11.音のセンタリング(音作り)

(旧サイトの「オンラインレッスン」の記事のアーカイブです。 2017-02-09の記事です。)

ここでは、様々な高さの音で、音のセンターを見つけていくための練習をご紹介します。

もちろん、ここにある方法が絶対のやり方などというものではなく、あくまで一例としてご活用いただければと思います。

譜例

画像1

画像2

■大原則

この楽譜にある練習はどれも、以下の二つの点を大原則として作成されています。

1)全ての音をセンターで吹く(センターを見つけていく)
2)全ての音をできる限り美しく、連なる音を音楽的に吹く

1)全ての音をセンターで吹く(センターを見つけていく)

第一に重要となることは、音のセンターを見つけていくこと、です。(「音のセンター」「音のツボ」についてはこちらで述べました。)

半音ずつ、全ての音のセンターの感覚は異なりますから、それぞれの音が最も無理なく響く位置を、見つけていきます。

丁寧に、ひとつひとつ、感覚を見つけていきます。

2)全ての音をできる限り美しく、連なる音を音楽的に吹く

非常に機械的な練習内容ではありますが、無機質に音を並べていくのではなく、できる限り美しく音楽的に演奏していくようにします。

スムーズで美しい旋律として吹けるようにしていきます。

■A

まさに、半音ずつ音のセンターを見つけていく、という作業です。

それぞれの音を、それぞれの音のセンターで吹けるように(それぞれの音で最も楽器が共鳴し最もスムーズに息が流れ最も楽に音が鳴るポイントで吹けるように)していきます。

「音のセンター」の項でも述べましたが、感覚の大雑把なままではこの練習は何の意味もなしません。丁寧に、少しの差に敏感になっていけるようにしましょう。

それぞれの音をセンターで吹けた時には、結果的に、それぞれの音に最も適した唇や舌や喉やその他の体の状態に向かっていることと思います。また、半音の違いというのはごくごくわずかでほぼ同じに感じられることと思います。その音を出すための無駄な部分が減り、音の高さの違いとそれを出すための自分の吹き方との誤差が、最小限になっていくでしょう。

そして同時に、できる限り美しく音楽的なフレーズとしてこれを吹けるようにしていきましょう。

丁寧に、音それ自体の美しさ、音の移り変わりのスムーズさ、といった点を追究していきましょう。

譜例は途中省略していますが(点線の部分)、半音ずつ、全ての音で行うことが理想です。

繰り返しにはなりますが、このような作業は、感覚の精度を磨いていく作業であり、丁寧さと集中力と時間と好奇心の必要なものです。

決して、音を出すために「(身体的な)辛さに耐える」作業ではなく、むしろ逆に「より楽に美しく音が出るようにしていく」作業であるわけですが、ここにはある種の忍耐・根気が求められるでしょう。そしてこの種の忍耐は、他人により強制されることで達成されることはなく、当人が自律的に行うかどうか、にかかっているものだと私は思います。

■B

Aとほぼ同じ内容ですが、初めの音をタンギングし直す点が異なります。

こちらのパターンの方が音のセンターを見つけていきやすい場合は、こちらが良いと思います。

AとBは、基本的には、自分がやりやすい方、という基準で選択してみてください。

■C

単音で音を響かせる練習です。

譜例にはデクレッシェンドが書いてありますが、意図的にデクレッシェンドするわけではなく、音が自然に減衰するに任せるようにします。

音の出だしからセンターで吹くことができれば、その音を押し込んだり支えようとすることなく、自然に音は響き、自然に減衰していきます。

センターから外れていればいるほど、音がすぐになくなるか不自然に音がどこかで切れるか、などの結果になります。音をある程度伸ばすためには音を押したり支える力を余計に付加しなければならない状態です。

AやBと比較すると、この練習は、出だしからダイレクトに音のセンターで吹くことを求められる練習と言えます。

■D,E,F

Dから先は、応用的な練習と言えます。

音程(隣り合う音の高さの差)が、少しずつ開いていきますが、どの幅でも、どの高さの音でも、常にそれぞれの音のセンターで吹けるようにしていく練習です。

結果的に、どの幅でも、どの高さの音でも、均一な音質が得られるようになっていきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?