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吐くこと。

「呼吸が苦しくなったら、まず吐くこと。吐いたら吸える。先に吸おうとしても入ってこない。」

父親から授かった、おそらく人生で唯一タメになった言葉だ。

これはぼくが中学で長距離走や駅伝の選手に選ばれて練習していた頃、陸上部出身の父が教えてくれたことだ。

それは単に、陸上競技的な「呼吸法」の話だったはずだが、どうも他の事柄にも置き換えられる。

ことに、人生におけるデトックス、代謝に際して、今ふと思い出された。

呼吸が乱れているときというのは、不安で仕方がない。これより先に走れるのか。どんどんペースが落ちていくのがわかる。
ここでひとつ、頭を冷静にして吐くことに集中し、呼吸を整える努力をする。

長距離走や駅伝といった競技的なものと、人生とで、最も大きく違うことは“止まって休める”ということではないか。
止まってしまえば、抜かれるし、追い付かないかもしれないけれど、そもそもゴールの場所が明確に定まっていないのだから、抜くも追うもない。
自分のペースを維持すれば良い。

というようなことを吐き出しながら、呼吸を整えて、ルートを考え、機を図っている。
その横を、或いは前を、どれだけの人々が猛スピードで走っていったとしても、そのレースはぼくには関係がない。
そう思っていないと、焦るばかりで、ますます呼吸が乱れてしまう。


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