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ラーメン凪 創業記 第9章:開業間近だけど…

ラーメン凪 代表 生田悟志が高校卒業から凪創業に至るまでの波乱万丈な創業記!?前回まではこちらから

開店まで2週間

2006年6月

開業、起業
ワクワクと将来への展望を抱きます。

しかし、そんな綺麗事は偉人の本だけの話です。実際は非常に日常的な結果と違いはないのです。

そして起業、開店についていまも鮮明に覚えています。

たったひと言。

熱い。暑過ぎる。

一体なんだこの暑さは。。地獄灼熱の8月ようだ・・・

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開店2週間ほど前の6月頭・・・
壊れかけの店舗を前に、
エアコンをどのように配置するか?
ガスコンロやスープ台の配置はどうするか?
ダンボールを重ねたり試行錯誤をしました。

席配置も苦心しました。なんせ予算は通常の半分です。
ほとんどありものでやるしかないので、テンポス(厨房用品の中古店)でデートするレベルで通いつめ、奥にある使えないものをストックしているスペースみたいなところからいろいろ見つけてはあーでもないこーでもないっとやってました。
雀荘の卓番があると「これでラーメン食べたらおもしろそー」とか言って遊んでましたね。

お酒も楽しみながらラーメンも!ってことでカウンターとかつくったりしました。偶然、その物件は外にも小さいカウンターがあり、外席もつくっちゃえということで5席ほどつくりました。
結果25席ぐらいの店舗がようやく見えてきました。

キッチンも冷蔵庫や茹で麺機を配置します。
その茹で麺機はネットで見つけた、ご飯を炊く用の御釜です…
よくあんな危ないものを茹で茹で麺機と称して使ったものですね。

ラーメンにとって大事な丼ですが、お金がないので河童橋を回って見つけたのがお好み焼きで使う丼でした…笑。
今でもそれは流通しているので、それを見るとほんと懐かしくなります。
そうやってわいわい楽しく準備は着々と進みました。

味作り

さて肝心な味作りです。

ラーメンは、清湯(ちんたん)スープと白湯(ぱいたん)の2つが主なベースです。
間借り営業のお客様アンケートでも常に80点以上の点数を出していた豚骨の白湯をベースに改良しようと試行錯誤しました。

スープは豚の頭を20個ほど入れて、160リットルの寸胴でグツグツ炊き上げます。
炊いてる時から「あれ?換気悪い?」的な怪しい感じがありましたが、まだ季節が6月だったのでそこまで気にはなりませんでした。

スープも作っては捨てての繰り返し。
炊き出し直後は灰汁がすごいのですが、その灰汁をどの程度まで取るかでスープの色、雑味、最終的な味が変わってきます

カツオなどの魚介を効かせて味の余韻や印象をどう持っていくか?

そもそも僕たちは何がウリなのか?

正直悩みました。

美味しいラーメンは作れるんです。
ただちゃんと喜んでもらえるか?
それは食べたお客様が一杯のラーメンをどう食べてくれるか?

不安は日々積み重なって行きました。

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生田、夏山、西尾の3人で始めるのですが、

ラーメンの味は生田

限定や一品は西尾

お酒・接客は夏山


ってことで僕のパートは完全に出遅れ感満載でした。

正直焦ります。

なかなかこれだ!という感じが決まらず。
でも決めなければいけません。今思えばあれが1番最初の「意思決定」です。

チャーシューやラーメンに使う基だしなどの仕込みも進めながら、試作で余る肉をどうするか?ということになり、閣議決定で「売ろう!」ということになり、日中片側一車線の狭い通りの歩道でチャーシューごはん350円を突如販売。

近くに変なラーメン屋さんができるという噂を聞きつけて?20個ぐらいは売れていきましたが、それでも売れ残るわ近所からクレーム出るわ…

後で分かったのは、お店がある地区は住宅街チックな閑静なエリアだったんですね。なのでおねーちゃん系お店がないなど、日本繁華街工業地区とかって枠が決まっていたんです。知るわけないじゃーん笑。

しかし、いまさら振り返らずともやっぱだいぶキテますねぼくら。
開店前にラーメンの味付けにつかうタレの塩分を調節し、旨味をタレに移し寝かせる必要のために出たチャーシューを開店前にゲリラ販売。
社長言い出しで以下みな突撃隊のごとく動く。
当時からアホの規格外だったことは否めませんでした…

高橋さんと菊〇店長

そういえば開店前にちょっと面白い思い出があります。
開業前に働いてた、新中野武蔵家の店長(今は野方ですっごい濃ゆいラーメンを作っています。せーいっ!!)達がサヨナラ会を開いてくれました。

1年近くお世話になった家系です。
年代も近くてザ!バイト職人として人生を捧げてもいいと思うくらい楽しかったです。店長はツンツン頭の好青年。
白黒はっきりしているので、青春漫画のような挨拶、もはや号令近い声出しなど突出したモノを持っていました。

またコアなサブメンバーも素敵でした。
その1人が高橋さん。暗記力は抜群で、18席のカウンター全員のお好み(個別の味のリクエスト)を一瞬で暗記します。

僕なんて3つまでしか、いや厳密には面白いお客様が来ると、
「このカップルはどういう関係なんだ?60のおっさんと親子にはみえない30代の女性。しかもすっぴんだし?」とか思っている時に、

カタメ、油少なめ、ネギなし

とか言われると、すっかり頭に入らないんですよね。
で、どんどんオーダー入ってくるとすっぽり抜けちゃいます。

お好みは紙に書かず記憶するというのがここでの掟です。
結局いつもの感じで作っちゃうんですけど、そのカップルにラーメンを持って行って思い出すんですよ。

「あ!!なんかいってたな。。。」

でも手は既にラーメンを持って、カップルのカウンター着陸寸前です。
そこで必殺の呪文を言います。

「カタメほにゃらら・・・」

と語尾を小さくして何をいった聞き取れない作戦です。
非常時のみ使わせていただきました笑

でも高橋さんは覚えていたからすごかった。
でも出来るのは記憶だけで、あとは本当にバカでした。
あるとき、

「1-1はなんでしょ?」

とぼくに質問してきました。

「え?0でしょ。」

って言うと、高橋さんはニンマリして、

「違うよー1だよ。」

ぼくは思いました。
本気でバカっているんだと気がつきました。

その日から高橋さんは特別枠先輩として敬うことにしました。

さてそんなおもろい麺ばーとのお別れです。
ワイワイ飲んで、開業の夢を語ったりして、またみんなと馬鹿騒ぎしてカラオケに行きました。もう深夜0時を回ったことろでしょうか。

店長がトイレに行って戻ってこないので、ぼくの北九州出身の鋭い勘がビッっと感じました。

”何かに遭ってるなこりゃ”

そもそもカラオケの部屋に行く途中に、チャラい男集団と肩がぶつかったりと臭いがでていたんです。

歌ってる部屋を出て、外へ行くと。。。案の定10対1みたいな感じで店長がさっきのやつらと睨み合っているんですよ。

あちゃー。。。まさに、今日から俺は!の伊藤状態です。

店長(そういえば店長の頭は当時からツッパてたな、伊藤ぽい)空手有段者でもあったんで、簡単に負けることははないだろうと思ってましたが、相手は10人です。

睨み合いから叫び合いのー!ゴング!!!

店長の有段者ハリケーンパンチは相手にバカスカ決まりました。
開始10秒で早くも優勢です。しかし敵は10人です。敵うわけありません。

僕もその乱戦に特攻隊として突撃させていただきました。
もちろん今日俺!の三橋ようなノリです。
右手に鉄棒持ってボコボコにしてやりました!!って書ければかっちょいいのですが、実際は近くにあったパンフレット丸めてポコポコと叩いてまわりました。

当然あっさり返り討ちされてしまいました。
で乱戦のまま、もつれて外に出てふと見ると店長は血まみれ。
完全に膝は床に落ち、これ戦国だったら直後打ち首になる感じでグッタリ。蹴りが頭に入ったらちょっとシャレにならんと。あー終わったわこれ。ってことで最後の賭けにでます。

店長の前で完全無血の土下座をし、大声で深夜の新宿三丁目に響かせました!

「●✖️△◾️●×△◯」(もう終わりだ。やるなら俺をやれこのやろう的な

殴られて死なないように、手を道路に置いてボコられ覚悟しました。

とりあえず痛いけど我慢だなこりゃ。
店長にはお世話になったけど、ほんと最後まで手がかかるよ・・・とつぶやきながら。。。

あれ?パンチこない?キック来ない?

北九州だともう血祭りになってるよね。。。あれ?

さすがに10対2です。
深夜のカラオケ前。もうシュール以外ありません。
人だかりができ、流石の10人も勘弁してやるか的な空気になったんでしょう。無事終戦を迎えることができました。

って、あれ?まだ開店してないの?

冒頭のフリはなんなのよ!?

と読者の怒りが聴こえてきそうですが、もうすこしお付き合いください。

今後のこともあるのである程度告知していきます。
◯開店1年目の嵐
◯開店2年目の吹雪
◯開店3年目の暗雲
◯開店4年目の精鋭部隊
◯開店5年目の奇行
◯開店6年目の偶然
◯開店7年目の武人
・・・・・・・・・・開店13年目のミライ

凪の初期展開、ブランディング、震災での青空食堂、海外店舗パートナーの裏切り・のっとり、海外30軒を超えてこれから。そして社員教育、ダメダメ採用。。。

つづく!(毎週火曜更新)

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