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マルタ旅行記


準備編

何のために生きてるのか解らなくなるよ。

尾崎豊の17歳の地図じゃないけど48歳の地図も迷走していた。
コロナのせいで海外旅行は4年間行けてない。仕事は忙しくて大変なのにそれを発散できるようなことができてない。何のために頑張っているのか。ボーナスで海外に行って仕事を忘れてパーっと遊んでくるのが楽しみだったのに翼をもがれてしまった。
でもいつかは海外に行ける日がくると夢見て、旅行に持って行く装備を整えていた。無駄遣いとはこういうことかもしれない。

<買ったもの>
・機内の騒音が消えるヘッドフォン
・新しいデジカメ
・新しいPC
・携帯用ウォシュレット

なんか方向性が偏っているような気もするが。
この機材を使える日が早く来ないものかと待っていた。

そして今年。
ついに海外へ。4年ぶりの一人旅である。

今回のテーマは「ダラダラする」
行き先はマルタ。ドゥブロヴニクに行った時に地中海のリゾートの快適さを知ってしまい、復帰第一戦は地中海リゾートにして、のんびりと過ごすことにした。ブルーラグーンっていう海の綺麗なところ。あとは現地ツアーを申し込んで有名どころを3ヶ所くらい回る以外は予定なし。ダラダラ過ごしてリフレッシュするのである。

飛行機と宿の手配をする。昔のようにネットで検索するのだが、、、高い。
とても高い。まず、ロシアのせいでぐるっと回らなければいけないので飛行機代が高い。
原油高で燃油サーチャージも高い。ホテルも円安でユーロの値段は高くなくても円に直すと以前より随分高い。現金を500ユーロ準備したら8万円もするって言われる。

おいおいおい。

心が折れそうになる。とはいえ行ける時に行かないと、何が起きて行けなくなるかわからない。お金を気にして行かないという選択肢はないのだ。思い切ってポチッとインターネットで申し込む。飛行機のチケットはエクスペディア経由。ホテルはBooking.comで予約。
久しぶりすぎてクリックする手も緊張で震えてしまった。申し込んだ後にネットニュースでBooking.comの未払いトラブルに関する記事を見たときには全身が震えたが。

あとは渡航先で使うWi-Fiと現地のツアーを申し込んで準備はほぼ完了。
荷造りはしなくてもいいのに1週間以上前からリストアップしたものをスーツケースに詰め込む。スーツケースも4年ぶりの活躍にワクワクしているに違いない。古いパンツと靴下。ベルギーとロサンゼルスで買ったTシャツ。今回の旅でさようならするシャツだ。いったいいつから着ているんだろうとちょっと恥ずかしくもある。在宅勤務の特権で仕事しながら並行して旅行の準備ができるのはありがたい。会社のPCの横に自分のPCを置いて色々検索しているのはここだけの話だ。そういえば、気温ってどうなるんだっけ?気になって調べてみるとドイツは30度行かないくらい。マルタは32度くらい。ドイツではパーカーくらいは必要かもなと荷物を追加する。34度の日本では考えられない気温だけどちょうど快適な気温のようだ。そういえばバルト三国に行ったときは朝が寒くてレインコート買ったっけ。

「夏休み家族でタイに行ってきたんですけど着いて早々にコロナに罹ってしまって4日間ホテルに缶詰でしたよ」
出発1週間前、会社の後輩から絶望的な話を聞く。8月末には大型台風もきていた。とにかく無事に旅行したいので色々大人しくしておいてくれ。そう願いながら出発当日までの日々を過ごした。


9/15

緊張して3:30くらいに目が覚める
でも10時くらいに寝たから5時間は寝てるか。。まぁいいか。
部屋にいても落ち着かない。朝のラッシュの中でかいスーツケースをもっておじさんが移動するのは大変なので早々に空港へ向かうことにする。
忘れ物、ガスの元栓、施錠よし。
羽田に向けて出発。99%のワクワクと1%の緊張を持って玄関のドアを開けた。

羽田発はやっぱり楽だと思う。家からも1時間ちょいくらいで着いてしまうので時間の余裕もあるし万が一忘れ物しても途中で戻れるくらいの距離なので安心感がある。出発3時間前には空港に到着。荷物をさっさと預けて久しぶりに国際線ターミナルを探索しよう。

そんなに早く行かなくてもっていう様な時間に到着し、バスを降りて出発カウンターのフロアへ。エスカレーターを上がったところから既にフロアはめちゃくちゃ混んでる。出国審査に向かう荷物検査の列なんて幾重にも重なっててこりゃ相当時間がかかりそうだ。ファミリーセールの行列よろしく、最後尾はこちらなんて札を係員が持って案内をしている。よし、まずはとっととでかい荷物を預けるためにANAのカウンターでチェックインしようとすると、何故かエラー。え?何それ。事前に座席も指定したからチケットが取れてないなんてことはないと思うのだけど。いきなり不安が押し寄せる。近くの係員に聞いてみたら今回予約した便はルフトハンザのコードシェア便なので、ルフトハンザ航空のカウンターでチェックインしないとダメらしい。チケットには全日空って書いてあるのに、なんてややこしい。ただ、激混みのANAのカウンターじゃないのは助かるかも。空港の端から端まで荷物を持って移動し、無事ガラガラのルフトハンザ航空カウンターでチェックイン。
カウンターのお姉さんに
「パスポートの写真が結構前なのでだいぶん老けたけど大丈夫ですか?」
と話しかけて
「そんなことないですよ」
と無理矢理言わせてしまう。こういうのを老害っていうのだろう。チェックインを済ませスーツケースを預けて身軽になった後で両親とテレビ電話。無事に出発できることを対面で報告。便利な世の中になったものだ。

いけない。グローバルWi-Fiの受け取りを忘れるところだった。慌ててカウンターで受け取る。あとは本屋に立ち寄って機内で読む文庫本を購入。そういえば前回の旅ではまだ老眼始まってなかったなぁ。と小さい文字を見ながら年を重ねたことを実感する。機内で食べるお菓子もちょいちょいと購入。ちょうど出国ピークも過ぎてきたみたいなので、さっきよりも多少短くなった列に並んで出国審査ゲートへ。友達から事前に審査が自動ゲートの顔認証になってると聞いていたけど本当だよ。すげぇ。パスポートをかざして顔認証してゲートが開いた。でもこのままだとパスポートにスタンプを押してもらえない。スタンプが欲しい場合はゲートを出たところのカウンターで押してもらう。これも友達から事前に聞いていた。結局そこに人がいるのだったら人件費の削減にはなってないよなと思ってしまった。

ラウンジで飲み物を飲んで気分を落ち着かせる。一息ついた後出発予定30分前に搭乗手続きの列に並ぶ。エコノミーなので一番最後の案内。機内は普通。特別豪華なことはなく昔とあまり変わらない。USBの充電コンセントがないのでスマホとかの電池は大事にしなければ。フィンエアーとかだとUSBの充電口ついてたんだけどな。隣の人がCAに目の前のモニターの反応が悪いとクレームを入れている。面倒なこと言ってるなぁと見ていると何故か隣の人が治った瞬間に自分の目の前のモニターが再起動されて使えなくなっている。CAによると何故か連動して影響が出るらしい。しばらく経ってから触ってみるように言われて待ってたら無事に使えるようになった。

出発時刻から30分くらい遅れてようやく離陸。ここから約16時間弱のフライト。ウィーンまで昔は12時間で到着してたのに、ロシアのせいで4時間も長い。値段は高くなって時間がかかるようになるとはロシア許せん。そんな長い時間の機内で大活躍だったのがノイズキャンセル付のヘッドフォン。これ最高。機内の雑音をかなりカットしてくれるので映画を見るのも備え付けのイヤホンとは訳が違う。これは買っておいてよかった。映画を2本見て、電子 書籍でスラムダンクを1巻から読み直し。その間に機内食と共にワイン2杯とビール2缶でほろ酔いで1時間くらい仮眠をする。機内食は至って普通。あんまり美味しくないのはドイツの会社だからかな。おにぎりが夜食で出てきて到着前の軽食は焼きそばだった。あんまり海外気分のテンションが上がらないので減点材料かな。機内の揺れはほとんどなくて快適!乗り物酔いと二日酔いの薬を飲んでおいたこともあり体調万全でドイツに到着。ワクワクが最高潮だ。


飛行機を降りて荷物の引き取り上で待つ。マスクしている人は誰もいない。日本ではまばらにマスクをしている人を見かけたが、ここでは一人もマスクをしていない。僕は飛行機に乗るときはコロナ前からマスクをしている。してないと喉をがっつりやられてしまうのだ。荷物は意外と早めに出てきてくれてラッキーだった。そのまま入国審査。
「qwertyuiop?」
ん?何を言っているんだ?久しぶりすぎてヒアリングが全然できない。えっと。ここからどこに行くのか?って聞いてそうだなぁ。えぇい。自分の勘を信じて2日間フランクフルト泊まってマルタ行くんだと言ったら通してくれた。もしかしたら、こいつは言っても通じないと思われたかもしれない。

案内表示に従って進んでいき電車のチケットを買ってホームに到着。今回のフランクフルトのホテルはフランクフルト中央駅のすぐそばなので電車で移動できる。空港のWi-Fi使って45分発の各駅停車の電車に乗って4つ目の駅というのを調べておいたので到着してきた電車に飛び乗る。行き先にフランクフルト中央駅と表示があるから大丈夫だろう。
電車の中はなかなかのカオス。渋谷の路上で飲むのがNGとか言ってたけど、ここは電車の中で若者がガッツリ飲んで盛り上がっている。空港との直通電車ではない普通の電車なのに当たり前の光景のようでちょっと驚いた。さすがビールの国。
車窓に広がる夕方の風景を眺めていると、ヨーロッパに来たなぁと感じる。やっぱり日本とは何処か違うその風景に旅の始まりを感じる。川を渡り駅を通過し、、、あれ?なんか駅通過している。まあ、次の駅はって案内表示があるからそこ見てればいいけど、これ、雰囲気的にフランクフルト中央駅が終点の電車ちゃう?次の駅に止まったら次のフランクフルト中央駅の表示しかなくなってるし。いきなり想定していた電車と違うのに乗ってしまったが、目的地にさえつけばOK。全く問題はない。そして予想通り1つ駅に止まっただけでフランクフルト中央駅に到着。全員降りているところを見ると終点だったようだ。

大正解。


駅はヨーロッパの駅!って感じのドーム型引き込み線タイプで大好き。いかにも目的地に着きましたという大きな駅だ。ホームの数もとても多い。ちょうど陽が暮れたと同時に駅に着いたので寄り道もせずそのままホテルに向かう。夜の街のオレンジの光は海外に来たなぁって感じさせてくれる。地図上では駅にほぼ隣接しているくらい近いはず。出口を出て線路沿いに歩いていくと数分で左手にありました、日本でも見慣れた東横イン。なんとフランクフルトにも展開しているのだ。入り口のレセプションでチェックイン。イケメンの兄ちゃんが担当してくれた。さすがにここは日本語ではなかったけど注意書きとか日本語も併記してあるので海外に来た感じが急になくなって不思議な感覚だ。宿泊客も日本人が多め。値段も日本とあまり変わらないくらいだったので日本人には人気があるのかもしれない。カードキーを受け取り部屋に落ち着く。ふぅ。中も日本の東横インより広いくらいで全く問題ない。そしてバスルームの扉を開けると・・・あ、日本スタイルのユニットバス。これ湯船に浸かれる広さと深さだ。これはありがたい。って、横のトイレ「ウォシュレット」じゃん!最高かよ!これはでかい。明日からのおトイレ事情に何も不安がなくなった。

部屋で落ち着いて一息入れてちょっとだけ散策。街をふらっと歩くと海外旅行に来たなって実感する。何か買おうかと思ったけどホテルの周辺はあんまり店もない。こりゃ明日開拓ですな。ホテルのバーで本場のビール一杯だけ飲んじゃおう。カウンターに行ってみると誰もいない。ちょっと待ったけど誰も来ない。おいおい。どうしたらいいんだ。。あれ?なんかカウンターにドラのミニチュアみたいなものがある。ちょいと鳴らしてみるか。「ドォーン」思ったより大きい音が鳴る。あ、食堂のおばちゃんがこっち向いてちょっと待てと言っている。どうやらこれで呼ぶのが正解だったようだ。ちょっとしてからおばちゃんが来てくれたのでビールを1杯頼む。クゥー 日本のホテルだからなのか知らんがちょうどいい具合に冷えたビールが最高。旅の疲れを癒してくれた。と思ったら、、あれ、お腹がゴロゴロ言ってます。ウォシュレットがあることで安心したか?部屋に戻り早速ウォシュレットを使って用を足す。使い方は、、あれ?動かない?と思ったら電源ボタンらしきものを発見。ポチッと押すと普通に動いた。しかも温水だと?何もいうことない。ちょうどお腹の調子が悪い時にこれは本当にありがたかった。これで安心して明日色々食べれる。今日はあまりお腹も空いてないのでこのまま眠って明日に備えるとしようか。長旅でさすがに疲れていたのと時差ぼけも相まって早々に眠りについた。


9/16

よく分かんない時間に起きる。朝3時。絶賛時差ぼけである。ちなみに日本だと朝10時。
やることもなく暇なので今日の計画を今更立てる。
・朝食付きプランなので朝ごはん食べてその後川沿いを散歩する。
・シュニッツェルかカレーブルストは食べたい。
・あとはパンツと靴下は買っておきたい。Tシャツはマルタでいいや。
ベッドでゴロゴロしながらそんなこんなしていたら7時。朝食ビュッフェに向かう。周りは日本人だらけ。流石東横イン。これだけ日本人ばかりだとドイツにいるというより日本の地方のビジネスホテルにいるみたいだ。朝食のパンはよくある硬めのパン。美味しいのはソーセージ・チーズ・サラミ・ハム。日本と同じような感じなのに圧倒的にうまい。このうまさは海外に来たなーと感じる。オレンジジュースとコーヒーとサラダもとって朝食を満喫していると、ん?反対側にひっそり何かある。こっそり美味しい物を隠しているのではないかと偵察に行ってみる。そこにあったのは白いごはんと味噌汁。うーん。全然欲しくない。特別な地元のものとかを期待したのにがっかり。早々に食べてカメラ持って出動。さぁて、あまり飛ばしすぎないように心がけながらも川沿いの散歩といきますか。


気持ちいい天気。日本の朝夜が涼しくなったなんて思っていたけど嘘だ。日本より気温もちょっと低い。このくらいでやっと涼しいって言えるんだ。散歩に選んだのはホテルの近くを流れるマイン川。ライン川の支流らしい。川沿いがきれいな散歩道になっていて所々にかかっている橋がおしゃれだ。ケルンにもあったが南京錠がつけまくられている鉄橋も発見。ドイツではお約束になっているのかもしれない。専用の錠前屋とかあるのかもしれない。まだ売っているのを見たことはないが。途中ベンチに腰掛けて足を組んでポーズを取ってみる。こっそり自撮りしてみたが朝日が眩しい猫背のおっさんがそこにいるだけで、向こうのほうに座っている青年と違い全く絵にならない。慣れないことはするものではない。アジアの哀しいおっさんを自覚して川沿いから離れ、中心部の広場に向かった。

次に着いたのはレーマー広場。旧市街にある広場っていうのもヨーロッパの雰囲気がすごくある。市庁舎の建物の形はラトビアのリガにあったような形に似ている。そもそもリガはドイツの流れを汲んでいるはずなので、やっぱりなんか雰囲気が似るのかもしれない。ちょっ と歩き疲れたのでカフェでも、、と思ったがまだ空いている店が見つからない。どこか空いてないかなとスターバックスを覗いてみるとオープンの5分前くらいにもかかわらず、「入っていいよ」と外の掃除をしていた店員さんが声をかけてくれた。では、とお言葉に甘えて万国共通のスターバックスに入店。カフェラテを注文して着席。ここはトイレも普通に使えるしWi-Fi環境も整っているのでありがたかった。


さてさて、次はどうしようかな。パンツと靴下だけは早めに買っておかないと。そういうのを売ってそうなところはどこかな、とスマホで検索する。ちょっと歩くのは疲れたので、一日乗車券を買って電車で移動しよう。フランクフルトは、バス、鉄道、地下鉄、トラムと交通の便は非常によく、一日券で全ての乗り物に乗り放題。ウィーンでもそうだったがヨーロッパのトラムはマスターすれば街を眺めながら移動できる最強の乗り物だ。なんか風情もあるしあれには必ず乗らないと気が済まない。とはいえ、ここで売ってそうだと思った店は地下鉄が便利そうだ。チケットを買い地下鉄に乗る。2駅先で降りて地上に出ると土曜日だからか屋台が数件並んでいた。ほうほう。何かいいものがあるかな?と覗いてみたらメインはソーセージやベーコンとかの加工肉やチーズ・果物とかで、これはちょっとおみやげや昼ごはんにはならない。ただ、加工肉の屋台はいかにもドイツって感じで雰囲気を楽しめた。
で、目的のパンツと靴下はC&Aというベルギーのファストファッションの店で購入。よしよし。これで明日から下着がなくて困るということは無くなった。

地図を見ると狙っていたシュニッツェルのレストランはここの近くのようだ。当初予定してなかったがせっかくここまで来たのでランチにしようとお店に行ってみる。11時くらいに着いたら、まだオープン前。ちょっと早かった。じゃあ、屋台が出ているところまで戻って軽く昼にして夜にもう一度来るか。来た道を引き返していた時にそれは突然襲ってきた。腹痛。やばい。これはやばい。ホテルまで戻るのはちょっと間に合わない。というかまじヤバい。と、目に飛び込んできたのは先ほども利用したのとは別のスターバックス。さっきの店ではトイレが何も制限なく普通に使えた。ということはここも大丈夫に違いない。スタバにダッシュ。注文もせずにトイレにまっしぐら。ギリギリ間に合う。これ、お腹の調子がちょっとやばいかも。スタバでもう一度温かいラテ飲んで対策を検討。このまま連続してくるのであればちょっと困るが、なんとか治まってきた気がする。とはいえ、ちょっと不安は残る。うーん。となると昼ごはんはどうすべきか。ドイツでお腹に優しいものなんていうのは思いつかない。それに、夜になってまた体調がどうなるかわからん。となると今のうちにちょっと重いけどシュニッツェルを食べておいて、最悪夜お腹痛かったら晩御飯を抜けばいい。ここで昼を抜いて結局夜も抜いたのでは何も食べれないという悲しい結果になってしまう。よし。ここはシュニッツェルを食べてしまおう。意を決してレストランに向かう。
「一名だけどいい?」
「キャッシュしかダメだけど」
「問題ないよ。」
「じゃ、その辺の席でどうぞ」
と店員とやりとりをしてオープンテラスの席へ。
 木陰で風が吹いてとても心地よい。さっきまでの脂汗も治まってちょっとホッとして、念願のシュニッツェルとおすすめのビールを注文。(※一応ビールは小さめにした)
ただ、料理。高いな。。。結構な値段がするぞ。。とちょっと期待はずれだったら哀しいなと思っていたら、きました!黄金に輝くカツレツにじゃが芋の付け合わせ。カツには美味しそうなきのこのソースがかかっている。お!でかい!一口サイズにナイフを入れてパクッと。うまい!日本の友達がサイゼリアのミラノ風カツレツをけちょんけちょんに貶してたけど、フランクフルト風カツレツは結構いける!付け合わせのジャガイモはちょっと量が多すぎるけどそれもまた美味しい。ドイツ、なかなかやるじゃないか。ビールと揚げ物という最高の組み合わせを満喫し、やっぱり食べてよかったとドイツの爽やかな風を感じながらレストランを後にした。


さて、荷物もあるので一旦ホテルに戻るか。さっきは歩いてだいぶきたけど今度は地下鉄でサクッと最寄駅へ。地下から地上に出てきたところで、や、ヤバい。またお腹痛い。でもホテルはすぐそこ!ちょっと早歩きでなんとか部屋に到着。今回もギリ間に合ったが完全に下してしまっている。
(あぁウォシュレットがあってよかった。)
日本人の発明にドイツでも出会えたことに感謝してちょっとホテルで休憩。持ってきた下痢止め+整腸剤を飲む。かかりつけの医者に海外に行く前にいつも処方してもらっているのだが、まじもらっておいてよかった。お腹が落ち着くまで部屋でゴロゴロ。幸いなことに薬が効いたのかその後は特に何もなく。15時くらいに再度出陣。せっかくドイツに来たのでブランド品でも買ってみたい。ドイツの有名なサンダルブランド「BIRKENSTOCK」の直営店に向かう。

フランクフルト中央駅でさっき覚えた地下鉄に乗る。あれ?座ったはいいけど電車が全然動かない。よく見ると1時間くらい前の出発時間の電車がまだ動いてない。うわぁ。これ止まってるわ。ケルンの時といいドイツって電車よく止まるのかなぁ。まぁ、さっきのお腹痛い時に止まるんじゃなくてよかったけど。仕方がないので地上に出て徒歩で移動。フランクフルト中央駅から伸びる目抜き通りをふらふらと散歩。日中になるとちょっと暑いけど、湿気がないから気持ちがいい。気温を見ると27度らしい。昔の夏ってこのくらいの気温じゃなかったっけ。最近の日本の夏って夏以上の違う季節じゃないかと思ってしまう。

途中でユーロのモニュメント発見。これが欧州中央銀行か。お願いだから円高にもう少ししてください。神様じゃないけど手を合わせて拝んでおいた。ふと横を見ると、トラムが通過していく。そうか、地下鉄ダメでもその手があったな。歩かなくてもよかったか。ま、帰りはトラムに乗って帰ろう。まだ全然トラムは乗ってないし。そのまま賑やかな通りを歩いて行き目的のショップに到着。展示してあるサンダルを見る。むむむ。日本円に換算すると日本より高い。・・・欲しいけど同じもので、わざわざ日本より高いものを買うのもなぁ。悩むけど断念。円安恨むわぁ。。

なんか歩き疲れたので甘くて冷たいもん食べたくなったなぁ。横を見るとジェラート屋さん。ここでもめっちゃ悩む。頭の上で天使と悪魔が交互に囁いてくる。
天使:「さっきまでお腹痛かったでしょ。これ、冷たいもんだよ?食べた瞬間くる可能性あるよ。」
悪魔:「薬飲んだじゃん。その後落ち着いてるでしょ?こんな暑いのに冷たいもん食べないと熱中症になっちゃうかもよ」
・・・悪魔に魂を売ろう。ここも勝負。マンゴーとレモンのジェラートを注文。
ふぅーーーーーーっ。
 暑いので最高。超美味しい!ヨーロッパのジェラートは格別!暑い夏にちょうどいいのよね!よしよし、お腹も痛くならない。薬の効き目すごい。ジェラートを味わった後はトラムに乗ってホテルの最寄駅まで。その間お腹も痛むことなく無事にホテルに戻ることができた。いやぁ結構歩いた。初日は元気なので歩きすぎないように注意していたのだがそれでも結構な距離を歩いてしまった。ペース配分気をつけないと。明日から本番のマルタなのだから。


夕食は外でお腹痛くなるの嫌だし昼間食べすぎたので、フランクフルト中央駅の構内の売店で売っているカレーブルスト(ソーセージにカレーをかけたやつ)をホテルの部屋で食べることにしよう。ホテルを出てフランクフルト中央駅にあるお店で持ち帰りでカレーブルストを注文する。ん?おっちゃんが何か言っているけどさっぱりわからん。英語なのかドイツ語なのかもよくわからん。よくわからんというと後ろの山盛りのポテトから一つ摘んで自分で口に咥え指を刺して見せる。あぁ、付け合わせのポテトがいるかどうかってことね?いるいる。ポテトにマヨかケチャップどっちをつけるか?じゃ、マヨネーズで。簡単に買えるかと思ったら意外と苦戦してなんとか買うことができた。しかし説明するのに自分で食べて見せるっていうのは斬新だったなぁ。駅の売店でビールも買ってホテルの部屋で乾杯。早速買ってきたカレーブルストを食べようと蓋を開けて気が付く。
あ、フォークとか食べるための奴が付いてないじゃん。
そうだ、ここは日本ではないのだ。手掴み?手掴みか?ポテトはいけるとしてもカレーがしっかりかかったソーセージは無理だぞ?美味しそうな食事を目の前に悲しいお預けになってしまうのか?しかし、そんなこともあろうかと実はコンビニでもらった割り箸を1膳だけスーツケースに入れてきていた。俺、賢い!スーツケースのポケットからビニール袋に入っている割り箸を取り出す。ふっふっふ。備えあれば憂いなし。フランクフルトの東横インで割り箸を使ってカレーブルストとポテトとビールを堪能。まじサラリーマンの出張状態。お預けにならなくて良かった。食べてみた感想だとソーセージは美味しいけどカレーはそうでもないなぁ。ポテトもベルギーの方がずっと美味しかった。とはいえどちらもビールのつまみとしてはちょうどいい。あったかいものを持ち帰りできたのもよかった。昼間に比べるとランクが落ちたのは否めないが、無理しなかったからか結局お腹は治まっている。明日はマルタに移動だし、今日も大人しく早めに寝るとしよう。時刻は夜の10時。時差ボケ全然治らないだろうなぁ、こんなに早く寝てたら。

今日はこれまで。お腹壊すなんて体力落ちたなー。


9/17

移動日。今日は一番ネタがない日になる可能性あり。結局朝4時くらいに目覚めてしまい荷造りを開始する。夜明けとホテルの朝食は7時なので、まだ真っ暗の中準備を進める。スマホを見ると昨日歩いたのは18,000歩。在宅勤務になってからここ数年で最長記録かもしれない。

朝食を食べてホテルの部屋で9時までのんびりと過ごす。飛行機は午後の出発だし、空港までは20分くらいで着くのはわかっている。日本よりも空港が近くて便利だ。今日はいよいよ目的地のマルタ。天気はいいかな?空港から無事タクシーでホテルに着くかな?何かもう一回旅行に行くような気分だ。チェックアウトしてフランクフルト中央駅へ。駅でせっかくだから特急で行こうと時間まで構内をふらふらしてみる。

本屋さんには雑貨も置いてあるので見てると面白い。子供用のハーモニカを買って川沿いで吹いてみようかと思ったり、パッケージの表紙だけで面白そうなボードゲーム買ったらどうなるかな?と思ったり。結構時間を潰すことができる。駅にはフリーWi-Fiもあるのでベンチに座ってスマホをいじりながら待つことができた。横におじさんが座る。このおじさんは何しに来ているんだろうなぁとか思いながらスマホで時刻と出発ホームを確認する。どうも微妙に出発時間が遅れたりしているようだ。ドイツの鉄道って微妙だなぁ。さて時間になったのでホームに行く。乗ろうと思ってた特急はケルン行き。懐かしい、曰く付きの行き先だ。乗務員にチケット見せて空港に行くかと聞いたら違うという。あれ?特急だからチケットが違うのかな。まあいいや。ここでわざわざ特急に乗らなくても他にも空港に行くすべがあるのはもうわかっている。慣れたもんで地下のホームに移動して空港行きに乗る。ちなみに特急も鈍行も時間はほとんど変わらない。20分くらいで到着。やっぱり空港が近いのは助かる。

チェックインして通路側の席を選ぼうとしたら真ん中しか空いてない。事前予約はお金かかるので日本ーフランクフルトは予約したけどフランクフルトーマルタ間は取らなかったのだ。まぁ、2時間くらいだから真ん中でもいいか。チェックインを済ませて荷物のタグをもらいスーツケースを預けようとしたが場所がわからない。とりあえずチェックインカウンターからちょっと離れたところにそれっぽい場所があったので、そこにいるスタッフにここでいいのか?とチケットを見せる。そうするとスタッフが機械を操作して荷物のタグを印刷してくれた。いやいや、タグはもう付けてますがな。と見せると、「あぁ、ごめんなさい」となぜかそこだけ日本語で答えてくれた。で、何やら自動のカプセルみたいなところに案内され、ここにスーツケースを入れるように指示を受ける。何やら近未来的なカプセルにスーツケースを入れると自動で扉が閉まり、重さをチェックした後にベルトコンベアーで回収していった。

身軽になったので空港内を探索。昨日悩み散らかしたBIRKENSTOKが空港にも店を出していてこれまた悩ませられたがやっぱり見送った。時間はちょっと早いけど搭乗口までいってしまおうと荷物検査の列にいったら、やばい。並びすぎ。羽田もこの空港ももうちょっとなんとかならないのかね。コロナで人を減らしちゃったのかなぁ。早めに来てるので問題ないけど。結構時間をかけて無事手荷物検査場を通り抜けることができた。掲示板で搭乗口を調べる。A36。ここから歩いて12分くらいかかるって書いてある。12分って結構あるなぁ。今日はあんまり歩かなくていいと思っていたのに!広い空港だから仕方ないけどてくてく歩いて搭乗口へ。あとは案内を待つだけ。意外と先客が多いのにびっくりした。確かに真ん中の席しか取れなかったけど、平日の昼間にそんなにマルタに行く人いるんだねと驚いた。

出発予定は13:30なのに案内されたのは14時近い。結構当たり前のように遅れている。ようやく案内されていざ席に着くと本当に満席。こんなに混んでいるとは思ってなかった。ちなみに去年東京から青森に遊びに行った際の飛行機はガラガラだった。比べちゃダメか。
何故かその後飛行機がなかなか動き出さない。ここでも30分くらいたったかなぁ。全然飛び立たない。何かアナウンスしているけど日本からの路線じゃないから日本語の翻訳がない。さっぱりわからないが、降りろと言われているわけじゃないからそのうち飛び立つのを待つしかなかった。何分経ったかわからないけど、なんとか飛び立ってくれた。天気が悪いわけじゃないからマルタに行けないってことはなさそうだ。さて、機内食は、、、と思ったら機内食は無し。しまった、昼ごはんを食べ損ねた。空港で食べておけばよかった。腹へった、、、機内でもらったチョコレートを食べながら飢えを凌ぐ。昨日歩き疲れたおかげでうとうととしている間に気がついたら空港に着いた。

来た!マルタ!飛行機を降りてバスに乗り換える。暑い!ドイツと全然気候が違う。湿気はそこまでなく、日本に比べれば快適な暑さ。これこれ。ドゥブロヴニクと同じような感じ。地中海の夏だ。荷物を受け取ってタクシー受付カウンターの列に並ぶ。ここで行き先を告げておけば固定料金でホテルまで行ってくれるのだ。ぼったくられずに安心して乗ることができる。金額は20ユーロ。日本円で3,200円なら利用しない手はない。カウンターで行き先を告げ、先にお金を払う。行き先を印刷したカードをもらい、カウンター前でドライバーを待ち、ドライバーとマッチングするとカードにある番号が呼び出されるシステムだ。どんなドライバーに当たるのかなと待っていたら元気そうなおばちゃんが自分の番号を呼んでいる。「あ、僕ですー」
「OK着いてきて」
と人並みをかき分けてタクシーまでずんずん進んでいく。こちらはでかいスーツケースがあるからついていくのに必死。えらいチャキチャキのおばちゃんにあたったなぁ。車まで案内され、トランクにスーツケースを入れて後部座席に座ったらタクシーは出発、市街地へと走り出した。

おぉ?結構かっ飛ばすなぁ。マルタの景色をゆっくり眺めようと思ったのに、スピードが早くてちょっと怖い。しかもなんか揺れるなぁとよく見たらマニュアル車。ガンガンギアチェンジして車を走らせている。おばちゃんやりますなぁ。順調にかっ飛ばし、しばらく走ると海沿いの道へ出た。ここにきて景色は一気にリゾート地の雰囲気になる。海沿いの道はどこの国も熱海っぽくなる気がする。そして空港から30分くらいでスリーマと言われる賑わった地区の中心に着き、そこから細い路地へ入り坂道を登る。今回予約したホテルはスリーマにあるLady Toddというところ。ドライバーのおばちゃんが途中で「ここにMr Toddってあるのよ」と教えてくれて、そこからちょっと先まで坂道を登ったところでタクシーは止まった。目的地到着。しまった。また坂道にあるホテルをとってしまったようだ。荷物を下ろし、お礼を言ってタクシーとはさよなら。おばちゃんは颯爽と去っていった。

で、入口は、、1Fはカフェのようだけど日曜日だから閉まってるな。ホテルの入り口は、、、あぁ角を曲がったこっちの裏手ね。わかりにくい入り口だな・・・って鍵がかかっててこちらも開かない。おいおい。どうするんだ?普通ならここで慌ててしまうだろう。でも、ここでもう慌てなくなっているのが旅の経験というやつで。よくよく扉を観察してみると横にボタンがついている。多分この横のテンキーで暗証番号を入れると扉が開くシステムだろう。ファインランドで見たシステムだ。ということはテンキーの下に呼び出しのボタンがあるからこれを押せばどこかに繋がるに違いない。
ピンポーン。
。。。プルルルル 。あ、呼び出してる。
ガチャ。
「May I help you?」的なことを言ってる??
「予約あるんだけど、ドア開かないのよ」
「下にMr Toddってホテルがあるからそこのレセプションまで来て」
ブチっと通話が切れる。えぇ。そんなの聞いてませんがな。だったらさっきタクシーをMr Toddで降ろして貰えばよかったよ。
とはいえすぐ近くでよかった。5mくらい離れたところまでスーツケースをガラガラ引いてMr Toddの中に入ってレセプションに到着。
「Lady Toddに予約しているんですけど」
「あ、さっき連絡してくれた人ね」
インターホンではわからなかったけど感じのいいおばさんが対応してくれた。
「こっちのレセプションでどっちも対応しているのよ。知らなかった?」
そんなの全く聞いてないけど、まぁいいか。無事チェックインできたし。
「これが部屋の鍵で、これが入り口の暗証番号ね。」
何やらとても親しみやすい人だ。だったらついでに帰りの早朝のタクシーを今予約してもらったら、安心してマルタ残りの日々を過ごせるんじゃないか?
「ところで帰りのタクシーを手配して欲しいんだけど」
「何日の何時の飛行機なの?」
「9/21の6:30。めっちゃ朝早いの。」
「それなら4:30には空港に行きたいから4時にはタクシーを呼んだほうがいいわね。もうチェックアウトはしなくていいわ。キーは部屋の中に入れっぱなしにしてそのまま出発して。」
そうか。チェックアウトの心配もあったか。事前に相談しておいてよかった。これで一番懸念していた早朝フライトの対応は問題なくいけそうだ。よしよし。ありがたい。

鍵をもらって暗証番号も教えてもらったので先ほどの入り口まで戻る。ピッピッピ。ピー。お、ちゃんと鍵は開いたぞ。ではいざ1Fの部屋へ。そうそう、ヨーロッパでは0Fが入り口で1Fは実質2F。東横インで日本人がエレベーターの1Fのボタンを押して間違えていたっけ。そんなことを思い出しながらキーを開けて部屋に入る。部屋は、、おぉ、結構広くていい感じ。ウォシュレットはないしシャワーだけだけどエアコンはバッチリ効いているし、ドライヤーもあって快適に過ごせそうだ。格安ホテルではなく中級くらいのホテルにしているので基本的にハズレはない。ニュージーランドでちょっとケチって酷い目にあったのでもうホテルはケチらないことにしているのだ。

とにかくお腹が空いていたので荷物置いてすぐ外出。時刻は17:30。さて、美味しいものを食べたいがあまり遠くにも行きたくないし、、、そうだ!Mr Toddに行ってさっきの人に美味しいピッツァの店教えてもらおう。レセプションに行って
「近くにある美味しいピッツェリア教えて?」
と聞いたら
「なんで?」
「いや、お腹空いて食べに行きたいんだよ」
「あぁ、あなたが今からいくのね?だったらここが美味しいわよ」
スマホで検索してお店のHPを見せてくれた。こちらもその店を自分のスマホで検索。
「ここでいい?」
「そう、そこ!」
スマホの地図で店を確認してホテルを出発。徒歩10分くらいのメイン通りからちょっと入ったところにお店を発見。なんか知る人ぞ知るみたいなちょっと奥まったところにあるので期待できる気がする。店の中は電気はついているけど誰もいないし、オープンしているのかな?恐る恐るドアを開けてみる。
「一人でも大丈夫ですか?」
どこかの国で覚えた英語。フル活用している。
「大丈夫だけど、お店は18時からだからちょっと待つよ」
時間を見たらまだ17:45だった。でも店の中で待たせてくれるらしい。
「全然問題ないよ」
テーブルに座って持ってきてもらったメニューを見る。
イタリアンレストランなので英語でもほぼどんなものかわかるのがありがたい。
よし。念願のピッツァを頼もうではないか。メニューを見て。どれにしようかな、、、と。
ピッツアだけでも10種類くらいメニューがある。金額的には1,500円から2,500円くらいなのでそんなに高くない。英語のメニューなので大体どんなものか予測はついた。DIAVOLAっていうのがモッツァレラとサラミの乗っているって書いてあるのでこれにしよう。あとは飲み物、、やっぱ暑いし白ワインがいいかな。メニュー見るとボトルしかないけど、、、まぁ、最悪持って帰ればいいか。
「注文決まりました?」
「このDIAVOLAと、普通の水と、あと白ワインください」
「白ワインはグラスで?」
おっと、グラスも用意できるのか!ありがたい
「はい、グラスで」
オーダーを通してしばらく待つ。店内にお客は僕一人。そりゃオープン前だからそうか。とはいえ客が誰もいないというのは本当に美味しいレストランなのかどうか不安にさせられる。むむむ。やっちまってなければいいけど。

水と、ワインが運ばれてきた。まず水で喉を潤してからワインをゴクリ。
くぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。
たまんない。冷えたシャルドネが美味しい。身体中に染み渡る。ビールもいいけどワインもね。やっぱり海外に来たらワインも飲まないと。特にこの暑い気候には冷えた白ワインが最高に合う。ゆっくりワインを味わって気分に浸っていると、来ました。でっかいピッツア!
「ワォ!」
思わず声を上げたらウェイターに笑われてしまった。
もう、見た目から美味しそうなオーラが出まくっている。カリッと焼けたナポリ風の薄い生地にトマトソースとチーズとサラミ。見ただけでわかるこの破壊力満点のビジュアル。美味しくないわけがない。とりあえず自慢用に写真をサクッととって早速切り分けてパクリ。 
うんまぁぁっぁぁぁぁい。
今まで食べたピッツァの中で最高かも。焼き加減も最高だし、特にこのチーズ。チーズうまい。コクがぜんぜんちがう。めちゃくちゃ濃厚で美味しい。店ごと東京に持って帰りたい。こんな美味しいピッツァがマルタで待っていたとは!もうマルタ大勝利決定!ワインおかわり!!
結構大きいサイズだけど、生地は薄いしお昼も食べてなかったのでぺろりと完食。カードでチェックお願いしたら金額通りで支払ったけど、チップはいらなかったのかな?まあ日本で請求見ればわかるか。上機嫌で店を後にして、帰り道のコンビニみたいなところで水だけ購入し、ホテルに戻った。


ホテルに戻り、シャワーを浴びる。ほろ酔いで浴びるシャワーが気持ちいい。水の勢いもお湯の感じもばっちりだ。快適なホテル暮らしをおくれそうだ。部屋のWi-Fi環境も高速なので色々調べ物ができる。残りの時間で明日のプランを整理する。朝イチで船に乗って対岸の旧市街バレッタ地区へ行き、狙っているカフェで朝食。そこから街を散策してお土産とかもちょっと当たりをつけたいな。
明日はドイツ初日並みに歩き回るだろうから気合入れないと。

ということで今日はほろ酔いでさっさと爆睡。
車が結構ホテルの目の前の道を走って音が聞こえるけど、疲れの方が優っているので全然気にせずに眠りにつけた。


9/18

さぁバレッタ行くぞ。
今日は旧市街の探索の日だ。バレッタはマルタの首都。1500 年代にローマ カトリックの聖ヨハネ騎士団が半島に築いた城塞都市で世界遺産になっている。古い街並みが残っているので歩いているだけでも楽しいに違いないし、写真も撮りまくれると思う。ヨーロッパの古い街並はそれだけで本当に気分が上がる。蒲田の飲み屋街、バーボンロードとは訳が違うのだ。宿泊しているスリーマという地区は海に面している。ホテルから海まで歩いて5分もかからないくらいだ。東側が海ということもあり朝焼けが綺麗だというので早朝から出発。朝一のフェリーに乗って対岸のバレッタにいくことにする。ちなみに朝一のフェリーは6:45発。日の出が7:00くらいなのでちょうど海上で日の出が見れるはずだ。

まだ開いてないフェリー乗り場で出港を待つ。朝早いこともあり乗客は老夫婦?までいかないくらいの年齢のお二人と僕だけだ。時間になり乗船時に往復分のチケットを購入する。座席は自由だがせっかくなので上のデッキの見晴らしのいいところを陣取る。先ほどの夫婦も同じように上のデッキに登ってきた。乗客は以上でいよいよ出発。朝の潮風がとても心地よい。おぉ!左手から見える朝焼けが最高。オレンジの太陽が古都の見張り台の塔のちょうど影になって最高の景色を見せてくれた。夢中になって写真を撮っていると 
「いい写真撮れた?」
と先ほどの婦人が声をかけてくれた。
「いいでしょう?」
って撮った写真を見せたら褒めてくれた。なんていい人たちなんだ!


船に乗って15分くらいで対岸についた。ここからどうしたらいいかさっぱりわからないので、先ほどの老夫婦にこっそりついていくと、どうやらバスに乗るようだ。確かに目の前は結構急坂道なので、ここから歩くのも大変そうだ。ようし。私も最初からそういうつもりでしたよという顔で一緒にバスに乗ってしまおう。マルタのバスは料金を前払いで運転手に払うことは予習済み。さっきのおじさんがまごついている間に2ユーロを運転手に払う。続いてさっきのおじさんが払おうとしたら突然こっち向いて手を出してくる。
え?1ユーロだからお釣り?
あらまぁご親切に。運転手さんからおじさん経由で1ユーロ戻ってきた。

準備OKでバス出発。バレッタの路地を走っていくバス。中心部に向かう坂道がすごい。恐ろしいくらいのアップダウン。歩かなくてよかった。街中を抜けて海沿いを走る。楽に景色も堪能できてよかった。とはいえ乗る予定をしてなかったバスなので、どこで降りたらいいのかさっぱりわからない。と、老夫婦がどうやら途中で降りるようなので同じところで降りてみる。お二人とはここでお別れ。二人は何やら海沿いの方を歩いて行った。さて、私は朝ご飯を食べられるカフェに行きたい。ここはちょうど先ほどのフェリー乗り場の反対側。海は綺麗だけど何もないなぁ。スマホで朝ごはんを食べようと思っていたカフェまでのルートを検索。え?徒歩20分??直線だと近そうなのに? しかもこのスマホのナビに出ている迂回ルートのグネグネした感じはかなり坂道登る系?うわぁ..。トイレも行きたいし20分も坂道歩くの結構辛くない?しばし呆然として何かいい方法がないか考える。先ほどのバスに再度乗るのも手だけど、どこにいくかわからないしなぁ。かといってちょっと歩いたくらいでは飲食店はなさそうだし。テレビでやっていたサイコロの出た目のバス停で降りて飲食店を探すやつってこんな感じなのかな。呆然として周りを見渡す。何の気なしに目に留まった看板。「Barrakka Lift」あれ?なんかLIFTって書いてある。その先にはエレベーターらしきものがあるじゃないか。なになに?1ユーロで上に行ける?これ、もしかして救世主??朝早いけどエレベータ的なものだから動いてそうだぞ。これに乗れば坂道をショートカットして上の中心部にいけるんじゃないか?ここは一発これに賭けてみよう。もしダメでもエレベーターで引き返してくるだけだ。入り口で1ユーロ払ってエレベーターに乗る。
透明で眺めがいいエレベーターに乗りぎゅーんと上がると、、着いた。地図で見るとここはアッパーバラッカガーデン公園だ。完全にショートカット成功。俺、冴えてる。そして予想してなかったけど、ここからの眺めも素晴らしい。先ほどより高いところなので眼下に広い海や向こう側のスリーシティーズの景色が広がる。公園内には昔の大砲もある。ついでに公衆トイレもある。いい公園じゃないか。反対側の公園の出入り口を出て、改めて朝行こうとしていたカフェまでのルートを確認するとさっき20分だった到着予想時間が5分になっていた。あとはまっすぐ行って曲がるだけ。だけどそれらしい店が見当たらない。あれ?地図をよく見たら閉業って書いてある。コロナ?コロナのせいか?ここに来て目的が達成できない事態に。仕方がないので近くにカフェがないか探す。なんとなく目に止まった開店前の老舗風の店。ネットで調べるとマルタの老舗カフェで評価も高い。よし。そこの広場でベンチ時間をつぶし、オープンするのを待って中に入る。

雰囲気もクラシカルでいい感じ。ウェイターが白ワイシャツの胸元を開けているあたりがセクシーだ。この着こなしはヨーロッパでないとできないなぁ。席についてカプチーノとパスティッチとクロワッサンを頼む。友達からマルタのパンは美味しいらしいと聞いていて、このパスティッチというのが食べたかったのよね。程なく運ばれてきたのはどっちもパイ生地風。まずはクロワッサン。うーんバターが濃厚。パリパリでやはり本場のクロワッサンは美味しい。でもこれはある意味想定内。さてパスティッチは、、、む!同じような生地で中にチーズが入っている!このチーズめっちゃうまい!リコッタチーズが入っているのがとてもいい!カプチーノと合わせて最高の朝ごはん。この時間が贅沢すぎる。 


さて、朝ごはんも食べたし、本格的な散歩の開始。写真を撮りながら周りをぐるぐる歩き倒す。朝は人が少なくて写真を撮りやすいのがいい。どこを切り取っても絵葉書みたいな写真が撮れる。ただ歩き回るにしてもアップダウンがやばい。神奈川県みたいに海からすぐ丘なので道は真っ直ぐでも手前からめっちゃ下って遠くでめっちゃ登っているのが見える。ちょっと心が折れそうな地形だ。あとマルタの建物の特徴といえば窓。結構カラフルで何故か壁からちょっと飛び出ている窓や下が丸くなっている鉄格子が特徴的だ。ベランダとはちょっと違う感じだ。そういえば泊まってるホテルの部屋もそんな感じだった。ガラリアという名前らしいマルタの独特の文化でインスタ映えする。鉄格子もみたことがない下が丸く膨れている形で由来を調べてみると、
「マルタは地中海の小さな島で、古代の昔から、フェニキア人や、カルタゴ人、イタリア、トルコ、フランス、イギリスなどからの侵略の連続だった。それ故、窓から侵略者が来てないかを確認するために、顔を少しだせるよう、鉄格子を窓枠からわざと離していた」
ということだ。ヨーロッパ大陸からもアフリカ大陸からもトルコの方からも攻められていたマルタならではの歴史的背景らしい。今となってはおしゃれなデザインにしか見えないけど。気がつくと色んな窓の写真をいっぱい撮影していた。


写真ばかりじゃなくて、合間にお土産も物色する。どうしても買いたかったのが自分用にマルタクロスのペンダント。フィリグリーというマルタの伝統的な銀細工が有名なので是非手に入れたかった。バレッタの中心からちょっと歩いたところにある暗い店。昔NHKの取材もきたことがあるらしい小さい店。おじさんが一人中で銀細工を作っていて周りがショーケースになっている。全部手作りの1点ものなのだろうか。とても細かい装飾のピアスやブレスレッド、ペンダントトップが飾られている。その中で選んだのはちょっと小さめのマルタクロスのペンダントトップ。繊細な銀細工のアクセサリーで一眼で気に入ってしまった。通すヒモと一緒に購入して本当はその場でつけたかったけど、帰国までに無くすのもなんなので大事に鞄にしまった。あとは普通のお土産屋を色々と物色。自分だけ洒落たものを買ってしまっているのはここだけの話にして。マルタはあんまり名産的なものがないのと久しぶりの海外で勘が鈍っているのか、これといったものになかなか出会わない。定番的なものをちょこちょこ買っていると時間は11時。日も高くなり気温も上がってきて歩き回るのに疲れてきたので一旦ホテルのあるスリーマ地区に船で戻った。

ホテルにお土産を置いてランチへ。坂道に苦戦するかと思ったけど、ホテルの前の坂道はそこまで急でもなく距離も近いのでさほど気にならなくなってきた。ランチはネットで検索して評価が高かった店へ。賑やかな通りから人がギリギリすれ違えるような細い路地を一本入ったところにある、入り口が非常にわかりにくいがいろんなサイトで評価の高いレストランだ。12:30からという不思議な時間から始まるからか、ランチタイムなのにお客さんは二名。あれ?評判とちょっと違うのかな?と不安になりながらも席について白ワインとシーフードスパゲティを注文。ワインはハーフボトルがあるのでありがたい。スパゲティは普通サイズと大きめのサイズがあったが普通サイズにしておいた。まず、白ワインと一緒にパンとクラッカーとパテが出てくる。これはサービスでついてくるらしい。マルタパンの一部を切ったもので外がフランスパンみたいにカリカリで中がもちもち。これにパテを塗って食べる。ほぅ!白ワインとのマリアージュ!スパゲティ小さめにしておいてよかった。これだけで白ワインがすすむ。暑い昼間っからワインとパン。幸せ。で、きましたスパゲッティ。ムール貝、アサリとか海鮮の出汁がしっかり効いていてこれもたまらん。白ワイン。パスタ。白ワイン。パン。うまー。そういえば卒業旅行でイタリアに行ったけど、その時よりもずっと美味しい気がする。当時はお金がなくてケチってたのもあると思うけど。マルタのイタリアン激ヤバだ。


今日もまたほろ酔いでレストランを後にして近くのビーチまで散歩。海を見ながら潮風にあたってボケーっとする。なんか飯食って飲んでフラフラしてるだけ。贅沢な旅行だ。バカンスとはこういうことかも。酔いが覚めてきたところでバスに乗ってショッピングモールに寄り適当に服を買った。その足でスーパーにも寄ってお土産になりそうな現地で売っているお菓子を買う。現地スーパーで流行ってそうなお菓子というのが意外と美味しいのではないかというのが私の持論。結構な荷物になったのでバスでホテルまで戻ってきたら結構ヘトヘト。ちょっとホテルでダラダラして夕方まで休憩。もう若くないので無理はしない。 

日も落ちてかけてきた夕方に再度フェリーに乗ってバレッタへ。ちょうどマジックアワーの時間帯。ライトアップされた旧市街は昼間とは違ったミステリアスな雰囲気だ。オレンジ色の街灯に照らされた黄色いマルタストーンの壁がとても幻想的だ。そしてこの時間になるとオープンテラスに席を出したレストランがどこも賑わいはじめている。この雰囲気はヨーロッパのどこでも見ることができる光景だ。そんな街の雰囲気を楽しみながら、もう1軒事前に調べあったパスタが美味しいと思われるイタリアンレストランに入店。オープンテラスの席を希望したが予約で一杯とのことで仕方なく中の席へ。うわぁ。エアコンがいまいち効いてなくてちょっと暑いなぁ。メニューをもらってカルボナーラのリガトーニとビールを注文。イタリアンって馴染みがある分、日本で食べるのとどのくらい違うのか試してみたくなる。昼はワインだったので夜はビール。お、冷えた瓶ビールが出てきた。これは嬉しいじゃないですか。コップに注いでまずは一口。ぷっふぁぁぁぁ。暑い夏の夜に飲む一口目のビール。世界共通で素晴らしい。そして出てきました。カルボナーラ。本場は日本で食べるカルボナーラとは違うとよく聞くので食べてみたかったんだ。太いリガトーニによくソースを絡ませて、ぱくっと。!あっつ!!美味しいけどあっつい。リガトーニにたっぷり熱々のソースが絡んで火傷しそうなくらい熱いけどめちゃくちゃ美味しい。これが本場のカルボナーラ。日本のようなクリーミーな感じというよりは濃厚なチーズのソースって感じだ。特にカリカリのパンチェッタがいい塩気を出していて一緒に食べると、もうたまらん!ハフハフ言いながらビールと一緒に胃袋におさめていく。今回はサイズが選べなかったので結構大盛りだ。味変したいなと
「タバスコはない?」
って聞いてみたらすごい怪訝そうな顔をして
「タバスコ?」
って聞き返されてしまった。あんまりこちらではタバスコを入れる文化はないのかな?でも、辛いものが欲しいのは伝わったみたいで
「チリペッパーならあるよ?」
と教えてくれた。
「それちょうだい」
せっかく教えてくれたので頼んでパスタにかけてみると、タバスコとはまた違うけどピリッと絡みが増して美味しくなった。これも大正解!マルタ、ご飯美味しい。若かったらもっと他のも注文するけど結構満腹になったので注文はこれだけ。
「チェック、プリーズ」
って言ったらどうやらここはテーブルチェックじゃなくて入り口のカウンターでテーブル番号を言って支払う珍しいシステムだった。入り口まで行き、伝票をおばさんに渡してお金を払う。ん?あ、チップの分があるからお釣りはいらないよね?ってことね。あ、ここはチップいるんかい。ちょうど10%くらいだからOKって言って店を出た。


すっかり日の暮れた夜の旧市街を歩いてフェリー乗り場に向かう。夜風も気持ちいいし景色は最高だし歩いてても気持ちがいい。10分くらい歩いてフェリー乗り場に到着。明かりもなくて真っ暗。誰もいない。時刻表を見るとちょうど出たばっかりか?ともあれ行くところもないのでベンチに座ってフェリーが来るのを待つ。大体30分に1本は出ているのでそんなに待たなくてもまた来るだろう。ぼーっと一人で待っていたらちょっとずつ人が増えてきた。あれ?時間になっているのにフェリーが来ない。あれ??ケルンの悪夢再び?人は増えてくる。みんな結構待っているはず。でも、誰もフェリーが来ないのを心配してない。こういうのヨーロッパ人は気にしないのかな。すげーなと思っていたら遠くから船の音。やっとフェリーがきた。時刻表に書いてある時間から1時間くらい遅れていたが、特に何事もなかったかのように乗っていた乗客は降りて行き、我々は船に乗船した。

帰りはデッキではなく下の涼しいところに座り、特に景色を見ることもなくスリーマの船着場に到着。船を降りて水買ってホテルに帰ろうかなと思って列に並んでいると、突然トントンと背中を叩かれる。ん?振り返るとおばちゃんが声をかけてくる。え?え?マルタに知り合いなんていないぞ。ベルギーみたいにスリにあいそうな状況でもないし?何も変なことはしてないぞ。ひたすら船を待ってただけで、何か文句を言われる筋合いはないが?
「朝一緒のフェリーだったでしょ!覚えてないの?」
えぇぇぇぇぇ?朝一緒に船でバレッタに渡った老夫婦じゃん!
なんて偶然!!びっくりしたw
「随分長い時間いたんですね?」
って言われて一度戻ったとか説明できる英語力のない僕は
「はい!」
って満面の笑顔で平和な嘘をついた。本当はホテルに一回戻ってダラダラしてましたが。旅を楽しんでね!と手を振って別れてホテルに。こういうのも旅の醍醐味。こんな偶然ってあるんだって楽しくなってしまった。

忘れないように水だけ買ってホテルに戻る。この水、結構飲みやすくて美味しいなぁ。ドイツ、もしかしたら水が合わなかったのかなと思いながらすっかり体調が回復したのを実感して眠りについた。明日の午前中はガイドと一緒に名所を3カ所回るツアーを申し込んでいるのでまた楽しみだ。


9/19

3時起き継続中。どうせ最終日は3時に起きなきゃいけないのでこのまま時差ぼけ直さずに過ごしてしまうことを決意。

今日は午前中にツアーを申し込んでいるのでそれまでに朝ご飯は済ませておきたい。
昨日食べたパスティッチが忘れられないので朝一でホテルと港の間にあるパスティッチ専門のお店でパスティッチとカルツォーネっぽい三日月のパンを購入。あれ?これ暖かいじゃん!だったらホテルに帰るよりそのまま港のベンチに座って対岸に見える夜明けの旧市街バレッタを見ながらもぐもぐ。な、なんておしゃれな朝ご飯!しかしこのパスティッチ、日本でも食べれないかな。似たようなものがあるか帰国したら探してみるか。この暖かいままテイクアウトできるのは感激だった。これが美味しさを倍増させている気がする。みたらしも温かい方が好みだし。

贅沢な朝ご飯を満喫し、時間までホテルで待機。時間になって下に降りると入り口に日本人のおばちゃんがすでに待っていてくれた。ニュージーランドでは30分も待たされたのに。車もすぐに来て出発。時間通りなのはすごいな。車に乗ってドライバーのおじさんと握手して挨拶。ドライバーのおじいさんも感じのいい人でよかった。あ、僕一人だけのためのツアーなのね。そりゃこの金額か。とちょっと高いなと思っていた料金も納得だ。最初の目的地に向かう途中の車内でマルタ事情を色々教えてもらった。
・マルタストーンの黄色い壁。でも最近は取れなくなってきていて希少価値。コンクリートで表面だけ同じ色にしてたりする。
・マルタの夏休みは9月末まで。ちょうど子供たちが一番ブルーな時期。
・先週までは大雨で大変だったので一番いいタイミングで来たかも。9月はほとんど降らないのに先週は大雨だったらしい。
(後から調べてみたらリビアで洪水まで起きて大災害になってた雨のことらしい)
・そしてその前はもっと暑くて大変。ちなみに昔はマルタももうちょい涼しかったけどここ最近暑くなった
・なので昔はエアコンがない所も多かったけど今はほとんどエアコンがある
・ちなみに日本からは冬にツアーでよくくるけど、風が強くて大変
・マルタには山も川もないので強い風が吹き抜けて冬は大荒れ
・マルタのユーロ貨幣は裏にマルタクロス。ユーロの貨幣はそれぞれの国が裏面のデザインを作っている
・ユーロ圏になって観光客が来るようになって結構発展している
・バスか車しか移動手段がないので慢性的な渋滞に悩まされている
・中国人が他の観光地より少ない。爆買いするものがないからつまらないらしい。来てもカジノばっかしてる
などなどネットには載っていない面白い話を聞くことができた。一度街を見ているから、聞いていて頭に話がすっと入ってくる。日本で文字を読んで想像していてもあまりピンとこないんだけど、現地に行くと話の内容とその世界がマッチするのですごく理解できる。

まず車は島のちょうど反対側にある青の洞門へ向かった。イタリアには青の洞窟があるけど それと同じような感じなのかな。期待に胸が膨らむ。車に乗ること20分くらい。確かに山みたいな険しい道はない。ちょっとした丘みたいな道を走っていくと見晴らし位のいい展望台についた。うわぁ。とにかく水平線がずーっとある。水平じゃないんじゃないかというくらい。地球の丸みを感じられるような気がするくらい広い海の水平線が目の前に広がっている。車を降りたところからちょっと歩くと上から洞門が見えてきた。不思議な形に繰り抜かれたアーチ。海は青いけど、手前の浅いところではとても透き通っているのがよくわかる。光の加減で見える青いグラデーションがとても綺麗だ。この距離からでも海の底が見えるというのは水の透明度が相当高いのではないだろうか。
「この後下に降りて行ってボートで近くまで行きますよ。」
おぉ。それは楽しみだ。
「ちなみに冬だとせっかくきても風が強すぎて乗れないことが多いんですよ。」
今見ている海は穏やかそのものだが、冬になると全然様子が違う海になるらしい。
車でボート乗り場の近くまで行き、徒歩で坂を下って船着場に到着。ライフジャケットを着て小さいボートに他の観光客と一緒に乗り込み出発。この旅行は結構船に乗って移動することが多くて楽しい。


ボートは岸壁にそって洞門を回ってくれる。水はやっぱり綺麗!青い。底がみえる。海の深さや光の加減で青い色が色々変わる。緑っぽい色だったり青かったり。洞門というのもみたことがなかったので新鮮。ひっそりと海賊が潜んでいそうだ。揺れているので写真を撮るのに苦戦しながらもなんとか素敵な景色を撮ることができた。
ボートは周辺の海岸沿いをぐるっと回って元に戻ってきた。船着場では多くの人が普通に海水浴やダイビングを楽しんでいる。船に轢かれないもんなのかな。船を降り坂道を登ってガイドと合流。昨日歩きすぎていてちょっと辛い。ここで待っていればドライバーが上の駐車場から下に降りてきてくれるらしい。同業のガイドさんが僕たちを横目に上に登っていく。なんかナイスだねーってこっちに向かって言っている。
「うちの車はでかいからここまで降りてこれないんだよねって言ってますよ」
それは助かった。さすが専属ドライバーw。

しばらくして目の前に来た車に乗り込んで次は遺跡。マルタに残るピラミッドよりも古いと言われている巨石神殿群の一部のイムナイドラ神殿を見に行く。紀元前3000年に作られたものだと言われている。私が見た中で一番古いものだ。正直紀元前3000年ともなると全然ピンとこないが。まずはちょっとした博物館の展示物を見る。ガイドさんによると、当時から昔からコロとか、てこの原理とかを駆使してそれでも綺麗に石を積み上げたらしい。そんな昔から石を切り出して大きい石を運んでいたというのがそもそも信じられない。そして夏至と冬至、春分、秋分の日にだけ光が差し込んで月のマークが出るような窓が神殿に作られている。紀元前の時代にすでにそんな知識があったのか。。というかその時代にすでにそんなに頭がいい奴がいたのか。。。頭がいいやつと悪い奴がちゃんと昔からいたんだろうな。。教育なんてなかったはずなのに。どこで差がつくのだろう。ムゥ。ちょっと脱線した見方をしてしまった。その後映画で当時の状況をアニメにしたものを10分くらいみる。アニメーションでナレーションもない. 見ればわかるようなものでありがたい。映画を見て出てきたら、日本で見覚えのある顔が。
え?こんなところで知り合いに会う??
正体はPepper君。
日本のどこかで働いていたのをクビになったのだろうか。それとも脱サラして悠々自適に過 ごしているのだろうか。思わぬ出逢いに驚いたが、気を取り直して博物館の外にある本物の遺跡を見る。綺麗な保存状態で思わずレプリカですか?と聞いたら本物だとのことだ。これが紀元前3000年前ということは今から5000年前に作られていたとは。ただある石を使ったのではなく、明らかに石を加工して大きさを揃え、当時機械も何もないのにこんな大きな石を上に積んだり、意図のある配置をしていたのがわかる。もともと地中に埋まっていたので保存状態はだいぶ良かったが、今は、壊れたり風化しないようにテントで覆われている。でも、強風で一度テントの方が壊れたらしい。神殿は無事なのに。神殿とはいえ天井はすでになくなっているが当時は石を積んできちんと天井まであるような建物だったそうだ。すごいな。輪廻転生を信じている文化だったらしく、それに纏わるようなものが色々発掘されていた。
・渦巻き模様のモニュメント
・男根、子宮をイメージしたモニュメント
・マルタのヴィーナスと言われる女性を模した土偶
・顔を付け替えられるようになってる土偶
顔が付け替えられるようになっているのは初めて見た。顔がなくなっているのではなくて、付け替えられるように何かレゴブロックのように穴が空いていたのは驚かされた。
マルタは山も川もないので地震や火山の噴火とも無縁だったそうだ。昔はイタリアのシチリア島と陸続きもしくはもっと今より近く、頻繁にイタリアと交易していた跡が残っているそうだ。そんなマルタの古代文明も何故か紀元前2350年ごろに文明が滅んで空白の期間ができたらしい。謎すぎる。その後アフリカとヨーロッパのちょうど中間にある島は、戦争に巻き込まれアラブの文化とヨーロッパの文化が混在するような島になったらしい。ローマによる支配から北アフリカのアラブ人の支配。聖ヨハネ騎士団の支配とオスマントルコとの戦争からナポレオンの侵略、イギリスの統治といろんな民族の血が入っている。そのためマルタ人の瞳の色もすごいブルーな人もいれば黒い人もいるらしい。いろんな人種の血が混ざって今日まで来ているそうだ。


車で最後の目的地のスリーシティーズへ。道中でよく見かけたのがサボテン。マルタには至る所にサボテンが生えている。夏の乾季の気候と相性がいいらしく石垣の上に生垣の代わりみたいに生えている所が多い。風除けとしても効果があるそうだが、マルタでは食用にもなっていてサボテンのジャムとかサボテンの実を食べたりするそうだ。そんな景色をすぎて スリーシティーズに到着。ヴィットリオーザ、セングレア、コスピークワの3つのシティが集まっているのでスリーシティーズと呼ばれている。ここは聖ヨハネ騎士団が築いた街。ぱっと見映画のセットみたいで綺麗な街なんだけど、よく見ると結構古い石造の街。城壁も見張り台もあって中世の街並みの雰囲気が色濃く残っている。マルタストーンの黄色とベランダのカラフルな色がとてもオシャレな街並みを作っている。写真を撮りまくってツアー終了。いや、効率よく3箇所を回れて良かった。再度車に乗り、おすすめのレストランやお土産物屋を教えてもらい、出発地点のスリーマまで戻ってきた。ここでドライバーのおじさんとはさよなら。心ばかりのチップを渡してお別れした。


ガイドさんに明日はブルーラグーンへ行く予定だと言うと、バスは渋滞とかで大変だからちょうど止まっている港からボートで行くのがあるよと最後に申し込みのカウンターまで一緒に着いてきてくれた。
「あ、あそこのカウンターで受付できますよ。ちょっと聞いてみますね。明日のツアーを申し込みたいんだけど?」
と代わりにカウンターで聞いてくれる。
「ここのはゴゾ島からコミノ島に行く船で朝の7:30に出発するんだ」
なに?先にゴゾ島?写真撮る時には人がいない時間の綺麗な海を撮りたいので最初からコミノ島に行きたいのでそれは却下だ。申し訳ないけどとガイドに言って申し込まずに終了。
ガイドさんは渋滞を相当気にしているようで、朝のフェリーでバレッタに渡り、船を降りた場所の反対側にある別の船着場からコミノ島行きのフェリーが朝7:45に出るので、それで行くのがいいって教えてくれた。乗り場はちょうど昨日僕がバスで降りたリフトの停留所とおなじ。なるほど、それは早いかも。一応候補に入れてガイドさんとも別れた。

さて、ちょうどお昼なので車内で教えてもらったまだ僕が行ったことのないレストランへ行ってみたらランチがやってない!仕方がないので昨日と同じレストランでペンネアラビアータとビール。美味しいレストランを見つけると他のメニューも食べたくなるんだよね。で、思った通りこれも最高。こうなるとここのメニュー全部食べたくなる。明日もここのランチで、ガイドさんおすすめのマルタの郷土料理を食べよう。

さて、満腹&ほろ酔いで向かったのは昨日とは別の地元のスーパー。ここで再度お土産を物色&水確保。お土産はまだまだ悩むので明日もう一度来よう。あ、持ち帰り用の惣菜コーナーも美味しそう。。晩御飯これもいいなあ。ピラフとかミートボールとか、普通に美味しそうだ。歩き疲れたし暑いので、一旦ホテルに戻って今日もシエスタ。ホテルにはインスタントコーヒーもあるので、涼しい部屋で一休み。

はっ!石鹸!お土産!そういえばマルタのお土産で手作り石鹸があるらしいのを忘れてた。店はホテルから歩いて2分くらいのところ。忘れないうちにお店に行ってみる。ホテルからすぐのところにある可愛らしい店。自分には到底似合わないが、お土産のためだから堂々と入店。お、看板犬がいるぞ。かわいいフレンチブルドッグかな。触っても怒らない。ちょっと癒されて、石鹸を数個買ってホテルに戻り夜までダラダラ過ごす。
夕方になって、活動再開。ベタベタな土産物屋を一通り物色。これ!と言うものがなくって困る。あんまりお腹空いてないのでジェラートを買って晩御飯にしちゃう。フランクフルトに続き、ジェラートってなんでこんなに美味しいのでしょう。レモンとグレープフルーツで色味は地味なんだけど、めちゃくちゃさっぱりしてスッキリする。夕涼みの港で海と旧市街のバレッタを見ながら食べるジェラートなんて最高ですよ。夕涼みの風にあたりながらのんびり散歩をして20時くらいにホテルに戻った。途中で今朝食べたパスティッチを晩御飯がわりに食べようか悩んだけどお腹と相談してやめておいた。大人になるってこういうことだ。ちょっと寂しい。

ホテルの部屋で明日の作戦会議。どのルートでコミノ島に行こうか。確かにフェリーは楽そうだし、ガイドさんが言っていた乗り場も昨日バスを降りたバスの停留所の近くだと思うのでなんとなく予想はつく。ただ、渋滞があるとはいえバス一本で行くのとフェリー、バス、フェリーと乗り継いで行くのとどっちが楽だと言ったら、どうせバスは終点までなので早朝のバスに乗って爆睡してる方が楽なのではないだろうか。バスの回数券も余りまくっているのでもったいないし。結局6:30のバスでコミノ島に行くことに決定。そうと決まれば早起きのため早々に睡眠。もう時差ぼけを治す気はすっかりなくなっていた。


9/20

毎日22時頃に寝て4時くらいに起きている。
明日はいよいよ4時にタクシーに乗る緊張感。寝坊厳禁。この調子ならちゃんと起きれそうだ。ちゃんとタクシーが来るのかは不安だけど。
まぁ、明日のことは明日として、今日は6:30のバスに乗りたい。
朝ごはんは今回食べない。トイレいきたくなったり車酔いしたら大変だから。どのみち周りは真っ暗でこの時間にやっている店なんてなさそうだ。思ったよりみちがくねくねしてたり、アップダウンあるのは経験済み。念の為乗り物の酔い止めを飲んでバス停に向かう。日の出前でまだ真っ暗なのにバス停まで来たら人が多くてびっくりした。


バスは時間通りに到着。ここが始発なのか誰も乗っていない。一番後ろの席を陣取ってこれ から1時間、渋滞したらもっとの旅である。乗客もそこそこ乗っている。まだ暗い街中をバスは走る。これはこれで何か不思議な空間だ。途中で夜があけてきて海から朝日が昇る。今日も晴れそうだけど、昨日までよりちょっと雲がありそうな感じ。綺麗な青い空と青い海の写真が撮れるか心配。バスは渋滞もなく快調に走っていく。所々にちょっと大きな街があって街と街の間の距離もすごく近い。バスが海沿いを走っているからなのかどの街も治安が悪そうな雰囲気はない。終点までの旅なので乗り過ごす心配もなく、十分に景色を堪能していたら1時間後フェリー乗り場に到着。バスで正解だったかな。
コミノ島のボート乗り場はゴゾ島行きの大きいターミナルのすぐ横にこじんまりとした小屋が立っていた。もうカウンターが空いていたのでチケットを買う。まだ始発まで時間があるのでそこのキオスクで待つといいよと言われた。キオスクでコーヒーを頼んでテラス席でぼーっと海を眺める。早く着いちゃって何もやることがないなぁ。相変わらず広い空と青い海しかない。こちらが朝の7時ということは日本は14時か。そうだ。せっかくなのでこの場所から両親にテレビ電話をしてみる。ちょっとここマルタの景色を見せて自慢。便利な世の中だなぁ。

しばらくしたらボートが到着。いつの間にか人も増えている。チケットを渡して全員乗り込んだら出発。昨日のボートよりもちょっと大きめで長い距離を走るのでさらに気持ちがいい。大海原を颯爽と走るボート。綺麗な海、綺麗な空。途中コミノ島の近くにもある入江をぐるっと周り、最後にコミノ島に到着。今回の旅の1番の目的地、ブルーラグーンに到着した。

船を降りて一目でわかる。めっちゃ綺麗!これこれ!この景色が見たかった。水はもう嘘みたいに透明!で、遠く離れていくと光の加減で綺麗なブルーに変わっていく。上の方から全体を眺めたいので、丘の上の方まで歩いて行ってベストポジションを探す。ここだ!海も広く見えてボートもあって綺麗に見える場所!シャッターを切りまくって何枚もの写真を撮る。せっかくなので頑張って自撮りも撮って。角度によって色々海の写り方が違うので頑張って場所を変えて何枚も撮る。あれ?あの白いボート、犬が乗ってる。で、そのボートを拠点にして綺麗な海で飼い主が水浴びをしている。なんて贅沢な。あんなセレブみたいな生活、本当にやっている人いるんだなぁ。 


そんな自分の人生から程遠いセレブの生活を羨んでいると「Hello」とハイキング中の人に声をかけられた。
「どこからきたの?」
「日本だよ。」
「日本のどこ?」
「東京。」
「そっか僕はイランから来たんだ。5年前にリッポンギに行ったことあるよ。」
多分六本木のことだろう。
「そうなんだ。楽しんでね!」
「あなたも!」
頑張って英語でコミュニケーションする俺、えらい。

ここでの撮影はひと段落したので、船着場の反対方向に行ってみよう。足場の悪い道を転ばないように歩いて船着場からさっきと反対側へ向かうことにする。船着場ではいろんな店がオープンしている。ボートツアーの受付や、パラセーリング、バナナボートなどなど。そんな中で試したかったのが一際南国ムード溢れるお店。カウンターにずらっと並んだパイナップル!そう、パイナップルをくり抜いた器で出してくれるカクテル!これこれ!これを飲んでみたかったんだ。指をさして1個くれって言うと柄の悪そうな兄ちゃんがなんか文句言ってる。ん?あぁ、お酒入れるかって?そりゃもちろん入れますよ。で、もらいましたでっかいパイナップルの器に入ったカクテル。この時間から飲んでいるの僕だけですが気にしな い。まずはこのパイナップルメインで背景をブルーラグーンで写真を1枚。こ、この写真かなりいい感じになったんじゃないか?バカンス感が半端ない素晴らしい1枚が撮れたぞ!あとは頑張ってパイナップルを持った自撮りも一枚。あ、髭剃り忘れてたので、これはなかなか柄の悪いおっさんが撮れてしまった。ちょっと恥ずかしいが旅先の恥はかき捨てですから。ちょっと弾けてたってことで許してもらおう。綺麗な海を見ながらカクテルを飲む。この最高に贅沢な時間と空間。なかなか普通じゃできない非日常感に否が応でもテンションが上がる。うーん。良い旅の締めくくりになったなぁ。


流石にお土産にパイナップルの器を持って帰るわけにはいかないのでお店のゴミ箱に捨てた後、もうちょっとだけその辺を散歩。ただひたすら綺麗な海があるだけ。本当はここから島の反対側まで歩いて行けば別のビーチや飲食店、ホテルなんかもあるのだが陽が高くなってきて暑さがやばい。そしてちょっと雲も出てきた感じで青空がもやってきた。これ以上ここにいても思ったような写真が撮れそうもないなぁ。実質今日が最終日だからお土産とか買い物に時間を使いたいし。よし、まだまだ島の見どころはあるかもしれないが思い切ってもうここは撤収しよう。

船着場に戻って目の前にいるボートの兄ちゃんに帰りのチケットを見せたら、そのボートはマルタ島に戻るやつじゃなかった。
「お前のチケットはあっちのボートだ」
って言われたので、そちらに行ってチケットを見せるとそこでも微妙な反応。確かに手に持っている他の乗客のチケットは同じようなデザインでも色が違う。どうやら違うらしいのかこちらに向かってなんか言ってくる。どうやら「フェリー乗り場にはバスで来たのか?」っぽいことを言っている。なんでそんなことを聞くかよくわからないが、その通りなのでYesと言ったら乗れと言われた。島にきた時よりもひとまわり小さいボートだ。むむ?なんか微妙なところで降ろされる感じかな?とはいえマルタ島に着いてしまえばあとはバスに乗ればなんとか宿泊先近くにはいくだろうし、違う島に連れて行かれたとしても片道だけってことはないのでそれはそれで観光して帰ればいいや。

帰りのボートはどこにもよらず快調なスピードでマルタ島に到着。予想通り朝乗った場所とは全然違うところに降ろされた。なんかホテルが立っているところで、ここはどこだ??慌てずにスマホで地図を調べてみたらバス停は近くにあるようだ。そこで待っていればちょうど帰りのバスに乗れそうだ。しかもタイミングよく5分後くらい。なんだ、結果オーライじゃん。程なくバスが来てまた1時間かけてスリーマに戻る。バスを降りて初日に行ったピッツァの美味しかったレストランに行ってみたが、ここもランチはやってなかった。じゃあ、というので3日連続で同じレストランへ。実はどうしても食べたかった料理があったのだ。
「ブラジオリ」 
ガイドさんからブラジオリっていうのが美味しいので是非食べてほしいと聞いていたのだ。いつもランチで行っていたレストランはマルタ料理のレストランなので絶対あるはずだとメニューを見たら右上に発見!迷わず赤ワインとセットで注文して料理を待っていると出てきました!神々しいまでのこの肉を肉で巻くという郷土料理、ブラジオリ。赤ワインと絶対合うやつ。戻ってきてランチにしてよかった。例によってパンも一緒に出てきているので最後の至福の時間を楽しむ。まずは肉を一口。おぉぉぉ。美味しい。よく煮込んであってデミグラスソースというかこの一緒に煮込んでいるソースがまた美味しい。赤ワインとのマリアージュが最高すぎる。たまらん。ここは最後のランチだからじっくり、ゆっくり味わって食べよう。結構大きいのでボリュームもあるし。マルタの素晴らしさを五感全部を使ってじっくり味わう。うーん、もっと他のも食べたいけどお腹が許してくれない。めっちゃ満腹。最後はエスプレッソも頼んじゃってスペシャルランチを終了。満足すぎてお釣りがくるな。


空腹を満たしたあとはスーパー、土産物屋を再度回る。スーパーではお菓子やイカ墨のパスタの乾麺などなど色々買い込んだ。何やら怪しいスパイスもかって友達のお土産にした。なんか日本で見たYouTuberと似たような人をパッケージの写真に使っていて何故か大量にセール品になっていたのが面白くてつい買ってしまった。マルタで大人気ってことにしよう。マルタでは川がないので海水を濾過して真水を作っているらしい。その影響かどうかは知らないけど海水から作った塩が名産みたいなのでそれも購入。あとはハチミツも有名と書いてあったがスーパーで売っているハチミツって全然マルタ産が売ってない。よくわからないけどせっかくなので土産物屋で売っているマルタ産のハチミツも購入。あとはガイドさんに教えてもらったホテル近くのお店でマルタでは人気らしいクッキーを購入。などなどいっぱい買い込んでホテルに戻る。早朝から精力的に動いたので結構ぐったり疲れてしまった。

ホテルで帰国に向けて荷造りを開始。こうなるといよいよ寂しくなる。食べ物が美味しい、気候が気持ちいい、仕事がない。本当は帰る理由がなさそうなのだが、いかんせんこのままでは金がない。ま、ここ数年頑張って働くモチベーションがいまいち湧かなかったのが、また来年以降も旅に出るために頑張れるようになった気がする。仕方がない。帰ってやるとするか。しかし、残念なことに昼ごはんをガッツリ食べすぎたらしく晩御飯は、、、入らん。年齢を重ねるというのは悲しいことだなあ。仕方ない。食べるのは諦めて最後にもう一度海辺を散歩。この海沿いの道は本当に気持ちがいい。ベンチに座ってのんびり。今回は久しぶりの海外なので結構ゆったりスケジュール。なんか特別何かしたわけじゃなくてただブラブラと写真を撮りながら美味しいものを食べて酒を飲んだだけ。あ、一番贅沢な時間を過ごすことができたんじゃない?夕陽に照らされたバレッタの旧市街を見ながらこの旅を振り返ってみた。良い旅だったなぁ。

・・・ところで、タクシーは明日の早朝にちゃんと来てくれるよね?万が一来てくれなかった場合、どうすんだ?あれ?完全に信頼して任せっぱなしにしておいたけど朝早いから遅刻したりとかされたらどうするんだ?急に不安になってきたがすでに夜もそこそこな時間。今更Mr Toddのフロントに確認もできないし、、一応配車アプリを登録だけしておくか。最悪自分でもう一回呼ぶしかないか。まあ今日までの出来事から考えるとあのフェリー以外は時間に結構正確だったし。信じるしかないな。自分に大丈夫と言い聞かせて、アラームを3時にセットして眠りにつく。楽しかったマルタも明日は早朝から帰国の長旅を頑張るのを残すだけだ。


9/21

午前3時。見慣れた真っ暗な景色。結局時差ぼけをなおさなかったおかげでなんの苦もなく3時に起きることができた。こんな真っ暗なこんな時間でもホテルの前の道を車がたまに走る。ちょっと出っぱったベランダの窓から覗くとたまにTAXIも走っているみたいだ。さて時間通りに車は来るのだろうか。この旅で一番のドキドキが襲ってくる。最後に忘れ物がないかを確認して念の為10分前に下に降りてホテルの前で車を待つ。ニュージーランドとか時間を全然守らなかったなぁ。海外って時間に正確じゃないとはよく聞くからある程度遅れてきても待ってみることになるんだろうなぁ。誰も歩いてない暗闇の道で一人、スーツケースを持ってタクシーを待っていると、一台の車がホテルの前に止まり、感じのいい青年が降りてきた。なんと4時5分前。なんて素敵な国だ。荷物をトランクに乗せてキーを部屋に戻していよいよ出発。真っ暗なマルタの街を渋滞もなくあっという間に空港に着くことができた。タクシーから降りて早々にチェックインを済ませて出国ゲートに向かう。朝5時前だというのにすごい人で混雑している。この人たちはどこにいくのだろうとフライト情報を見てみるとイタリア行きの便が結構多いみたいだ。

早めに出てきたので1時間暗い待ち時間がある。機内食がでないのは知っているのでレストランで最後のマルタ名物フティーラのツナとトマトサンドを注文。これはマルタ独特の丸いパンで具をサンドしているまだ食べてなかった名物だ。残念ながらパスティッチは売ってなかったが、食べ損ねていた名物だったのでこれはラッキーだった。
「トーストするか?」
と聞かれたので
「もちろん♪」
というとその場で軽く表面をトーストしてくれたものが出てきた。
席について最後のマルタ料理を一口かじる。めちゃくちゃ美味しい。ランチのレストランで出てきていたパンと同じような外側がカリッとしていてかつトーストしてくれているので香ばしさが増している。しまった. もっと食べておけばよかった。
パスティッチとは違ってベーグルっぽい形なんだけど、ベーグルより全然美味しい。
フランスパンのベーグルの形みたいなやつ。パリパリで香ばしくて。やっぱりまだ帰りたくないなー。後ろ髪引かれまくりで今後禿げるようなことがあればその要因の一部がマルタ料理に違いない。

あとは免税店でちょっとだけ定番のお土産を買い物。朝一ということもあり定刻通りに搭乗が始まっていよいよ帰国の途についてしまう。これから日本に着くまでトランジット5時間あるのを含めて約22時間の移動である。本当にロシアのせいで時間がおかしい。
フランクフルトには2時間30分で到着して、日本に向けてシェンゲン協定以外への出国ゲートの列に並ぶ。これがまた激混み。EU圏内の人は自動ゲートでサクサク進むのに絶対に人が足りてないでしょ。これ。日本もそうだったけどちょっと時間かかりすぎじゃないのって思うけど、トランジットで空き時間が5時間もあるからむしろ時間が潰れていいのかもしれない。しかし、この時期にこんなに混むなんて世界のみんなも旅好きなのね。なんとか大渋滞していた出国審査を終えてそれでもあと4時間待ち。ドイツのお土産は全く買ってないので空港で買い物してもいいのだけど流石に疲れていてあまり動きたくない。ただでさえここから日本行きの搭乗口までまた15分かけて歩かなければいけないのだ。さて、どうしたもんかなと思っていたら時刻は意外にももうすぐ11時。サクッとレストランでランチにして時間潰すとするか。ドイツ料理もマルタのイタリア料理の前では霞んでしまったので、ここでもイタリアンレストランを選択。さてさて、ドイツで食べるイタリアンは。。。あれ、これイマイチ。マルタのイタリアンはあんなに美味しかったのに!なんか日本のレトルトと同じくらいのレベルのものが出てきちゃった。空港だからしょうがないのかドイツだからしょうがないのかとにかく締めを飾るにふさわしくないレベルだった。くっそーーーーマルタ帰りたい!(日本じゃないんかい)もう一回仕切り直ししたい!ちょっとドイツ嫌いかも。
まあ、時間をゆっくり潰せたのでまぁいいか。

搭乗口の近くのベンチに移動して出発まで2時間ほど待機。Wi-Fiは使えるし、コンセントもあるのでスマホもパソコンも使ってダラダラ時間潰せる。マルタで撮りまくった写真をパソコンに取り込み、お気に入りの写真をピックアップしたりしていると意外に時間を潰すことができた。しかし、我ながら素晴らしい写真を撮ることができたなぁ。と感慨に浸る。日本では絶対に見れないような街並み、景色をみることができてとてもとても幸せな時間だった。

さてそんなこんなしていたら搭乗が始まって、いよいよ最後の飛行機に乗る。席についてフライトのルートを見てもやっぱりロシア上空を通らない遠回りルート。
約14時間。遠いなぁ。帰りのフライトは疲れもあり、お酒もあまり進まず、途中うとうとしたりしてなんとか到着。寝違えたのかちょっと首が痛いし足はだるい。体バッキバキ。でも、治療家の友達に明日のマッサージを予約している。完璧なスケジュール。
荷物を引き取って税関を通って再度のゲートを潜った瞬間に出たのは今年一番の大きなため息。

はぁっ。

夏休み終わってしまった。
体にまとわりつくような湿気が日本に帰ってきたことを実感させる。
バスに乗り蒲田駅まで。そこからはタクシーで自宅まで帰ってきた。出発してから24時間くらい経っていた。

久しぶりの海外。最初は緊張したけど徐々に感覚が戻ってきた。今までで一番予定も大まかだったので美味しいものと素敵な景色をのんびりと満喫できた。やっぱり旅って最高だなぁ。体は疲れたけど、心がずいぶん元気になった気がする。あとは仕事をしながら懐かしの写真集作りと旅日記を作ろう。来週まるまる1週間仕事があるのが恐ろしいが在宅勤務なのでちょっとありがたい。現実復帰のリハビリ頑張るしかないな。


帰国後

「この写真はすごいなー」
会社の人たちにZoomのオンライン会議で旅の報告がてら写真を見せた。破壊力満点の写真はみんなから羨望を集めた。これこれ、こういう反応をしてもらえるとますます旅に行ったことが楽しい思い出に変換される。嬉しい瞬間だ。
僕が旅行中にある友達はインフルエンザで寝込んでいたり、同じ時期に香港に行っていた友達はついて早々にクレジットカードを一枚紛失したり(すぐにカードを止めて大丈夫だった)した話を聞くと、ともかく無事に帰国できてよかったなぁと思う。体力がまだまだあるうちに、やっぱり来年以降も旅に行けるといいなぁと思う。全力で遊んですっからかんになったのでちょっとだけ仕事頑張ってやるとするか。

「サン・セバスティアンって世界一美食の街って知ってる?」
・・・友達がいらん情報を僕に言ってきた。なんだその魅力的な街は?

END

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