21番外編❷【看板デザインの出力データづくり】
看板をデザインする仕事を数年していた。
それまで、紙の印刷物のデザインをしていたワテにとって、
同じグラフィックデザインでも違うものだな、と、その違いを楽しんだ。
デザインもさることながら、最終的なデータ準備の内容も異なる。
紙の印刷物は、ほぼそのまま印刷に回すだけだが
(厳密に言えば細かいルールがありますよ)
看板には、分割作業なるものが発生する。
看板は、大きなものになると、ほんとにデカい。
それをまさか、1枚のシートに出力するわけではない。
ワテが勤めていた看板制作会社では、出力シートの幅のMAXが1200ミリ(=1.2メートル)くらいだった。
シートの幅が1200ミリだから、データを分割する、というより、
実際貼る作業をする方のことを考えると、それ以上デカいと取り扱いにくいのだろう。
とにかく、例えば10メートル四方の看板を作る場合でも、それを1.2メートル幅のシートで出力したのを貼り合わせてもらうわけだ。
デザインを、出力用分割データにする。これがなかなか脳トレなんだが、
慣れると楽しいものだった。
MAX1200ミリだからと言って、
真面目に1200ミリずつで分割していけばいいわけではない。
例えば下から1200ミリずつの幅で板に貼ってって、
あれれ、最後のシートだけ50ミリ幅です、とかってかっこ悪いやん。
だから、1200ミリ以下で均等にほどよく分割するんだねぇ。
ただ分割すればいいわけではなく、
看板ベースの板の上で、
シートが2センチくらいずつ重なって貼られる。それを考慮しんとかん。これが、最初、むずい。
片側にだけ2センチ余分に絵柄を作りつつ、ここが隣のシートと重なるラインですってのを、貼る人にだけ分かるように薄く小さくラインを入れる。これは看板デザイン独特の作業だね。
分割データを作る時、マスクをかけるが、
マスクが変にズレたらまずいのやで。
だから分割データを、画面上で貼り合わせる作業をするといい。貼り合わせた時に、仕上がりサイズにちゃんとなるか? 仕上がりサイズと一緒にならなかったり、絵柄がうまいことつながらなかったら、どこかが間違ってるぞ、危ない危ない。
また、あらかじめベース板にシートを貼ってから現場に持って行くのか、
現場にある板に貼るのか、によっても
データ分割を、縦向きにするか、横向きにするか、
左下基準で貼り始めてもらうのか、
左上基準で貼り始めてもらうのかが変わってくるのだった。覚えることがいっぱいあるねぇ。
そもそも看板ってデカいから
1/10サイズで作る。それも最初混乱する。
2センチ幅にしたければ、データ上では2ミリにする。
0.3ポイントの太さの罫線にしたかったら、0.03ポイントにする。
慣れるまでは、え〜っとぉ。。。⁈ってなる。
というわけで、
看板制作は、デザインも奥深いが
出力データ作りもなかなか慣れるまでコツが要るものである、が、
慣れると脳トレになって実におもろかった。