山登りの話(つづき)
今回は友人らと北アルプスへ登った思い出です。
バナーの写真は燕岳(つばくろだけ)から筆者が撮影しました。
2 北アルプス
B君といっしょに登ったのは、その一回切りですが、A君とは一年半後、夏の北アルプスに登っています。標高2,763メートル燕(つばくろ)岳です。このときは、私の中学時代のクラスメートのC君もいっしょでした。
C君が立てた登計画にしたがい、麓の宿に一泊して、翌朝早く出発。山頂を目指しました。夏山シーズンとあって、私たちのほかにも登山客がたくさんいたと記憶しています。
A君とC君はテクテク登っていき、私は後から懸命についきていきました。
ヘロヘロになりながら中腹の山小屋にたどりつくと、ほかの登山客が大勢、スイカを食べていました。ここではスイカを切ったのを売っていて、お金を払って食べることが出来たのです。私も買って食べました。このスイカのおいしかったこと! 生き返った~!という感じです。
さらに登りつづけ、稜線の山小屋に着いたのはお昼過ぎ。A君とC君は1キロ弱離れた山頂へ行きました。私はとても疲れていたので山小屋の中で休んでいました(もう、動きたくなかった)。
もともと私は運動が苦手で体力もあまりなかったのです。そんな私が後にエアロビクスのインストラクターをやるようになるのですから面白い物です。
私が山頂へ行ったのは次の朝のことです。
たしかその次の夏だと思いますが、今度は穂高へ登りました。上高地側から登って稜線へ出て西穂独標(標高2,701メートル)まで行き、そこから戻って岐阜県側のロープウェーの駅へ下るルートです。
この時は独標から戻るときに中学生だか高校生だかの一行とすれ違いました。学校の行事で、岐阜県側の麓から稜線までロープウェー登り、そこからグループごとにお花畑まで歩くのだということでした。
彼ら彼女らにとって、この山歩きは大変だったようです。女子のグループとすれちがったとき、一人が私に尋ねました。
「すいません、お花畑はあとどれくらいですか?」
私がいたずら心を出して、
「ああ、あと三十分くらいかな」
というと、
「ええ~~……」
「冗談だよ。もう少しだから頑張って」
さらに戻ってきたところで、男子のグループに写真を撮って欲しいとたのまれました。彼らはお花畑まで行ってロープウェイの駅へ帰る途中だったのです。
私がカメラを構えるとみんな卒業写真みたく直立不動で並んだので、「ポーズをとらなくていいのかい?」というとワイワイ相談を始めました。そして皆で空を指差してかっこよく写真におさまりました。
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バナーの写真は筆者撮影。文中のイラストはすべて「いらすとや」さんより。