2週間前オファーを受けた男【第27回全日本アマチュア修斗選手権大会LIVE配信】
「人はそれを情熱と呼ぶ」
このキャッチフレーズを覚えている人は、相当なアマチュア修斗ファンの方だろう。私がアマチュア修斗に出ていたのはもう10年以上前の事。
このnoteは、第15回、16回、17回大会に出場した私が、再び全日本アマ修の聖地・小田原アリーナにカムバックしたお話。
突然のオファー
それは、突然の事だった。
私が修斗で2度対戦し、2度引き分けているHAGANEジム代表の金物屋の秀選手
の、お兄さんで修斗のカメラマンもされている一成さんからDMが来たのだった。
その内容はというと、2週間後の2021年10月17日の全日本アマ修の配信をする人がいなくて困っているというものだった。
第27回全日本アマチュア修斗選手権大会の行われる10月17日は、何を隠そう私の最愛の娘「光」の誕生日。
木暮:「ちょ、ちょーーーっと確認させてください・・・。」
と、その場ではすぐに返事が出来ず、まずは家庭内予選を勝ち上がらなければならない事になった。
全日本アマ修が全国の地区予選を勝たないと出場できないように、私もまずは家庭内予選を勝ち上がらなければならないのです。
もしその予選をクリアできなければ、今年の全日本アマ修のLIVE配信は無し・・・。それだけは避けたい。
でも、娘の誕生日ももちろん最優先だ。
過酷な家庭内予選
私の娘への溺愛ぶりも相当だが、妻の溺愛ぶりも相当なものがある。
娘の誕生日会は、ケーキ、衣装、装飾品、会場、プレゼント、その全てを完璧に揃えて準備万端だった。
そんな妻に、あなただったらどう切り出しますか・・・?
ここに詳細を書くと、それがまた夫婦喧嘩の種になるかもしれないので割愛させて頂いて、、、
大バトルの末、前日の10月16日に多くの任務を承る事で、10月17日の第27回全日本アマチュア修斗選手権大会LIVE配信の権利を勝ち取ったのである。
決して娘の誕生日よりも全日本アマ修を取ったというわけでもなく、そのどちらをも両立するという形で勝ち得た勝利と考えてる。
まさかの緊急事態 【ネット環境が無い!】
「全日本アマ修の配信、お引き受けさせて頂こうと思います。」
そう返事を送ったのが、大会13日前の事。
やると決めたらすぐに動き出さなければ準備が間に合わない。
LIVE配信では回線速度が命なので、事前に小田原アリーナの窓口に電話してネット回線の速度を問い合わせた。
担当者:「小田原アリーナにはネット環境が一切無いんです・・・」
木暮:「ふぁ!?」
その時は一瞬にして背筋が凍った。
ネット環境が無い場所でのLIVE配信は、ケースとしてはまぁまぁある事ではある。
だがその場合、回線業者を発注して回線を引かなければならない。
格闘技関係者の皆様には声を大にして伝えておきたいのだが、回線業者を入れるなら1ヵ月前がデッドラインです。大会まで1ヵ月を切ると、請け負ってくれる業者がガクッと減り、回線をひく費用も格段に上がります。
つまりこの段階で、結構な窮地に立たされているわけです・・・。
実際の試合でも、2週間前にオファーがあったら体重を落とせない、コンディションが整わないという理由でオファーを断る選手も多いでしょう。
それと同じです。
でも、それが自分にとってまたとないチャンスのオファーだったら、多少のコンディションの悪さでもオファーを受けますよね。そういう事なんです。
私にとって、全日本アマチュア修斗選手権大会のLIVE配信というのは、またとないチャンスで、これを成功させたら相当な実績になると考えたのです。
「環境がないから断る」という選択肢はありませんでした。
環境が無ければ、作ろう。
ネット回線が無い、回線業者を呼ぶ程の資金力がない、そういう理由でLIVE配信を諦めていた競技や組織にも、これは一筋の光となり得るのではないだろうか。そういう想いもあった。
テストと改善の日々
そこからは時間との勝負。
回線業者を探すよりも前に、予算の関係もある。今回のアマ修では回線業者を呼ぶ予算も元々組み込まれていなかったので、そもそも回線業者を呼ぶ事もできない。
仕方ないので、自前の楽天回線で自宅からテスト・・・。
もはや人の顔も判別できない程の画質、そしてコマ落ち、カクカク、断線、等・・・。散々なものだった。
そんな試行の日々が続き出た結論は、LIVE配信用モバイルルーターのレンタルという結論だった・・・。
LIVE配信用と言っても、登りが無制限なだけで特別なルーターというわけではない。
本来であれば、複数のモバイル回線を束ねて、強固な1個の回線として使えるように特別な機器を用いてマルチリンクという方法と取らなければならないだが、そういった機器はレンタルだけでも高額だし予算的にも当然無理だった。
さらに言えば、通常のマルチシム対応で複数の回線を切り替えて使えるルーターもある。これも、通常のルーターよりも少し値が張る商品だ。
とはいえ、au回線の調子が悪ければdocomoの回線を、docomoの回線が悪ければsoftbank回線を、というようにリスクヘッジできるのがマルチシムの長所。
今回はそれも借りられず、予算内で借りれたのはdocomo回線のモバイルルーター。
この選択が、後に全日本アマチュア修斗選手権大会のLIVE配信を脅かす選択になろうとは、この時は誰も考えもしなかった・・・。
「出来る限りでいいですよ」の言葉に火が点いた
大会委員長のルミナさんに事情を説明すると、
「手持ちのカードでできる限りで構わない。配信が止まっても、画質が乱れても、とにかくできる限り頑張ってくれればそれでOKです。」
と、大変寛大なお言葉を頂きました。
普段の自分だったら、(良かったぁ~気が楽だ~)と思ったかもしれない。
でもこの時思ったのは、
絶対にみんなをびっくりさせる!!!!!!
という熱い想いだった。逆境魂みたいなものかもしれない。
むしろ、業務で配信を請け負っておきながら、「出来なければそれはそれで構わない」なんて、そんな機会はそうそう無い。
私の全力を見せるチャンスだと思った。
今年の全日本アマ修はコロナの影響で2年振りの開催、そして無観客試合。
私の親は格闘技に大反対で、ずっと興味を持ってくれなかった。
だけど全日本アマ修の時だけは試合を見に来てくれた。
2回目の全日本で負けてしまった時、一番格闘技に反対だった父親が一緒になって泣いてくれた。
あの時の事は一生忘れない。
3回目の全日本でプロ昇格となり、プロとなった後は、父は私をようやく一人の格闘家として認めてくれたように思う。
そういう出来事の一つ一つが、今出場している選手にもあったかもしれない。でもそれが、無観客だと無くなってしまう。
応援してくれる誰かと、喜びや悲しみを分かち合う事も。
誰かの声援を受けながら闘う事も・・・叶わない。
無観客だから仕方ない事なのかもしれない。
でも、命をかけて戦う姿は、絶対に誰かに届くべきものであると思う。
アマチュアだプロだという人もいるけれど、アマもプロも等しく命をかけて闘っている事に違いはない。
そこにある熱量は、変わらないのです。
選手を応援してくれている方々に、その勇姿をせめて画面越しにでも届けたい。そう強く思った。
自分との闘い
そうは言っても、綺麗事だけでは嫁と子供を食わせていけません。
アマ修の仕事だけをしているわけにもいかないわけで・・・。
普段の仕事も、既に引き受けている別の興行も、映像制作も、指導も、どれ一つだって疎かにはしたくないし、少しでも手を抜いてしまったら負けのような気がするのです。
アマチュア格闘技の配信というと、誰しもがワンカメのノーテロップを予想していたと思う。もちろん、それでも最低限届く事に意味があるのは間違いない。
でもだからこそ、みんなの度肝を抜くようなクオリティーで届けたいと思った。
アマ修はみんなヘッドガードをつけてるし、パッと見、誰と闘っているかは本当に分かりづらい・・・。
今何回戦をやってるの?何級なの?試合時間は?
と、分かりにくい事を一つ一つピックアップして出た結論は、
全56試合。
オールテロップ。
勝手に自分の中で決めてしまった。
やると決めたからにはやる!
昼間は電子カルテの会社でフルタイムで働き、夜は格闘技の指導をしている私は、必然的に映像や配信の仕事ができるのが午前0時を過ぎてからになってしまう。
夜な夜なテロップを作る毎日。
あーだこーだ考えながら、カメラの位置と選手の立ち位置、赤と青の向きも揃えてテロップを作る。
気付くと夜が明けている事もザラだった。
そういう時は、出場する選手はお腹を空かせながら練習に励んでいるんだろうな・・・なんて思いながら、自分がアマ修出てた頃を思い出す。
すると、またどことなく頑張る気力が湧いてくるような気がした。
突如訪れた大ピンチ!!!頼みの綱がまさかの・・
全日本アマチュア修斗選手権大会3日前の10月14日。
衝撃的なニュースが飛び込んできた
ドコモの音声通話・データ通信サービスがご利用しづらい事象が発生
まだ記憶に新しい人も多いかもしれない。
よりにもよって、なんでDocomoなんだよ・・・。そう思わずにはいられない大惨事だった。(レンタルしたモバイルルーターがDocomo回線)
一般的には、マルチシムはこういう時の為にリスクヘッジとして優秀とされているが、私はそうは思わない。
実はマルチシムルーターは回線を固定する事が出来ない機種が多く、その時々で最適な回線に自動で切り替えてしまう。故に、LIVE配信のように絶え間なく通信を行うような作業では頻繁に断線が発生し、滑らかな配信にならないのである。
私的にマルチシムルーターを配信で使った事もあったが、散々なものだった経験がある。そんなこんながあったからこそ、Docomo単体のルーターをチョイスしたわけだが、よりにもよって大会直前に不具合・・・。
大会当日までに復旧しなければ、当然LIVE配信も安定しないという事になる。
肝を冷やす時間が続いたが、何とか翌日10月15日の夕方には復旧。
大会前日の10月16日の夜には、レンタルしたモバイルルーターでの配信テストも行う事ができ、全く問題ない事が確認できた。
RIZINでのLIVE配信事故も去る事ながら、LIVE配信が正常にできなくなる理由はそこらじゅうにあるのです。
いうなれば、LIVE配信とは生放送。
映像の最大手である民法テレビ局でさえ、生放送で放送事故を過去に何度も起こしているわけで。
LIVE配信だってそれと同じなわけですから、針に糸を通すような事を毎回やっているわけです。
どうあがいても、不可避な不具合もある。
今回のこのDocomoの不具合だって、大会当日に起こっていたらパニックだったろう。
それでも、現場で何かしらの方法を考えてLIVE配信はやっていたと思います。今までも、そういうトラブルを全て対処して配信してきたのだから。
会場に着いたらネット回線が死んでた沖縄修斗vol.3に比べれば、まぁどんなトラブルも可愛く思えてくるというものです(笑)
(沖縄修斗vol.3は、2時間かけてネット回線を復旧させた)
そういう経験の一つ一つが、私の現場力を鍛え上げてくれたのは言うまでもない。
スペシャルサプライズ「オープニング映像」
さて、色々な問題が浮かび上がっては解決し、また浮かび上がっては解決。
そんなプロセスを繰り返しながら、ある想いが私の中に沸き上がった。
(アマチュア大会の配信で、オープニング映像まであったらどれだけ盛り上がるだろう・・)
そんな事をぼんやりと考えてしまったら、もう手が止まらなかった。
オープニング映像の事は荒木さんにも岡田さんにも隠していたのだけど、前日の夜から急遽、各地方大会の映像を見直して大会のハイライトを作り始めたのだった。
当日、小田原アリーナのインサートと、松根先生、ルミナさんのインタビューをいれたら完成!の状態まで仕上がったのが、大会当日10月17日の朝4:30の事だった。
そこから1時間だけ仮眠をとって、決戦の地へと向かう。
実は大会が終わるまで、私のがこの大会に関わる事は伏せていました。LIVE配信をやる事ですら大会数日前の発表でしたので、特にSNSで宣言するわけでもなく、一人ひっそりと小田原アリーナへと向かう事にしたのです。
さぁ、行こうじゃないか。
いざ決戦の地「小田原アリーナ」へ
岡田さん兄弟と共に小田原アリーナへ
小田原アリーナへ向かう途中駅から、岡田さん兄弟が送迎をしてくださいました。
数年前、僕らはガチンコで殴り合っていたのにね(笑)
同い年で2回闘って2回とも引き分け、プロに昇格した日も一緒。同じ神奈川県に住み、年が同じくらいの娘がいる。本当に不思議な巡りあわせだと思う。
昔話に花を咲かせながらも、向かうは小田原アリーナ。
途中に川を渡って、あーーーーこの川この川、懐かしーーー
負けた時この川見ながら泣いたなぁなんて思いながら、小田原アリーナに到着。
懐かし過ぎて、涙が出そうになる。
感傷的な時間もそこそこに、松根先生とルミナさんのインタビューをその場ですぐに撮影させて頂き、早速配信の準備に取り掛かる。この時、時間にして8時30分。試合開始まで、あと2時間30分を切っていた。
これがLIVE配信の魔の手。当日トラブル。
まず一番最初にカメラとの接続テストを行った・・・。
カメラチームと配信チームは当日初めて顔を合わせるので、接続テストもこの時が初。理想は事前に接続テストができればいいが、チームそれぞれが離れた場所に住んでいる為、当日まで実際のカメラとテストができないというのはよくある話だ。
そして今回は、映像の走査線に合わせて横方向にノイズが走るという不可解な現象が起こっていた。
どんなに設定を変えてもダメ・・・
何をやってもダメ。。。
どうしても横方向に大きなノイズが走り、とても試合映像どころの話じゃない。
本当に絶望の淵に立たされたような気持ちだった。
結局、このトラブルの対応に2時間半すべての時間を費やした。
もうオープニング映像を完成させるどころの話ではない。
「もうこれで行きましょう!!」と腹をくくったのが試合開始の5分前。
更にこの時、カメラから音も来てない事もすっかり忘れており、何かあった時用にと保険で持ってきていたコンデンサーマイクをケージ袖にダッシュで設置。
この時、試合開始の1分前。
汗だくになりながら、配信ブースの席に座った。
カーンカーンカーン
アマ修の大会が始まる前の音。
私の、4回目の全日本アマチュア修斗選手権大会が始まった。
オペレーションの嵐 トラブル対応に奔走した6時間
第27回全日本アマチュア修斗選手権大会
実際の配信結果↓
https://youtu.be/yRCDlXboJhw
試合が始まると、すぐにオペレーションの嵐
私がやるオペレーションは主に以下の通り。
1)対戦カードの表示、および、対戦カードの非表示
(この時、右上のアマチュア修斗のロゴと重複してうるさくならないように、自動で右上のロゴは非表示にするようにシステムを組んだ。カード画像を非表示にすると、今度は右上のロゴが自動で表示される)
2)試合開始と共に、PC内のタイマー(Windowsアプリ)で計測を開始
3)試合中のテロップを表示
4)カメラのスイッチング
5)試合時間残り10秒になった時点で、試合中テロップの非表示。タイマーのリセット。
6)勝利者を聞き取り、勝利者のテロップを表示
7)カメラを引きの画にスイッチング (カメラマンが手を休めたり、カメラを持ち直したりできる時間の為)
8)勝利者を手元のトーナメント表に記録し、次の試合のテロップに反映
9)画面右上の「〇〇級〇回戦」のテロップ内容を変更
10)次の試合が始まるまでに、次の試合の対戦カードテロップ、および、試合中のテロップの選手名を変更
これを、56試合。
途中トイレ休憩を挟みつつも、6時間もの長丁場だった。
休憩時間には、カメラのリハーサルもやっていたので、ほぼほぼ休憩という時間もなかったように思う。
映像班全員が、使命感を持って取り組んでいた。
あの時、いわゆるゾーンに入ったような、そんな感じだった。
ほぼほぼ記憶がない。
とにかく、ただただ目の前のやるべき事をやったようなそんな感覚。
駆け抜けるように終わった、4度目の全日本アマ修
私にとっては、選手としてでもなく、指導者としてでもなく、映像班として迎えた4度目の全日本アマ修。
途中タイマーが正しく配信ソフトに反映されなかったり、選手名のテキストが読み取られなかったりして、そういった不具合が心に残り、ショボくれていた。
やっぱり今回も失敗があった・・・。
辛い・・・情けない・・・申し訳ない・・・。
そんな気持ちでいっぱいだった。
配信が完璧に終わった事なんて1度もない。
それがミスと気づかれるようなレベルのものかどうかはさておき、自分が想定していた通りに動作しない事が、毎回必ず発生する。
完璧を求めるにはそんなレベルではない事は重々承知だが、それでも、ミスは心にずーーっと引っかかってしまう。
辛い減量に耐え、激しいトレーニングを積んでこの日を迎えた気持ちが痛いくらいに分かるから、細かなミスでも本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになる・・・。
もっと出来たはず・・・と、いつも悔しくなる。
救われる思い
片付けが落ち着いた頃、ようやくTwitterを開く事ができた。
LIVE配信上のコメントは無効にしていたので、リアルな視聴者の声が聴けなかった自分としては、見ていた人の評価が本当に気になった。思わず、「アマ修」や「アマチュア修斗」単語で検索をかける。
選手名が表示されてない部分があったとか、音が悪かったとか、スイッチングが悪かったとか書かれてないかな・・・
叩かれてたどうしよう・・・
そんな不安でいっぱいだった。
でも読み進んでいくと、自分の思いとは裏腹に、好意的な意見を多く頂いていた。
特に全選手分のテロップがあった事に皆さん驚いてくださっていて、タイマーがあり、スイッチングがあり、勝利者テロップもあると。
自分が一番時間をかけて用意したものが、見る人にはしっかりと伝わっていた。
その時、胸の奥が思わず熱くなって、目頭が熱くなった。
睡眠負債も溜まりにたまった今、脳なんてとっくに働いていないはずなのに、Twitterを読み進める手が止まらなかった。
ただただ、
ありがたい・・・
そう深く、しみじみと思いながら、頂いた全てのコメントに目を通した。
全日本アマ修への恩返し
実は私が配信を始めたきっかけは、全日本アマ修だったのです。
何のこっちゃ意味不明かもしれませんが、そのきっかけを紐解くとこうです。
その昔、全日本アマ修がAbema Fresh!という聞きなれない配信プラットフォームで配信をしていた時期があるのをご存知の方はいるだろうか。(現在ではこのプラットフォームは消滅して無くなってしまっています)
何気なくその情報を掴んだ私は、ネットのLIVE配信ってどんな感じなのかなと興味を持って見てみたのだった。
その時、チャンネルを横にスワイプしていると、個人でゲーム配信をやっている人がたくさん居た。
(え・・・こんな自由に個人で配信できるの・・・?)
と、衝撃が走りました。
私が学生の頃流行っていたLIVE配信なんて、ただパソコンにマイクとWEBカメラをつけて誰かがくっちゃべってるだけの配信で、PCの画面を写したり、ゲーム画面を写したり、そんな事はできなかったはず。(できたとしても、かなり大変だったはず)
それが個人レベルでこんなに簡単に、そして自由にできる時代になっているなんて・・・と衝撃を受けたのです。
そのままの流れで、私自身もFresh!に登録。
配信ソフトの使い方を一から勉強し、当時大好きだったDead by Daylightというゲームのゲーム配信を始めたのだった。
すぐにFresh!の配信者ランキングにも名前が載るようになり、上位配信者は本社に呼ばれたりして、自分も呼んで頂いたりしていた。
そしてFresh!で知り合ったゲーム配信者の仲間達とは、Fresh!が消滅した後もずっと親交が続いている。数少ない私のLIVE配信仲間である。
彼らと常に情報交換し、LIVE配信での収益方法や取り組み等について話しては、一緒に遊びながら今もたまにLIVE配信をコラボしたりもする。
LIVE配信を始めた当初はAbemaTVとFresh!が同じチャンネルスワイプの並びにあり、格闘技配信を見ながら横にスワイプしたら急に木暮がゲーム配信をしている、なんて事もあって、とても奇妙な光景になっていたのです(笑)
ZSTの清水さんから「木暮さん・・・もしかしてゲーム配信とかやってます?この前AbemaTV見てたら急に木暮さんにそっくりな人が配信やってるの見たんですけど・・・」
「あ・・・それ自分ですね・・・なんかすいません・・・(笑)」みたいな事もありました(笑)
アマ修チャンネルの登録者数もあっという間に追い抜いてしまい、どっぷりとLIVE配信の世界へと足を踏み入れた自分。
いつからかゲーム配信自体でもお金を頂けるようになり、ゲームをする事が、LIVE配信をする事が、仕事の一部になった。
そういう経緯があって、松根先生が「木暮って格闘技の配信もできるの!?」と声をかけてくださり、沖縄修斗vol.2の配信を行った事が私の格闘技配信人生の始まりとなりました。
まさかその数年後。
私自身が全日本アマ修の配信を担当する事になろうとは思いもしませんでしたが・・・。(汗
闘いを終えて
私にとっての4度目の全日本アマ修は久し振り過ぎるカムバックで、同時に、私をLIVE配信の世界へといざなってくれたアマ修へ感謝の意味を込めた配信だったのです。
だからこそ、妥協はできなかった。
嵐のような日々だったが、世間一般的には、なんて事はないただの1日。
でもそれが、私にとっての、誰かにとっての、大切な1日だったのかもしれない。
私が父親と、仲間と、悲しみを分かち合って泣いたり
プロ昇格を決め、仲間と喜びを分かちあったりさせてもらったように
そんなドラマが、たとえLIVE配信の画面を通してだったとしても、誰かの人生に一つでもあったのなら。
それだけで私は幸せです。
このnoteのタイトルに話は遡るが、これは、全日本アマチュア修斗の委員長を前任していた若林太郎さんのブログ「当日オファーを受けた男」のオマージュです。
当時パレストラ仙台所属だった早坂俊明選手が、夜勤明けでネットカフェにいる時に試合のオファーを受けたそうな。
予定していた選手の怪我だったか、計量失格だったかは分からないが、とにかく、当日オファーを快諾。
東北から北海道に当日入りして、試合をして、そして見事1R勝利。
まさに伝説の男である。
若林さんはそのブログで、こう締めくくっていた。
「すごい話ではあるが、これを美談にしてはいけない。」
そう。今回の全日本アマ修も、決して美談にしてはいけないと思う。
色々な事情があったにしろ、もっと準備の時間が欲しかったし、満足な配信環境を用意する為の予算すら無かった。
この絶望的な、誰しもが匙を投げるかもしれないその状況で、
一筋の光を掴むような、そんな仕事だった。
結果、配信出来たから良かったものの・・・。
このままの状況が続くようでは、きっと来年は出来ない。
私も、出来ないものは出来ないとハッキリ言うつもりだ。
来年以降もLIVE配信をしていく為には、もっと準備を練って、もっと方法を考えなければいけない。そこはどうにか、交渉していく。
ともあれ、結果的に振り返ってみると
絶望的な環境の中で、これだけの配信ができた事は格闘技業界にとっては大変意味のあるモデルケースとなったと思う。
私は個人で配信業をやっている手前、相場の1/10程度の価格で配信を行っている。(いや、もっとかも)
でもクオリティーは1/10じゃない。
そこは絶対に断言できる。
大手配信業者には逆立ちしたって勝てるわけがない。
機材が違う、人数が違う、技量が違う。
そんな事は分かってる。
でも、彼らの配信に1歩でも近づき、そしていつか越したいとすら思っている。
大手業者に依頼する程の予算はない、でもLIVE配信はしたい。
そういう競技や組織から、お声をかけて頂けるような存在になりたい。
いつか本当に、すげぇーーー!!って言われるような、そんな配信をしてみせる。
配信者としても、日々勉強し、チャレンジし、そして成長していきたい。
終わりに
くったくたになって、長ーーーーく電車に乗り、でっかい荷物を持ってようやく帰宅した頃、玄関を開けるとひーちゃんがダッシュで
「パパーーーーー!!!♡♡♡」
と迎えに来てくれた。
私が格闘技だけに没頭していた頃、結婚も、子供も、どこか遠い未来の話のような気がしていた。
あの頃、しのぎを削りあった戦友たちも、会社員になったり、接骨院を開設したり、起業したり、自分のジムを持ったり、今でも現役で闘っている選手もいる。
時は流れゆくものなんだなぁと、しみじみ思いながら、娘をギューーーっと抱きしめる。
「パパ、今日ちゃんとお仕事できたよ」
そう言ったら、ひーちゃんはパパをいーこいーこしてくれて
また泣きそうになる・・・。
今日は一体何度泣きそうになればいいのか(笑)
与えられた条件と環境で
精一杯やる
そして結果を出す
一生懸命やった仕事は、きっとまた次の仕事を呼ぶ
娘に、胸を張って「パパやったよ」と
これからも
そう言える仕事をしよう。
どんな時も、全力で。
この娘の父親として、恥ずかしくない仕事を。
2021年10月17日
第27回全日本アマチュア修斗選手権大会をLIVE配信した日であり、
私の最愛の娘である 光 の3歳の誕生日。
私にとっては特別な意味を持つ1日だった。
この1日をどれだけ熱い想いを持って過ごせたか。
関わって頂けた全ての人に、ただただ感謝でしかない。
「人はそれを情熱と呼ぶ」
まさしく、この気持ちがそうなのかもしれない。
最後に、配信に載せたくて載せられなかった、幻のオープニング映像でお別れできればと思います!!
配信に載せられなかったのが悔しくて悔しくて、本当に悔しいので、是非見てください!!!!(´;ω;`)
これからも、誠心誠意頑張ります!!!!!!
今後ともよろしくお願いいたします!!!!!!!!
押忍!!!!!!!!!