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[Re:] Re-try; オールドレンズの楽しみ -- (1) Mayer社 Domiplan 50mm --

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[Re:] Re-try;少年の頃、大好きだったこと -- オールドレンズの楽しみ -- 

noteを初めて、記念すべき初回のレンズは、旧東ドイツMayer社製 Domiplan 50mm f2.8 。
わずか3枚のレンズで構成された実にシンプルなこのDomiplan、潔いほどのシンプルさが発揮するその良さと限界を併せ持ったとても個性的なレンズです。


美しいバブルボケ

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Domiplan 50mm f2.8 開放で撮影。夕方の吉祥寺ハモニカ横丁。
このレンズの魅力は、なんといっても華やかな玉ボケ。手前の提灯に最短距離でピントを合わせると後方には、何とも昭和な色合いの玉ボケが浮かび上がります。
このレンズを通すと隣り合う玉ボケの色が滲みだして混じり合い、実物の華やかなイルミネーションの横丁が、一味も二味もちがって見えます。
ちなみに、f5.6まで絞って無限遠近辺で撮るとこうなりますから。現代のレンズにも劣らないクッキリ系の写りですね。

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話をボケに戻しましょう。

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Domiplan 50mm f2.8 開放で撮影。午後の三鷹市 山本有三記念館 で。
このレンズ、街のイルミネーションをぼかして色とりどりの華やかなボケを生み出すこともできますが、木漏れ日を点光源にした白色の玉ボケにも違った趣があります。
この一枚、木々の隙間からこぼれる日光を背景に撮った一枚ですが、木漏れ日がまるで水槽の水草から漂う気泡のようにボケてくれました。玉ボケの輪郭が立って、シャボン玉のように見えます。そう、バブルぼけ。
風が吹くと木漏れ日は瞬きをするように出たり消えたり。私がこのレンズを使って楽しみなのは、ボケの映り込みの予見困難性。
まぁ、撮った後にビックリしたいということでしょうか。ボケの色、形、重なり、滲み、ちりばめ具合、、予見できるまでまだまだ時間がかかりそうです。
そうだ、この写真、タイムラプスで撮って繋げたらどうなるんだろう? 気泡が浮かび上がってくるように見えるのだろうか? 試してみる価値がありそうだ。

驚異のグルグル渦巻き状ボケ

さて、このレンズにボケの予見困難性に楽しみを見つけた私ですが、実は、それ以上にこのレンズの極めつけと思っているのが「驚異のぐるぐる渦巻状ボケ」。まず写真をご覧ください。

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Domiplan 50mm f2.8 開放で撮影。午後の調布市 深大寺植物公園 で。
真夏の真紅の薔薇の周りに、薔薇の葉に反射した日光をぐるりと配置しました。
このレンズ、非点収差でバブルボケは円周方向に長い楕円形に変形します。周辺に行くほど収差が大きいので、中心から遠ければ遠いほどバブルは円周方向に長くなっていきます。その効果で背景が渦を巻いて薔薇を渦の中心に引き込んでいるように見えます。
このぐるぐる渦巻状ボケ、非点収差という数値にしてしまえば、一般論ではこのレンズの限界ですよね。それを敢えてレンズの個性、レンズの味と思えば、予見困難性と相まって個性を活かした写真を撮りたくなります。

カリッとクッキリ

もう一つ、このレンズの魅力。中心部は驚くほどカリッとクッキリ映るのです。周辺にでは豪勢な収差や画像が盛大に流れて個性的(敢えて欠点とは言いませんが、一般論では欠点)な一方、中心部は最新のレンズに勝るとも劣らない写りです。

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Domiplan 50mm f2.8 開放で撮影。午後の調布市 深大寺植物公園 で。
はなびら一枚一枚のエッジが立ち、花びらの筋状の模様も再現されて、花全体の立体感も表現されています。
このレンズは、1960年代、旧東ドイツ Meyer-Optik Görlitz 社製、わずか3枚のレンズで構成された Triplet 型。シンプルなレンズだからこそ、中心部の切れるような写り、立体感が生まれるのでしょうね。周辺の渦巻状ボケとは対照的なこのレンズの魅力です。

Triplet は1893年 Cooke社のDennis Taylor によって発明されました。周辺部の各種の収差を補正できるのが売りでした(by Wiki)。3枚構成という単純な構成ながら、収差が補正できる、コンピュータ解析などなかった時代にはとても重宝されたと想像します。

オールドレンズは考えに考えて楽しむ

最小枚数で構成されたシンプルなレンズが生み出す、中心部の切れるような写りと立体感、収差の補正が売りだったはずが、盛大に残って渦巻を演出するバブルボケ。この一見正反対の個性を活かすには、考えに考えて撮らないとならないのでしょう。楽しみです。

さて、次に紹介する私の楽しみ。何にしようか思案中。旧ソ連製のレンズにしようかな。Industar 50mm f3.3。

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