見出し画像

クラシック音楽 名盤探訪3

ディヌ リパッティ プレイズ  グリーグ、シューマン ピアノ協奏曲

 リパッティはあまり知られてはいない人だが、評価としては20世紀のベスト10に入る大ピアニストである。1917年、ルーマニアのブカレストで生まれた。笑う前にピアノを覚えたという伝説を持つ。パリパリッとした活きの良さとドライな爽快感がすばらしい。ロマンティックな抒情に溺れない強さとスリムさが特徴。また、神の霊性を持つピアニストであり、その音楽性は類まれなるもとなっている。加えて極端な完璧主義だった。ポリーニやプレトニョフも完璧主義者だ。普通日常は完璧主義は病気にかかりやすくてお勧めできないが、やはりピアノの巨匠もここまでくるとそうも言ってられなくなるようだ。しかし、白血病にかかり34歳で早世した。早すぎる死であった。 
 私はナクソスでリパッティの肉声を聞いたことがある。意外と低い声だった。

そんな彼が、グリーグのピアノ協奏曲を弾いている。なんとも力強い演奏だ。カデンツァで奏でられるところは、ものすごく男性的である。桜色のピアノの音がなんとも心地よい。残念ながらモノラル録音なのが惜しい。もしこれがステレオ録音だったら、リパッティの名声は今よりもさらに輝いているだろう。

次に弾いているのは、シューマンのピアノ協奏曲 イ短調である。グリーグは、シューマンのピアノ協奏曲を見本にして自作のピアノ協奏曲を作曲した。調性も同じ、イ短調である。ここで驚くのは、あの世紀の名指揮者、カラヤンが指揮をしていることだ。カラヤンはあらゆる名ピアニストと共演をした。カラヤンは息をひきとる前に彼らの思い出に浸っていたであろう。

グリーグ
ピアノ協奏曲 イ短調  
指揮 アルチェオ・ガリエラ
フィルハーモニア管弦楽団
録音時 1947年

シューマン
ピアノ協奏曲 イ短調
指揮 ヘルベルト・フォン・カラヤン
フィルハーモニー管弦楽団
録音時 1948年

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?