satoshi自伝第四話「新たな未来への一歩:Never Divided Just Dive初披露編」
第四話 新たな未来への一歩:Never Divided Just Dive初披露編
挑戦の続き
2024年7月19日、Zepp Shinjuku。この日、「Never Divided Just Dive」が初めてファンの前で披露される特別な日を迎えた。しかし、その道のりは決して平坦ではなかった。私が「自己免疫性肝炎」の療養で約半年間バンドを離れていた間、ユナイトの莎奈氏とカメレオのTakeshi氏がサポートドラムとしてDIVを支えてくれた。お二人の力強い演奏があったからこそ、DIVの活動が止まることはなかった。この事実には、今でも深く感謝している。
彼らがそれぞれの個性を存分に発揮しつつDIVを守ってくれたことで、ファンやメンバーに新たな視点がもたらされた。しかし、いよいよ私が復帰すると決まったとき、メンバーから「やっぱりDIVのドラムはsatoshiだ」と言われた。その言葉は、私にとって計り知れない励みとなった。
楽曲に命を吹き込む
リハーサルでは、私の体調を気遣うメンバーやスタッフの優しさに支えられながらも、音楽に妥協することは許されなかった。「Never Divided Just Dive」を完成させるために、全員が限界を超える覚悟で臨んでいた。
特に印象に残っているのは、CHISAがライブに向けたアレンジを提案した場面だ。「この曲には、DIVのすべてを込めよう」という言葉に、メンバー全員の士気がさらに高まった。ギターソロのバックで叩くドラムフレーズも、リハーサル中にさらに進化を遂げ、私のDIVへの想いそのものを形にした。
歓声の中で
Zepp Shinjukuのステージに足を踏み入れた瞬間、観客の期待がひしひしと伝わってきた。この日は、DIVのキャリアにおいて「Zepp」という大きなステージでワンマンライブを行う初めての日でもあった。
しかし、公演を目前に控えた中で将吾が足を骨折し、ステージでは椅子に座ってのパフォーマンスとなった。CHISAは帯状疱疹に苦しみながらも、笑顔でステージに立った。4人とも満身創痍だったが、「この日を成功させる」という強い意志だけでステージに立ち続けた。
ライブ終盤、アンコールの声に応える形で「Never Divided Just Dive」が披露された。会場に張り詰めた「満を辞して」という空気の中、冒頭のメロディーを歌い出したCHISAは感極まり、涙で声を詰まらせた。その瞬間、私は心に誓った。「こんなに素晴らしい楽曲を作ったCHISAを置いていくわけにはいかない」と。
「CHISAのために演奏しなければならない」。その想いだけでドラムスティックを握りしめ、これまでで最高の演奏を目指した。私はこれまで特定の誰かのために演奏をしたことがなかった。それはポリシーでもなんでもなく、そういった感情に出会ったことがなかったからだ。しかし、この日のステージには、新たな感情との出会いが待っていた。
未来への約束
「Never Divided Just Dive」の披露は、DIVとしての挑戦と絆の証そのものだった。私はMCでこう語った。「きっと音楽を構成するだけならば、こんなに複雑で難解なフレーズは必要ないと思います。だけど、このフレーズこそが私とDIVのメンバー、協力してくれるスタッフ、応援してくれているみなさんを繋ぐものだと思います。ここに来ているドラマーに伝えたい。『これがDIVのsatoshiだ』」
ファンの力強い拍手が、その言葉への答えだった。SNSには「satoshiさんの言葉が胸に刺さった」「この曲がDIVそのものを象徴している」といった感想が溢れ、再結成の意義を改めて確認することができた。
その先の未来へ
ライブ後、メンバー4人で「また完全な姿でZepp Shinjukuに帰ってこよう」と言葉を交わした。満身創痍だった私たちにとって、このステージは未来への第一歩だった。再結成、挫折、挑戦、そして新たな楽曲。このすべてを超えた今、私たちは次の目標へと歩み始めている。
「Never Divided Just Dive」は、DIVの物語そのものだ。そして、この楽曲が聴く人一人一人の挑戦の支えとなることを、心から願っている。