【ゲット・アウト】
ジェイソン・ブラムが製作のサイコスリラー。
恋人の実家を訪ねた黒人の青年が、そこで想像を絶する恐怖を体験するというもの。
ゾンビやスプラッター物とは違い、この作品は、精神的な恐怖が付き纏います。
笑いも、感動も、恐怖も、人の心を動かすという点では同じです。
映画のトレイラー(予告編)にも使われていましたが、家政婦の黒人女性(ベッティ・ガブリエル)が、引きつった笑顔を浮かべながら、涙を零すシーンは圧巻でした。
そのシーンの真意はクライマックスで明らかになるのですが、意味深であり、観客の目を釘付けにしてしまう彼女のあの演技は必見です。
もう一つ注目なのが、アリソン・ウィリアムズの、前半と後半の瞳の違い。
前半の優しく包み込むような瞳と、後半の静かなる狂気を秘めた瞳。
清らかな水が濁り、まるで濁流となって、すべてを水底へと引き摺り込むような恐怖がありました。
主人公の友人役のリル・レル・ハウリーなど、キャスティングのバランスが絶妙です。
ビジュアルといい、陽気な雰囲気といい、彼の存在が、この作品をより面白く、そして鑑賞後の心の拠り所になりました。
役者として、"陰"は演技でカバーできますが、内から滲み出る"陽"は、演技では表現しにくい天性のものがあります。
"陽"の役を演じれるのは、それだけで、とてつもなく大きな才能だと思っています。
ハリウッド映画には、たびたび"陽"のキャラクターが登場しますし、この作品においても、リル・レル・ハウリーの存在は、とても大きなものでした。
役者を目指している人には、是非観てもらいたい映画です。