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[Re:] Re-try; オールドレンズの楽しみ -- (7) 旭光学工業 SMC Takumar 55mm --
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こんにちは。
どうにも治らないこの筆不精。前回投稿から、また1ヶ月経ってしまいました。このひと月、筆は不精でしたが、写活の方は念願のCanon FL 50mm f1.4 を手に入れ、Kodak社 Ektar 100 Film と組み合わせたり、これまた念願だった Carl Zeiss 社 Ultron 50mm f1.8 を新たに加え、そのボケ味を試したりとなかなか充実しておりました。どちらも順々にレポートしていきたいと思います。
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[Re:] Re-try;少年の頃、大好きだったこと -- オールドレンズの楽しみ --
さて今度のレポートは、1971年、アサヒペンタックスESと時を同じくして発売された SMC (Super - Multi - Coated) Takumar 55mm f1.8。その名の通り、それまで単層だったコーティングを多層膜、それも、7層ものコーティングが施されたレンズです。当時の旭光学の意気込みが感じられます。やや黄色みを帯びたレンズに青と紫色の反射光が浮かび上がる綺麗なレンズです。
余談ですが、当時、私は12歳、”♫ アサヒペンタックスィーエース ♫”というCMソングが今も記憶のどこかに。
Super - Multi - Coating の威力
さて、レポートは、SMC (Super - Multi - Coating) の効果から。この効果は絶大ですね。逆光でも色彩は豊かです。
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この写真は、冬の低い太陽からの光が斜め前から入ってくる状況で撮ったものですが、燻製窯の渋い赤色が再現できました。
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さらに強い光が真正面から入ってくる条件では、さすがに空の青色は失せていますが、工事中の線路の茶色、太陽光に輝く線路が思い描いた通りに撮れました。線路の細い線も遠くまでしっかり解像しています。
赤色系の発色が秀逸
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このレンズ、全般に発色は良く、特に赤色系の表現が豊かだと思います。背景のパイプに塗られたペンキの赤、自転車のサドルの赤、車輪の赤、それぞれの微妙な違いも見たままに再現してくれています。
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シチリア料理のお店の陶磁器のディスプレイ、こういう複数色で色鮮やかなオブジェクトの撮影で、このレンズは本領を発揮。ここでも赤色系の再現は見事です。陶磁器の質感の表現も良いですね。
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原色に近い赤色も簡単には飽和せず、階調を保っているようです。
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赤色系の発色が豊かなこのレンズ、モノトーンの中に、赤色系のポイントがあるシーンが得意かもしれないです。
一方で、明暗差の大きいシーンでは、その階調の制御で難しいところもあります。次の写真をご覧ください。
ダイナミックレンジには慎重に
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この写真は水に浮かんだ色とりどりの花を日陰で撮ったものです。白い花の諧調が残るように露出条件を決めたわけですが、右下の薄い青色と白色のカーネーション、菊の花、その斜め上の紫色の菊系の花までは豊かな階調を映し出すことができました。右上の赤いカーネーション部分は暗く沈んでしまいました。白飛びを覚悟すれば赤の諧調は表現できたでしょう。
普段からスマートフォンのHDR (High Dynamic Range) 写真に馴染んでいるせいか、やっぱり、ダイナミックレンジの狭さを感じてしまいます。これはレンズの特性に加えてカメラの機能、現像ソフトウエアの仕様によるところが大きいですね。
Canon EOS にはオートライティングオプティマイザーというダイナミックレンジを調整する機能があったけど、マニュアルレンズでも使えるのでしょうか? 原理的には使えそうですが、今度、試してみよう。
緻密な描写で無機的な写真も
解像度が高く、逆光にも強い。この特性を利用して無機的な写真にチャレンジしました。(とは言っても無機的とは生命を感じさせないという意味ですから、写真のように窓があれば人の生活を感じますし、エアコンの室外機からも人の営みが感じ取れるわけで厳密な意味で無機的ではありませんが。)
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豊島区役所、失礼な言い方ですが、異様。規則性もなく不安定で落ち着かない、なんだか下から上に増殖して高いビルを飲み込んでいくようにも見え、不気味な感じもします。解像度の高い描写力がそれを助長しているようです。
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ビルの外壁に張り付いた室外機、パイプ、陽に照らされる煉瓦様のビル壁。壁からの反射光で逆光の条件で撮ってみました。
解像度が高く、逆光でもこの緻密な描写力、50年前に製造されたレンズでも今でも立派に通用します。
使うシーンを考え込んでしまうレンズ
ここまで読んでいただきまして、ありがとうございます。
現代のレンズに勝るとも劣らないこのレンズ、発色も豊か、解像度も高い、階調表現も豊か、まさに実用レンズとして今も通用します。それなら無理をして50年も前のレンズを使う意義も薄れてしまうわけです。
しかし「このレンズでなければ」というシーンが必ずあると思うのです。その特徴が、もしかしたらこのレンズの欠点かもしれませんね。そういうのを見つけて使い倒したいと改めて思いました。
さて、次回レポートする私の楽しみ、思案中。
フィルムカメラ (Canon FTb / FD 5omm f1.4) に踏み込もうか? 新しく手に入れた Carl Zeiss社 Ultron 50mm f1.8 にしようか?
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