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【劇場】

途中で止め止めでなければ観れないほど、えぐられる言葉が、淡々と綴られていく。
一時停止を押しては、アイスコーヒーで感情を胃に流し込む。

「いつまでもつだろうか」
この言葉が頭の中でリフレインしている。

行定監督の演出も、又吉さんの言葉も美しくて切ない。

触られたくない部分を触られてる感覚。
胃の内容物を吐き出したいのに、吐き出せないような苦しさ。

純粋さに触れると、劣等感に襲われることがある。
心が痛い。

又吉さんは、女性のキャラクターを、なんでこんなにも優しくて、残酷に描けるんだろう。
アイスコーヒーを飲み干してしまった。

物語の終盤、また一時停止を押して、深く息を吸い込む。
息苦しい。
ここでやめようか?
でも、画面から目が離せない。

山崎賢人さんは、この撮影中に死にたくなったりはしなかったのだろうか。
すべて壊したくなるような、それでいて守りたいような矛盾した感情がまとわりついてくる。

まるで挿絵のように挟まれる風景が切なくて美しい。
もう一杯、アイスコーヒーを入れる。

松岡茉優さんが演じるヒロインの優しさが、心を蝕んでいく。
めちゃくちゃいい子やのに、どこか不幸を背負っているような、負のオーラを纏った女性は、現実社会でも見かける。
見ていて、切なくて悲しくて、でもどうしようないようなサガを感じてしまう。

幸せになって欲しいのに、幸せにはなれない。
何も悪くないのに、ダメになってしまうシナリオ。

ヒロインが、「ありがとう」と言った時、「ごめんなさい」で心が潰れそうになった。
小劇場出身の僕としては、痛くて、苦しくて、でも優しくて、愛に溢れた素晴らしい映画であり、演劇でした。

演劇ができることは何なのか?
演劇にできることなんて、何もないのかもしれないけれど、それでも舞台に立ち続けています。

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