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バッタを倒しにアフリカへ。ばったばったと、バッタを・・・感想メモ
「バッタを倒しにアフリカへ」(前野・ウルド・浩太郎著、光文社新書)
おすすめで見かけて、直感的に選んだ一冊です。かっぱえび○ん的なおもしろさでした。
■ 感想です
本は読者に旅をさせてくれるといいますが、この本は読み手を西アフリカの砂漠へと連れて行ってくれます。照りつける太陽や、砂の混じった食事まで、書斎に居ながらにしてそれらを体験することができます。
言葉や文化の違い、環境の厳しさなど、現地での生活は書かれている以上に大変だったと思います。しかし、本の中で事件やトラブルが起きるたびに、ワクワクすることになります。申し訳ないと思いつつも、楽しみながら読んでしまいました。
バッタの柵が砂漠という環境のため、使う前にダメになってしまいます。種類のわからないサソリに刺され、命の危険に瀕するというエピソードも出てきます。しかし、そういった砂漠でのアクシデントや、トラブルはすべて、面白い冒険譚へと変わります。著者の前向でユーモアな語り口は、読み手を楽しく、夢中にさせてくれます。
■ あらすじです
昆虫学者の著者は、西アフリカの砂漠の国に降り立ちます。彼の赴任先は、モーリタニアの国立サバクトビバッタ研究所。
その厳しい環境下でのフィールドワークの記録が軽快に綴られていきます。砂漠での研究はどうなるのか、サバクトビバッタと遭遇できるのか、論文は書けるのか。昆虫や動物達との出会い、現地の人々との暮らし。意外で楽しいエピソードも交えながら、生き生きと語られる研究日誌。
あとは読んでのお楽しみです。
■ サバクトビバッタです
アフリカにおける、サバクトビバッタの被害は深刻です。大発生時の被害は総額25億ドルにも及んだそうです。
じつはその生態も、よく知られていないのです。厳しい環境のため、調査も進みません。習性もよくわからないため、広大なエリアでの発見も難しいとされています。肉眼での目撃情報と、殺虫剤の散布程度の対策しか取れていないそうです。
■ 一番驚いたのは…
一番驚いたことは、表紙の写真です。
読み終わるまで、本の表紙はイラストだと思っていました。
なんと作者本人の写真でした!(そこかよ)
著者は、研究者と言う枠には到底収まらない人物のようです。彼は国境だけでなく、施設・仕事などいろいろな垣根を飛び越え活動をしています。
アフリカでの様子からもわかるように、フィールドワークの鉄人のような人物です。
しかし、僕がこの本に出合えたのも、自由で素晴らしい活動のおかげです。昆虫が苦手というのでなければ、ぜひこの本を開いてモーリタニアの砂漠を旅してみてはいかがでしょうか。