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500文字の建築試考「現象」

私はいつも、見たことがない現象ワクワクする文化をつくりたいという思いで、建築のことを考えている。

まずはそのひとつである現象についての500文字。

現象という言葉は日常生活の中でもよく使われる言葉だと思う。
気象現象、自然現象、社会現象などなど日頃ニュースなどでも扱われる馴染みのある言葉ばかりだ。

しかし私がつくりたい現象は豊かな体験を生むようなものと自分の中では考えている。
そしてよく考えると次の3つの特徴があってこそ成り立つものだと思う。

① たまたま出会ったという偶然性 =「素晴らしい瞬間」
② 様々な背景が絡み合って起こるという複雑性 =「様々な思い」
③ その場にいるという感覚を引き起こす物質性 =「凄い雰囲気」

この3つが組み合わさったところに生まれる現象が私の目指す現象である。

思えば自分が人生の中でも心揺さぶられ、感動し、記憶に深く残っているとような体験はどれもこの3つの条件に当てはまるような現象の中で起こったことだった。

山梨の祖母の家の裏に雷が落ちて、光と轟音に包まれた幼い時の体験。
ブラジル人の熱気と迫力に圧倒されながら見た、揺れる豊田スタジアム。
シーランチで眺めた、夕日から星空へと変わる目一杯広がった水平線。

心の中に蓄積されていく現象の記憶の中にある建築の形を見たい。

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