21番外編❶【看板デザインのおもしろさ】
ワテは、新卒で印刷会社にデザイナーとして就職し、
途中で、看板会社にデザイナーとして転職し、
その後また別の印刷会社に転職した。
つまり、同じデザイナーでも、
紙の印刷→ 看板→紙の印刷
というように変わった。
紙と看板、
どちらも同じグラフィックデザインだが、
やってみると、結構コツが違った。
どっちも経験して、おもろかった。
看板はシンプルだが、だからと言って印刷物より簡単というものではない。あれはあれで奥が深く、極めたら楽しいと思う。
看板っつーのは、
行き交う人々の目に触れるのは一瞬である。その一瞬が勝負である。
だから、ダラダラとあーだのこーだの言っている場合ではない。
一番シンプルなのは、
会社名、電話番号、矢印による道案内などで構成されたものだろう。
入れる文字数が本当に少ないので、
1文字1文字の大きさ、文字間隔も丁寧にきちんと整える方が良い。
そもそも美しい文字間隔のことだけ考えても奥が深い。これだけでも深い。
スペースに余裕があれば、
コピーやビジュアルが入ってくる。
コピーが入る場合も、せいぜいキャッチコピーだけだろうか。人々がとにかく一瞬しか見ないから、瞬間的に内容が伝わらないといけない。だからよっぽどコピーやビジュアルが洗練されていたりパンチがあったりしなければいけないだろう。シンプルがゆえの難しさがある。
また、看板においては、グラデーションやら立体的なデザイン処理が必ずしも良いわけではない。かえって読みにくくなることがある。これはワテもやり始めてから認識したことである。
自分が制作したものをいざ街中で見た時に、おや?読みにくいな、と思ったことがある。
凝れば良いわけではない。とにかくシンプルな方が良い。これは印刷物との大変大きな違いである。
看板の大きさも考慮しなければならない。
例えば3メートルの看板があるとして、
それまで、せいぜいA3サイズとかの印刷物を制作してきた人間からしたら、初めて3メートルの看板の出力を見たら「デカいな〜」と思うものである。
ところがいざそれが街の中に取り付けられると、驚くほどちっちゃい。
屋外の広い空間においての3メートルなんてほんとちっちゃい。
取り付けられた時のサイズ感を想像して制作した方が良い。
一番良いのは、取り付け現場の風景(そこにある看板ベースの板を含む)を営業マンに撮影してきてもらうことだ。
そうすれば、デザイン案と合成して、
実際取り付けるとこんな風に見えます、と提案できる。デザイナー自身も、そうかー、このデザインを取り付けるとこうなるのかーと理解できる。
取り付け位置の高さの問題もあるだろう。また、歩いている人が見るのか、長い信号待ちをするドライバーが見るのか、
いろいろ考慮すると奥が深い。
とにかく看板デザインは、シンプルに。
そして、文字数が少ないからこそ、文字サイズ、間隔を1文字1文字いちいち丁寧に整えることが大変重要である。
とワテは思った。