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憧れの画家、ワイエスに逢いに
アメリカ最高の現代画家Andrew Wyeth
大学Rhoade Island School of Designに着く。ヒロシさんと学校の学生の展示をちらっとみる。もう学校は休みの様で誰もいない。
玄関の前に置いてある作品。ひどい服の作品ばかりと感じた。 学生とはこんなものなのか?
「なんだこれは... 」
これが本当にアメリカで2,3番に優秀なファッションコースなのか? 服のデザインもしたこともない僕でもそう感じた。
遠くまで出てきて、なんだったんだと思った。 ヒロシさんは横にいたがもちろん無言である。
丁度良いことに、この大学には博物館もあった。
Boston Museumの美術学校はたぶんBoston Museumのものなのだろう。果たしてこのMuseumは学校のものなのか?逆なのか?
ヒロシさんはどこかに行ってしまった。 別の用事があるのだろうか。
ともかく僕はひとりで美術館にいくことにした。
そこで僕はとても記憶に残る素敵な体験をした。
時間がなかったから急いでみた、中世の作品には興味がなかった、いや中世の作品はなかったかもしれないけど、現代芸術のもので印象に残ったものはすくなかった。 その中の一つ、はっきりいってこの作品以外は覚えていない。
ぼくが気になった作品はピカソの絵だ。
「これがピカソ?」
よおく眺めた。 近くにいってみたり、とおくでみたり。
どうみてもロートレックの作品にしか見えない。
そこで僕の近くに立っている、若い女性が、ヒールをこつこつといわせながら声をかけてきた。
美術館のスタッフがお客さんに声をかけていいのだろうか...どこまで自由な国なんだ(イギリス留学の時もしょっちゅうありました、日本以外は自由なのかな)。
「あなたラッキーね。その絵はもうすぐどこかに移動するのよ」
やっとのことで多少の英語が理解できる様になっていたので、彼女の言ってることがなんとなくわかった。
「この絵は...ロートレックじゃなくて、ピカソの絵なんですか?」
僕がとっさにたずねる。
「そうよ、ピカソはロートレックに影響を受けていたから...」
誰でも周知の事実なのかもしれなかったけど。僕は無知だったので驚いた。
「そういえば、ここはメイン州に近いですよね」
全然近くないのに、女性スタッフに聞く。
「まあ遠くはないわね。東海岸だし」
すらっと彼女は答える。
「あの、僕アンドリュー・ワイエスに会いたいんだけれど。彼はメインに住んでるのかな?」
いきなり著名なアーティストに会いたいというのも唐突だったかもしれない。
「ワイエスね。そういえば、私の友達が会ったわよ」
「ええ?ほんとですか?」
信じられないことを聞いた。
「会ったというか、彼の後ろ姿をみたの。彼が絵を描いているときに、後ろから見たって」
「へー」
なんかとても面白い話を聞いた。
「彼は人に見られるのがきらいだから… 特殊な人だからね。声をかけることはできなかったみたい」
醜い東洋人というレッテルをはりながら、いつも外から僕は自分をながめていた、そんな僕をおかまいなしに、友達のように彼女は話してくれて少しボストンでのストレス生活をリラックスさせてくれた。
憧れの画家がこんな身近にいるとは...びっくりした。
彼の画集は小さい頃から僕の部屋の本棚に会った。
寝る前にちらっとその画集をみたりよくしていた。
無言でこちらを見つめる、少年のテンペラ画がとても印象深かった。 アメリカ、ヨーロッパという西の大陸に凄くあこがれを持っていた。
また夢が。近くなってきた感じがした。
たった数週間でどん底からここまで這い上がれるなんて、誰が予想していただろうか?
「人はすこしでも自力で前に進もうとすれば、皆が助けてくれるものだ。」
僕はそう信じてる。
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