
快晴の空、低い冬の太陽がビルと鉄橋を照らしていました。鉄橋のエッジ、ビルの窓枠の線が太く、コントラストが強いことと相まって力強く感じます。鉄骨の質感も伝わってきます。このレンズで「鉄骨美」を狙うのもいいなぁ。
空は偏光フィルターを使ったような濃い青、ビルは群青色、鉄橋はやや沈んだ緑で加えて太陽光の反射がよく表現されています。これは、真夏の強烈な太陽、まさに灼熱も表現できそうです。
金属とガラスの質感が良いです。このレンズは、f5.6くらいまで絞り、被写体深度が深くなると金属やガラスの質感表現が豊かになります。ピント面の解像度が高くなるからでしょう。
太陽光の入射を斜め後ろからにコントロールして、暖かい春空、暖かい秋空のような独特な青 −− これをオリンパスブルーというのでしょうか −− を再現できます。
この写真も空は偏光フィルターを使ったような濃い青空です。「真夏の灼熱の太陽の下」という言葉を添えてもなるほどと思わせる色合いですね。
カメラ用語では語れない描写力
Carl Zeiss Ultron 50mm, 年末に購入して集中して使ってみました。感動したことをカメラ用語でまとめてきましたが、そういう term で括ることのできない気に入った写真を紹介します。
冬の低い太陽光は、良い影を作ります。お気に入りを買い物した後なのか、寒空を足速にかけていく様子が写せました。
この写真、フィルムのフレームの中に納めたら、アニメーションの1コマのように見えるかもしれません。
合成イラストにもチャレンジしたいと思います。
渋め、まさに、オールドレンズテイストの写真が撮れました。ちょっとピントが甘かったです。
こういうシーンは何を写したかったのか 後から文字に書き出せないですね。ちょっと意味ありげな装飾に惹かれて撮ったのだけど、飾り手の意図に感動しないといい写真が撮れないですね。反省。(今回はレンズのレポートということで。)
普段使いしたいレンズ
ここまで読んでいただきまして、ありがとうございます。
凹みレンズという特徴を持ったこのCarl Zeiss Ultron 50mm f1.8、ボケの豊かさ、解像度の高さ、特徴を最大限に引き出して使いたい実用レンズです。
同様のバブルボケの特徴をもつ Domiplan 50mm f2.8 と Biotar 58mm f2.0 と比べてみる楽しみも増えました。
さて、次回レポートする私の楽しみ、思案中。
フィルムカメラ (Canon FTb / FD 50mm f1.4 と FL 50mm f1.4) に踏み込もうかな?