お花はじめ

初めて花をもらったのはいつだったのか。
幼い頃ピアノを習っていた。あの頃の発表会だろうか。
申し訳ないことに、あまり記憶がない。

初めて花を飾った日のことは覚えていたい。
早めのクリスマスデートでキャンドルホルダーを作った。アジサイやオレンジの乾燥したのを入れて、ジェルでかためて。

帰りに、プランの1つとしてドライフラワーの花束がもらえた。決めきれなくて、ソリダスターというお花を入れて、白ベースにピンクを足してくださいとお願いした。

「ソリダスターは黄色のお花ですけど、大丈夫ですか？」

店員さんにそう告げられてうろたえる。
私には白に見えていたのだ。

「ほら」

とやさしい店員さんは入り口の光にかざして見せてくれた。

確かに黄色である。

「白ですとかすみ草とか…」

と提案してもらったが、私はこのソリダスターが気に入ってしまった。ソリダスターを使ってもらうことを優先して、あとはお任せにした。

そうしてやってきたのが人生で初めて飾ることになる花束である。ソリダスターでボリュームアップされた中に白とピンクがあってかわいらしい。

残念なことに、うっかりものの私は他のお花の名前を聞き忘れてしまった。次回以降はきちんと聞いて、ひとつずつ花の名前を覚えたい。

家に帰ったらさっそく手持ちのマスキングテープで貼ってみた。記念に写真も撮る。

すると…

落ちた。

写真を撮った瞬間に。

私が持っていたほそーいテープでは花束を支えきれないらしい。やはり画鋲か…。

2日後、必死になって探した賃貸の壁にも使えそうな画鋲が届いた。
こうして私はようやく満足に花束を飾ることができ、お花生活をはじめたのである。