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ファンの信頼や好意を「同情」に換金するのは、最後の手段。 ECやSNSで売れた!と勘違いをしてはダメ。

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今回は「ファンの信頼や好意を同情に換金するのは最後の手段」「ECやSNSで売れたと勘違いしては駄目」というお話です。

新型コロナが出て、2年ちょっと経ちました。このコロナ禍でネットショップをはじめた会社さんは多いのではないでしょうか。今まではオンラインやデジタルを使ってのネット販売はしていなかったけれども、コロナの影響でお客さんが店舗に来られなかったり、リアルで購入をする機会が減ってしまったりしたことで、新たにネットショップをつくって販売をしていきたいということが増えたと思います。

これまで関係性があったお客さんやファンの人たちがいるような場合には「ネットショップをはじめました!」と言うと、最初はわさっと売れたりするんですよね。ただ、そのときに、喜びすぎてしまうのはちょっと待ってください。今回はそういうお話です。

「コロナで経営が厳しい」「物が売れなくなってしまった」ということで、ネットショップで販売をはじめたときに、それまでのお客さんに連絡をすることで、最初は意外と売れたりするんです。そのときは「ああ、やった!ネットショップでも物が売れたぞ!お客さんがたくさん買ってくれた!」と喜ぶと思います。そのときに喜ぶことは良いんですけれども……。

この物の売れ方には、すごくリスクがあり、危険がはらんでいます。それを理解していないと、そのあと、ネットショップが立ち行かなくなってしまったり、ネットショップ以外での実店舗が売れなくなったり、お客さんやファンが離れちゃったりすることがあります。ネットショップで売れて喜ぶことは良いところですが、それで安心してはいけません。その理由は、その売れ方が継続できるものではないからです。

これまで自分たちの商品を買ってくれていたお客さんやファンに対して「ネットショップができました。コロナの影響もあるのでネットショップのご利用をぜひお願いします」と伝える場合もあると思いますし、伝えない場合もあると思います。伝えなかったとしても、コロナでいろいろなところに影響が出ているというのは、多くの人が理解をしているし、知っています。その影響がそのお店に出ているか、出ていないかというのは、お客さん側からすると薄々勘づくところです。

だから、ネットショップができたということを知ったときに「応援の意味も込めて、ネットショップを使って商品を買おう」ということは、けっこうあると思います。

ただ、この物の売れ方というのは継続できません。継続しようとしてしまうと、けっこう早い段階でお客さんやファンは離れてしまうということがあります。

なぜそうなるのでしょうか。最初にお話をしましたが、その売れ方は、それまでお客さんとの関係性の中で積み上げてきた信頼や好意を同情というものに換金して物を売っているからなんです。同情では食べていけません。何のビジネスでもそうだと思います。同情してもらうことによって、そのビジネスが成り立っているというのはあまりないと思います。

中には、NGOやNPOなど、同情というものをお金に換金して継続させようとしているビジネスもなくはないと思うんですけれど……。多くの会社・ビジネスは、同情を売りものにはしていません。同情は、物をお金に換えているということ。それをしている会社は、ほとんどないと思います。やろうとしても、それを継続できるかというと、継続はできないと思います。

一般的な会社は、同情や応援では食べていけません。継続できません。応援と言うと、スポーツ選手のスポンサーになって応援をするということもあると思います。でも、その応援をしてもらうために何もしなくていいのかというと、そういうことではありません。だから、同情や応援を換金しているという場合、その売り方は継続できません。どちらかというと、1回限りです。本当に最後の最後、もうどうしようもなくなっちゃったときに使うような手段なのかなと思います。

どうしてそれが継続しないのでしょうか。お客さんはすぐに気づくからです。「自分たちのことは考えず、好意や信頼、思いをお金にしているんだな」「食いものにしているんだな」とすぐに気づいちゃうんです。私もそうですし、皆さんもそうだと思いますが、そこに気づいてしまうと、急に気持ちが冷めてしまうということがあると思います。「自分たちが食いものにされていてもいいんだ」という場合は、あまりないと思います。

食いものにされているんだけれども、その分、自分も何か得るものがあるということなら、まだやっていけるのかなと思います。例えば、ホストとか、キャバクラとか、そういうところ。ある程度お金目的だけれども、お客さん側に、それに見合う、自分の中に得られているものがあるから成り立っているわけです。自分たちの思いや気持ちが食いものにされていると感じてしまうと、お客さんは離れてしまいます。

これは、私は、貯金と同じだと思っています。コロナ禍の前に、お客さんとのコミュニケーションを一生懸命とって、お客さんに喜んでもらえるような商品をつくったり、サービスを提供したりして積み重ねで得たお客さんからの好意や信頼は、貯金と同じです。これまで貯めていたものです。ネットショップをつくったときや、困って「助けてください」と言うときに、貯めていたものを使っているだけです。貯まっていたものがなくなってしまえば、当然、それはできなくなってしまいます。使ってしまえば、当然、また貯めなければいけません。

ネットショップを立ち上げたときに、同情で買ってくれた。それでも良いと思います。でも、それで「これからもネットショップで売れるぞ」と甘く考えたり、勘違いをしたりしないようにしていただきたいです。「ネットショップでも売れた」「買ってくれた」というのは「自分たちのことを同情して買ってくれたんだ」とちゃんと理解をすること。これから、それまでと同じように、お客さんに喜んでもらうことを最優先に考えて、サービスやビジネスをしていくということができるかできないか。

同情を換金にするというのは、お店側が喜ぶだけであって、お客さんが喜んでくれているかどうかは分かりません。同情で買っているということは「嬉しい!」という喜びの感情を持っているわけではないことが多いです。お客さんが本当に喜んでくれることはどういうことでしょうか。同情で物を買わせることがお客さんを喜ばせることなのでしょうか。それを考えないといけないと思います。

ネットショップをはじめたばかりの頃は良いと思います。でも、そのあともずっと同じ手段で「困っているので買ってください」「困っているので買ってください」「困っているので買ってください」と何度も繰り返していたら、お客さんから愛想を尽かされてしまいます。

最初の1回は良いかもしれません。でも、次は、感謝の気持ちを持って「ありがとうございました」と。そのあとは、商品やサービスを提供する普通のビジネスと同じように、お客さんに喜んでもらうことを最優先に考えて商品をつくったり、サービスを提供したりすると良いと思います。

今回は「ファンの信頼や好意を同情に換金するのは最後の手段」「ECやSNSで売れたと勘違いしては駄目」というお話でした。



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