わが子を信じて、待つ
今回は、
家庭で出来るお子さんたちへの「基本的なスタンス」の取り方について、
考えてみたいと思います。
以前にも述べましたが、全国どの家庭をとってもすべてが同じ条件の家庭は二つとない、ということが前提です。
その前提に立って、「わが子が勉強を好きになり、意欲的に勉強するように育てていきたい。」という親の希望を叶えるための3つの要素を挙げて考えていきます。
家庭が落ち着いた温かい雰囲気であり、家族全員の仲が良いこと
親が勉強をすることを好み、それが子どもにも伝わっていること
親が子どもの頑張る姿を応援する姿勢が子どもに伝わっていること
どうでしょうか?「難しい条件だなあ」と感じられる方も多いのではないか、と思います。
むしろ全てが揃った家庭はほとんどないのでは?と思います。
(1)から(3)の全ての条件が十分ではないが、家族で努力して、いろいろな悪条件のなかでも、何とか子どもが勉強を好きになるように頑張っている家庭がほとんどだとも思っています。
要は、日頃から親と子どもが良くコミュニケーションが取れており、親の考えが子どもに伝わるとともに、子どもの状況や思いを親が的確に理解している状態であれば、全く問題は無いでしょう。
あとは、子どもの頑張りを親としてどう受け止め励ましてあげるか、が大切になります。
具体的には、頑張りの結果がすぐには出なくても、温かいまなざしで見守り長いスパンで考えるという「信じて待つ」姿勢を親が常に持っておく、ということが最も必要なことだと確信しています。
それぞれについて、具体的に考えてみましょう。
1.家庭が落ち着いた温かい雰囲気であり、家族全員の仲が良いこと
さっそくですが、実はこの条件こそが最も難しい条件である、と考えます。
「言うは易く行うは難し」の最も身近な例かもしれません。
ですが、これは「子どもが落ち着いて勉強ができる条件」というだけでなく、「人間として誰もが幸せに暮らす条件」でもあるのです。
別の見方をすれば「家族が仲良く暮らせば、子どもは安心して過ごすことができ、落ち着いて勉強に集中できる」ということでもあるのです。
時期によっては、夫婦喧嘩が多発したり、家族の生活状況が思わしくなくなったりして、子どもに不安定な気持ちを持たせることがあるかもしれません。
しかし家族同士よく話し合い、思いや課題を共有して、状況を改善していくように努力する姿を子どもに見せるのも、ある意味大切なことです。
常に状況を的確に受け止め、よりよい状態にしていくことに注力していきましょう。
2.親が勉強をすることを好み、それが子どもにも伝わっていること
これもなかなか「言うは易く行うは難し」でしょうか?
あまり深く考えずに、親自身がかつて得意だった分野や、現在仕事で取り組んでいる分野についての本を買って読んでみるのもいいでしょう。
得意な分野の実演を子どもの前で披露してみたり、話題のテーマをパソコンやスマホで検索・勉強するのもいいと思います。
そして、少し意図的にその勉強する姿を子どもにさりげなく見せたりして「お父さん、お母さんも大人になっても勉強するんだね!」と思わせることができたら、Good!です。
大切なことは、「子どもに親の勉強好きが伝わるか?」どうかです。
親は勉強しないのに、または勉強が好きではないのに、子どもには勉強が好きになってもらいたい、というのは少し無理があるかもしれません。
また、親が勉強の面白さを知っており現在も続けて学ぶ姿を子どもが見れば、親の言うことはなかなか聞けなくても、自然と勉強することに対してはハードルが低くなる、ということが期待できます。
「親が勉強好き」にトライしてみれば、自分も子どもも未来に向けて良いことだらけだな、と思います。
3.子どもの頑張る姿を応援する親の姿勢が子どもに伝わっていること
このことは、内容についてよく考えておくべきことです。
それは、応援の仕方を間違えると、子どもを勉強嫌いにしてしまうか、もっと言えば思春期に激しく親に反抗する子どもにしてしまうか、などのリスクが生まれてしまうからです。
親が子供に対して毎日のように「もう宿題は済ませているのか?」とか、「先生の話をしっかり聞いているのか?」とかしつこく聞いたり、「テストでこんな点を取っていたら駄目じゃあないか」とか叱責をしたりしてしまえば、応援どころか子どもを追い込んでしまうことになり、勉強好きの子になる、どころではなくなってきます。
「親が我が子の勉強を応援するということ」、そのものの中身を十分に分かっておくことが大切です。
今回の記事の書き始めで
『子どもの頑張りを親としてどう受け止め励ましてあげるか、が大切になります。具体的には、頑張りの結果がすぐには出なくても温かいまなざしで見守り、長いスパンで考えるという「信じて待つ」姿勢を親が常に持っておく、ということが最も必要なことだと確信しています。』と述べました。
(ここが最も大切なのでもう一度書きました。)
我が子だけでなく、周囲の子、いや全国の子全員が毎日勉強を積み重ねています。
子どもの学力向上のために、塾に通わせたり家庭教師を付けたりする家庭もあります。
また学年が進むにつれて、学習内容も難易度が増していきます。
なかには努力しても努力しても、なかなか目に見えて成績が向上しない子どもが出てきます。
それどころか努力しているのに成績が下がっていく子どもも出てきます。
そのような状況でも、いや、どのような状況でも我が子を信じて「大丈夫だよ!」とか「頑張っていることは必ず身についているよ」とかの心からの言葉と温かい表情で応援してあげてください。
長いスパンでみれば、頑張ったことは必ず身につきます。
それ以上に親の態度や言葉は、学習成績だけでなく、子どもが親を信頼してくれる、という成績よりももっと大事な結果につながります。
4.まとめ
今回の「家庭で出来る基本的なスタンス」のまとめとしては、
温かく落ち着いた雰囲気の家庭で、親自身が楽しんで勉強している姿を子どもが見て、「勉強って楽しいんだな!」という気持ちをもてるようにする。
そして、結果にこだわらず子どもが安心して楽しんで学習に取り組む
日々を淡々と積み上げることができるよう、親が静かに応援する
ということだろうと思います。
今回書いたことがどの家庭でも一朝一夕にできるなどとは考えていません。でも、目指す方向の一つの形、姿の提案として考えてくださればありがたいです。