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仕事、生活、未来の社会。テクノロジーによる破壊と創造。読書感想メモ
原題の「AUGMENTED」(拡張)というキーワードによって過去、そして未来の世界について語られていきます。著者の携わっている金融テクノロジー分野の専門書と思いきや、人、社会、都市にかかわるテクノロジー全般についてわかりやすく説明されています。「未来はこうなりそうだ」というより「未来はこうなる」という内容で、来たるべき世界の様子について具体的に書かれてあります。
・この本を手にとった理由
これまで思考停止で会社で働いてきましたが、気がつけば自分の関わる業界以外への関心が薄くなっていました。芸能ニュースにはなんとなく通じていても、世の中がどんなスピードで、どう変化していて、これからどうなっていくのかについては、ほとんど知りませんでした。例えるなら竜宮城で過ごす浦島太郎状態といえます。
しかし、我に返り玉手箱を開けた以上、現実社会の変化をきちんと認識し、受け入れて行かなくてはなりません。そんな「サラリーマン・浦島太郎」にとっては必読の本であると直感し、手に取りました。
時代の変化が加速していることは、なんとなく感じていました。浦島太郎の私が、現代社会をしなやかに生きていくために選んだ一冊です。
・おすすめ
・サラリーマン・浦島太郎
・「デジタル世代」以外の人
・最近なんだかテクノロジーを身近に感じる
・社会変化の速度を感じたい
こんな人におすすめです。ボリュームのある本ですが、理論や考えというより、具体的な技術と、それが生活にどう変化を及ぼすかの説明なので、難しくはないと思います。未来への視野が広がります。
・著者について
著者のブレッド・キング氏について私も知らなかったので、簡単にまとめてみます。「テクノロジー・フューチャリスト」と紹介されていて、金融テクノロジーのアナリスト的な人です。起業家でもあります。ムーブンという会社の創立者で、この会社は簡単にいうと、銀行免許をもたずスマホアプリで銀行サービスを提供する企業です。
40を超える国で、50万人にテクノロジーが社会に与える影響について講演を行っていて、ホワイトハウスで国家経済委員会に助言するくらいの有識者です。金融サービスにおける世界1位のインフルエンサーと言われている人物でもあります。
世界には貨幣経済の中で暮らしていながら、銀行口座を持っていない人がたくさんいます。その全員が口座を持つためにはどうしたらいいかを考え、実際に解決していっているすごい人です。彼がどんな未来を見ているか気になりませんか?
・あらためて、本の内容
来たるべき世界の様子や、現在の最先端の技術について解説されています。テクノロジーがいかに人の生活を変えるか、またデジタル世代にとってはどう当たり前になっていくのか、さまざまな分野について述べられています。
また、こうした社会の変化について、過去の技術革新で起きたこととの類似点や相違点について、例をあげて説明しています。
冒頭では架空のキャラクターが登場し、SF小説の書き出しかと思わせる、未来(といっても数年~十数年後)の生活スタイル描かれています。想像をかきたてられ、一気に本文に引き込まれていきます。
読み進めていくと、近未来のテクノロジー・生活スタイル・都市生活・ヘルスケアなどについて具体的な様子が見えてきます。社会問題についても決して悲観的ではなく、希望に満ちた未来世界が語られています。
・まとめ、感想
過去から現在の変化をふり返り、目前に迫ってきている驚くべき未来について知ることができました。まるでSF小説を読んでいるような錯覚に陥ります。誇張どころか、むしろ現実は想像を超えてくるであろうと、予感すら覚えました。テクノロジーの可能性だけでなく、かつてない社会変化のスピードを感じとることができました。
・私達は現在1日に米国国会図書館の8500倍のデータを生み出している
・2030年代にはロボットの数が人口を上回る
・自動運転の車が銀行口座を保有する
・コンピューターが姿を消す
・自己定量化から自己活性化による、健康、寿命の延長
最後に上記のキーワード、どゆこと?と関心を持ったのならぜひ読むことをおすすめします。絶対人に話したくなりますよ!
「拡張の世紀」(AUGMENTED)
(ブレッド・キング著、東洋経済新報社、2018)を読んで