純ジャパがTOEIC900点台に載せた時の勉強法
大学生の頃に、TOEICで910点を取りました。
私の英語学習歴は次の通りです。
英語を学び始めたのは、中学1年生から(早期学習などはしていない)
インターナショナルスクールではなく、普通の日本の学校
海外留学経験なし(20歳になるまで、パスポートすら持っていなかった)
いわゆる「純ジャパ」と呼ばれる部類の人間だと思います。
そんな私がTOEICで910点を取るまでの勉強方法を紹介します。
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前提
まず最初に、大切な前提を共有します。それは、
「英語ができること」と、「TOEICで点数が取れること」は、必ずしもイコールではないということです。
言い換えるならば、同程度の英語力を持つ人であっても、対策の有無で、点数は大きく変わり得るということです。
これは、TOEICに限らず、テスト全般に言えることです。本質的な「学力(今回で言うと英語力)」と、テストで点数を取るための「得点力」を分けて考える必要があります。
それぞれについて、学習法を説明します。
英語力
英語力を身に付けるためには、英語「を」学ぶのではなく、英語「で」学ぶことが重要です。「学ぶ」といっても大袈裟なものではありません。
自分の興味のあることに、英語で触れるようにすれば良いのです。野球が好きなら、MLBの中継や記事を英語で見てみる。ヨガをやる習慣があるのなら、レッスン動画を英語で見てみる。人工知能に興味があるのなら、英語でレクチャーや講演などを見てみる、といった具合です。
この時、YouTubeは非常に強力なツールになります。視覚情報も一緒に入ってくるので、内容の理解の助けになるからです。
ただ、肩肘張って一生懸命理解しようとしなくても大丈夫です。そこそこの理解度でも良いので、継続することが大切です。自分の好みや生活スタイルに合わせて、続けやすいやり方を選ぶのが良いと思います。
私の場合は、散歩しながら英語のPodcastを聴いたり、隙間時間にYouTubeでレクチャーを見たりしています。
やり方は人によります。活字ベースの情報の方が親しみやすい方であれば、本を読むのも良いでしょう。もしも英語を話す友人がいるのであれば、英語で話すもの良いかもしれません。
雑なようですが、長期的に考えて、「継続すること」以上に重要なことはありません。ここでは、TOEIC対策というよりは、英語という言語に慣れ親しむことを目的としています。
毎日5分でも良いです。触れる英語も内容も何でも良いです。なるべく毎日やるようにしましょう。仮に毎日やる習慣が途切れてしまったとしても、問題ないです。「もういいや」と思わずに、途切れた瞬間から再開しましょう。過去の蓄積は無くなりません。
英語はあくまでも言語です。学問ではありません(もちろん、言語学の文脈で捉えることもできますが、TOEICやビジネスシーンで求められるのは、言語としての英語です)。
言語は「習うより慣れよ」の世界です。(日本の)学校での英語学習のやり方は一旦忘れましょう。「こんな適当で良いの?」と疑問に思うくらい、気軽に始めましょう。
コンテンツは何でも良いです。「何でも良い」と言われると逆に何をすれば良いかわからないという方は、普段日本語で検索することが多いものを、英語で検索してみましょう。
すぐに内容が分からなくても大丈夫です。一生懸命理解しようとしなくても大丈夫です。「ふーん、こんな雰囲気なんだ」くらいで良いです。とにかくそれを継続してください。
「これで本当に英語力が身につくの?」と思うくらいが丁度良いです。なぜなら、そのくらいで無ければ継続できないからです。
騙されたと思って、適当に英語に触れ続けてください。英語「を」学ぶという発想を捨ててください。すぐに捨てられなくても、一旦脇に置いておいてください。
英語「で」学びましょう。気軽に英語に触れ続けましょう。いきなり何時間もやる必要はないです。1日1分からで良いです。「英語」という言語、そして英語学習に対するハードルを徹底的に下げましょう。
習うより慣れよ。できる範囲内で地道に継続しましょう。理解度は適当で良いです。「勉強している感じがしない」、「これで本当にできるようになるのか分からない」。そんな考えが頭をよぎるかもしれませんが、安心してください。
言語習得の過程には、「沈黙の期間(silent period = サイレント・ピリオド)」と呼ばれる期間があります。成果が目に見えて出てこない期間のことです。そんな期間であっても、脳内では確実に変化が起きています。淡々と英語に触れ続けましょう。
得点力
得点を取るためには、テストの形式に慣れる必要があります。形式に慣れるためには、とにかく問題を解く必要があります。
TOEIC公式の問題集などを使って、問題演習を積みましょう。
その際、なるべく一定のペースで行うようにしていください。
週末に1回分(あるいはリーディング or リスニングだけ)、1日に大問1つ分などです。
モチベーションに頼らず、習慣化することが大切です。「時間も体力も有り余っていて、物足りない!」という時は、予定よりも多くやっても構いません。しかし、予め決めた量を下回らないようににしてください。
もしも、不足の事態が起こり、計画した分が終わらなかった場合は、「計画を下方修正してください」。
例えば、「1日に大問1つ分だけ解くぞ!」と決めたのにも関わらず、それができなかった場合は、「2日で大問1つ分」のように計画を変更してください。
間違っても「明日大問2つ分解いて挽回しよう!」などと考えないでください。
それは「終わりの始まり」です。
「今回はたまたま急用が入ったから」、「たまたま体調を崩しただけ」。そう言って計画が頓挫したことはこれまで何度あったでしょうか?
長期的に習慣化するためには、「小さな達成感」を味わい続けることが肝要です。「頑張って挽回しよう」と思っている時点で、短期的なモチベーションに頼ってしまっています。長期的には継続できません。
量を減らしても、確実に計画をこなしていくことが大切です。こなせなくなったら、こなせる量まで減らしましょう。余力がある時は、「プラスα」として、計画よりも多くやる分には構いません。
しかし、心の中でこっそりとノルマを多くしてはいけません。ノルマはどんなに少なくても良いので、確実にこなせる量にしてください。
これは、長期的に学習を続ける上では極めて重要な点です。
「テスト対策って、問題を解くだけ?」
問題を解くだけです。中には次のような勉強法を提唱する人もいます。
単語帳を何周もする
わからなかった文法をノートにまとめる
間違えた問題をまとめて自分だけの問題集を作る
などなど。
確かに、TOEIC対策だけを考えたら有効かもしれません。この記事を読んでいる方の中には、上記のような勉強法を実践したことがある方もいるかもしれません。
しかし、それが今でも続いているでしょうか? おそらく殆どの方は継続できていないと思います。
それもそのはず、皆さんはTOEIC対策だけをしている訳ではないからです。
学校の勉強、部活・サークル、アルバイト、仕事、家事、育児、介護など。日常の様々なことに忙殺されながら、合間を縫ってTOEIC対策をしているはずです。
そんな方に、上記のような「TOEIC対策だけを考えた勉強法」を薦めることは、いささか無責任にも感じます。理想論すぎるからです。
私は実践的な内容をお伝えしたいです。極端な話、多忙な人は、問題を解くだけで、丸つけすらしなくても大丈夫です。これだけでも効果があります。詳しくは、「テスト効果(Testing effect)」で検索してみると良いと思います。関連する論文などが沢山出てきます。
日本の学校教育を受けてきた方々は、インプット偏重の学習に慣れています。「インプットがあって初めて、アウトプットができる」というモデルを作ってしまっています。確かに、学習の初期の初期の段階(初めて英語という言語に触れるといったレベル)では、インプットも大切かもしれません。
しかし、テストを受ける段階にある人にとっては、アウトプットの割合を増やすことが重要です。アウトプットがあって初めて、何が必要かがわかり、インプットの精度も上がるからです。
アウトプットの回路を鍛えるためには、とにかく問題を解くことが大切です。解きっぱなしであっても、十分に効果があります(もちろん、丸つけできる余裕があるなら、した方が良いです)。
暴論のように聞こえるかもしれませんが、極めて実践的なやり方だと自負しています。
まとめ
TOEIC対策は、「英語力を伸ばすこと」と、「得点力を伸ばすこと」の両輪です。前者「英語力を伸ばすこと」のためには、英語「で」学ぶことが有効です。
これは肩肘張ってやる必要はありません。頑張って内容を理解しようとしなくても大丈夫です。何となく英語に慣れ親しむ程度で良いです。息抜きだと思って楽しみながら英語に触れ続けてください。
後者「得点力を伸ばすこと」のためには、問題を解くことが大切です。少しずつで良いので、淡々と解き進めていってください。
「1日に小問1つ」といった些細な目標でも良いので、確実にノルマをクリアしていってください。
余力で「プラスα」をやるのは構いませんが、心の中でこっそりとノルマを増やすのはやめてください。達成感を感じ続けないと、習慣化に失敗するからです。
また、どうしても忙しい人は、解きっぱなしでも大丈夫です。問題は解くだけでも、アウトプットの回路が鍛えられるからです。もちろん、余力がある方は丸つけもしてください。
以上になります。お読みいただきありがとうございました。皆様のご健闘をお祈りしています。
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【関連書籍、ブログ記事など】
スティーヴン・ガイズ『小さな習慣』
私が上記で書いた習慣化についてのテクニックがまとまっています。非常におすすめです。
ETS『公式TOEIC Listening & Reading 問題集 10』
問題を解く際は、基本的に公式問題集だけやれば良いと思います(公式問題集って結構高いですよね……。気にならない方は、中古を買ったりしても良いかもしれません)。
さとし『生涯学習という観点では、とにかく持続可能性が大切』
私が以前書いた記事です。実験をもとにした「最善の」勉強法に対する疑問を投げかけています。継続することの重要性を説いています。
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