退職して思う、日々の彩り
今回は退職した直後を思い出して、いろいろと考えを巡らせてみました。
(今回の「退職」は、34年間の教師生活を終えた58歳の春、を特に指しています。)
身の周りの風景に、色が戻った
まず思ったのは退職して、身の周りに「色」が戻ってきたのです。
どういうことかというと、やっと肩の荷が下りて、いろいろな雑念がなくなり、落ち着いて周囲の景色が見えるようになってきた、ということです。
愛車で走っていても、頭の中は仕事でいっぱいのことが多かったので、まわりの景色は十分に見られてはいなかったようです。
退職して数か月は、
「いつも走っていたこの道には、こんな建物があったのか」とか
「ここにこんな花や木が生えていたんだな」とか、
新しい発見がいろいろあって、
「仕事をしている時には、本当に心の余裕がなかったのだなあ・・」と
しみじみと考えてしまいました。
次に、いろいろな窮地の状態があったことも、全ては過去のことになるんだな!と感じています。
結構な窮地の状態に陥り、『人生詰んだかな』という思いも経験しました。
「もはやこれまで」と追い詰められたことがありました。
それでも今ここに無事に生きて存在している。
心にわずかなトラウマもあるようには感じるが、特にどういうことは無い。
私自身が鈍感なだけかもしれませんが、その時期に感じていた苦しく出口のないような気持ちも、今ではほとんど思い出すことはありません。
自分の知らないうちに、忘却の彼方へと追いやったようです。
この2つの思いを挙げてみたのは、現役で毎日を奮闘している若手、ベテランの先生方、皆さんに伝えたいことがあるからです。
色あざやかな生活
まず、現役でおられる先生方には、「毎日、周りの景色に鮮やかな色がたくさんあるような生活を送ってください。」ということです。
今思い出してみれば、私の性格や特性上、教育委員会職員や管理職だった時期に、余裕のない日々を送っていたようです。
しかし、毎日仕事の優先順位をはっきりと持ち先手先手で仕事をこなしていたら、もっと納得のいく毎日だったかもしれません。
小学校教員で、担任をしながら、教務、研究担当、生徒指導担当などを前向きにこなしていた時期とは、大きな差があります。
自分の力不足や見通しの甘さについて、克服できるように前向きに立ち向かっていけばよかったと後悔もしています。
現役の先生方には、ワークライフ・バランスを大切にして、是非、毎日しっかりと周囲の景色が鮮やかに見える教師生活を送っていただきたいと思います。
全部、過去になる
もう一つは、流れが悪く不調な状態にある先生方に向けてです。
長い教師生活が全て順調であった方を私は存じ上げていません。
誰でも大なり小なり、仕事やプライベート生活の好不調の波に飲まれながら毎日を過ごしているのだと思います。
時には、私も感じていたような「絶不調の波」に飲み込まれてしまう状況で、神に祈るのみ!という苦しい場面に出くわす方もおられると思います。
私が言える唯一つのことは、「どんな状態でも後になったら、思い出の一コマになる。とにかく落ち着いて、良く寝てよく食べて、健康第一で、何とかその時間を耐えて、耐えて、耐えぬいてください。」ということです。
「自分かっこ悪いな。消えたいな!」なんてこともあります。
しかし、とにかくやれることだけやったら時間が過ぎるのを冷静に待つことです。
全てのことは過ぎ去り、過去のことになります。
このことをしっかりと心に言い聞かせてください。
人生の四季
人生好調な時期は、季節で言うと春、夏、秋に当たります。
木に例えれば、芽が出て葉が茂り、花が咲きます。
そして実がなり堪能できる時期があります。
その時には、自分の自信につなげてください。
一方、不調な時期は、木に例えれば冬の時期に当たります。
芽や葉や花や実は落ちてありませんが、しっかりと地面の下には根が大きく深く張っていく時期ともいえます。
この時期は、自分の地力を育てる時期、自分の地力が育つ時期と認識して、日々冷静にすごすことを大切にしてください。
退職した私はそんなことを思いながら、
現役の皆さんにエールを送り続けます。