【フェロー募集】神経集中治療フェロー 1期生感想
さて、今回は私がディレクターを務める神経集中治療フェロー(2年コース)を半分終えた先生から感想文をいいただきましたので、掲載させていただきます。
以下原文になります。
研修プログラム 1年目:聖マリアンナ医科大学、救急科
2年目:TMGあさか医療センター、神経集中治療部
神経集中治療フェロープログラムに参加し、聖マリアンナ医科大学でのプログラムが修了したため、報告します。本プログラムに興味がある方の参考になれば幸いです。
【応募のきっかけ】
集中治療では“By System”と呼ばれる方法で、患者さんの各臓器を個別に評価 し、全身管理に応用する手法がとられます。その絶妙なバランスを保ち、救命や社会復帰につなげることが集中治療医の役割であり、やりがいの一つでもあります。
しかしながら、私は“By System”の一つである“神経系”の評価に未熟さを感じ、その理由を考えてみました。主な理由は、 専門的知識の不足が原因となり、最適な治療方針の決定ができないことです。
例えば、“脳波判読ができないため、専門家に適切な情報提供ができない”という事例が発生します。 そうすると、鎮静薬の管理も含め、集中治療の観点として、今後どの程度の脳波測定時間が必要かなどの議論が発展しません。これでは、最適の治療方針を選択することができません。
呼吸器系の疾患を考えてみると、肺保護換気戦略・経肺圧の測定と応用、ECMOやEITの使用など集中治療医が得意な分野があります。一方で、間質性肺炎の治療と予後予測のように呼吸器内科の先生の得意分野もあり、相談しながら治療方針を決定できます。
しかしながら、神経に関しては(神経)集中治療に関する内容であっても、集中治療医が一歩引いてしまい、議論に参加できず、専門家に必要以上に依存していることが多いことに疑問を感じました。これでは、お互いの強みを発揮できません。
以上の理由から本プログラムに応募しました。
【研修の実際】
1年目は、神経分野の総合的知識を深めるとともに、全身管理をさらに学ぶことができ、非常に実りがある一年でした。熱心な指導医に恵まれ、実際の患者さんに対する最良の介入方法を学べました。 聖マリアンナ医科大学は、新病院でのNeuro ICUの立ち上げ準備の最中でした。当初はまだ神経集中治療は未開拓でしたが、その半年間の中で、くも膜下出血や脳炎の管理を各科から任せてもらえるようになりました。チームとしてお互い信頼し合うためにすべきことは何かについて学ぶことができました。
また現場の活動以外にも勉強の機会があります。
・Critical Care EEGカンファレンス: 京都大学とのCritical Care EEGのカンファレンスに参加する機会も設けられています。「てんかん」に関連する脳波学をまとめた教科書はありますが、 Critical Care EEGは教科書を含め、学びの機会が少ないです。このカンファレンスは専門的知識を習得する上で非常に貴重な機会です。
・神経集中治療ハンズオンセミナー: 神経集中治療ハンズオンセミナーのインストラクター※を行う機会がありました。教えることから学ぶこともありましたし、神経集中治療をされている全国の先生方との繋がりもでき、とても刺激になりました。(※インストラクター資格基準あり)
【最後に】 初年度が、終わりましたが、とても充実していた聖マリアンナ医科大学での1年間でした。実際の症例の経験(脳波含む)、外科的知識の習得が今後必要と考えています。来年はあさか医療センターでこれらを深めていきたいと思っています。