裏日本後記(2024.01.21)
凄く疲れてる筈なのに、あまり寝れなかった。
時計を見るとまだ五時半で、窓の外では雨の音がしとしと鳴っている。
雨の向こうから救急車の音が聴こえてきて、気づけば七時半になっていた。
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昨夜『裏日本』を終えた。
ツーマンを決めた昨年十月以降、ずっと「裏日本へ向けて」という想いを抱えながら動いていたので、緊張の糸が一気に切れたようになっている。
自分の事は後回しにして、圧巻だった片山さゆ里のステージについて。
本当に、本当に凄かった。
ムジカでのワンマンも観に行ったのだが、正直なところ昨日は先日よりも遥かに鬼気迫るモノが。
まだ2024年が始まったばかりだが、今年見たステージで断トツ素晴らしく、一年を通してもこれを超える表現は見れないのでは無いかと思っている。
それぐらい、凄かった。
特筆すべきは楽曲「砂漠」だろう。
音源とは大幅にアレンジを変え、怒涛の後半の語り。
あれは間違い無く昨日一度きりしか出来ない。
片山さゆ里を知って一年も経ってないし、せいぜい数える程度しかライブを見れて無いのだが、私の見た限りでは一番の名演だった。
未だに思い出すだけで呆然としてくる。
途中から私はボロボロ泣いて聴いてた。
今この文章を書いてても、何だか涙が出てくる。
私の生涯を通しても、絶対に忘れられないライブの一つになったのは間違い無い。
改めて、素晴らしい表現者とツーマンをやれて幸福である。
さて、自分の話に移りたい。
私にとって初めてのツーマンであり、過去最長ステージの55分という内容。
そもそも秋田色の強い私だが、その中でも特に"裏日本性"を意識してセトリを構築した。
1.犬の川
2.空っぽの青い犬小屋
3.じゅんさいになった猫
4.生も死も畦道の上
5.炎と老婆
6.遠い昔の冬の空
7.月曜日の雪を知っている(新)
8.たった一つだけの記憶
9.私は婆さんの死を知らない
10.僕は今日も無力無善寺で歌ってる
新曲「月曜日の雪を知っている」に過分な反応を頂けて嬉しかった。
私自身、これは新たな代表作の一つになると思っている。
人には誰しも思い出したく無い記憶があるもの。同曲は私の地獄の四年間の記憶を掘り起こして作ったモノだ。
これからどんどんとライブでやってゆきます。
閑話休題。
あと昨日特に印象に残ったのは、終演後だろうか。
ラジカセからいつもの無善寺の猫BGMが流れた瞬間に"現世"に戻って来た感覚がした。
その場にいた人みんながそう言った。
私も感じた。
裏を返せば、昨日の公演が始まってからの三時間は、紛れもなくあの空間が裏日本になっていたのだろう。
多分に片山氏のステージによって作られていた空気な気がするが、私自身でもその空気の創出に一役立っていたならば、表現者としてこの上ない幸せである。
超の付くくらいの長文を書こうかと思っていたが、言葉を弄するのに疲れてきた。
この辺で終わっておこう。
昨日、言葉と十分過ぎるくらい向き合ったのだから。
あー、裏日本が終わった。
お疲れ様。
緩んだ糸を少し張って、またぼちぼち歌って行きましょう。
人生とは、砂漠を歩くようなものですから。