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「HOME SWEET HOME~ロック&ロック&ロック」 第2話

「「HOME SWEET HOME」ロック&ロック&ロック」第2話

                                   渡邊 聡


 ランドマーク全体が影になって、神々しい光の中に、立脚していたよ。 ぼくはとアンナは座ったまま、抱き合い、ぼくはいつまでもアンナの髪の毛を撫でながら・・・ぼくらは静かに泣いていたと思う。解らなくなんかないよ。アンナの作り話でもない。ぼくだからこそ、それは、解ってる。なにが  変わったって?そう、実感と、同じかな。幾つかの言葉の意味を、手に入れたんだ。かけがえがない、とか、時間、とか、命とか。
 その後、アンナとぼくはどうなったかって?
 じゃぁ、これから、その話しをしようか。
 そもそも、この記憶はなんなのか。ぼくにはわからないけれど。

ぼくがアンナに話して聞かせた命の話の追憶

友だちのおかあさんと。 綺麗なヒトでした。細面で、顔立ちが整っていて、トンボ眼鏡をとったら、どんなモデルさんも顔まけでしたね~。友だちのおかあさんなんだけど、キュ、ボン、キュの、背が高く、スタイルも日本人ばなれして。二の腕が細く、足はカモシカのようにまっすぐに伸びていて、バストが大きい、ヒップがあがっていてね。その息子、つまりぼくの友だちは、背も小さくてひよわなんだよ。だから、彼をぼくがいつも庇護する感じ。いじめられないように、ね。だからかもしれないけど、ずいぶんおかあさんから、友だちと一緒にぼくも、かわいがられました。実はぼくは精通が早くて、小5の時かな。最近はその程度のマセ具合は、あたりまえなのかもしれないけどね。
 ある夜突然心臓発作のように、ビュッビュ白い液がのたうち回るような快感とともに飛び出して、あわててちんこを握ると、またビュッでしょう。最初の夢精は、あとかたづけがやたら大変だったのを、おぼえているなぁ。その後は毎晩まさにマスカキ猿。
 でね、当時ぼくの家、府中市の日鋼町にある日鋼団地の一階。
 友だちの家も、同じ団地の同じ号等の一階。
 階段の横に、洗面所の窓があるわけ。その洗面所に取り付けてある窓の上側が外に、45度ぐらい開くわけよ。

 ぼくの家は男兄弟だったから、ちんこから白い液が飛び出したことは、深刻に悩ましい出来事だったけど、そのうち判るわけ。これは病気ではないのではないか?と。第一、気持ち良すぎる。そして気づいてくるんだよね、何を目にすると、何を嗅ぐと、ちんこが大きく膨らみ、白い液が出るのか?そう、オンナです。
 ある夕方、電燈が灯る時間に、ぼくは帰ってきました。友だちとバイバイして、さぁ、家だって、何気にみると、友だちのおかあさんが見えるじゃない。その窓から。45度ぐらい開いた、洗面所の窓から、ね。でね、よく見える角度まで、歩をすすめると…。なんと、友だちのおかあさん、シュミーズ姿なんだよね。ドライヤーをかけてるわけ。もう、咽から心臓が飛び出てね。動悸がドッドッっと、痛いくらいだった。ほんの一瞬だったんだよ、その時間は。ただ、焼きついた。肩と、脇の白さ、陰影のコントラストが。なにより豊かに隆起し張り出した胸が。でも、止まって見る勇気はまだ、ないわけさ。で、すたすた家に帰った。でも、焼き付いちゃっているんだよね。すぐ自分の部屋に直行。膨らんでそそり立つちんこを握りながら、目を閉じて反芻する。あの、おっぱいの突き出方!もうバッチリと。勢い良く飛び出した白いのをティッシュで受け取っても、治まらないわけ。なにせマスカキ猿だから。未練タラタラですよ。なんで、もっとじっくり見なかったんだよってね。勇気を出すべきだ!なんて。若かったんだね。性衝動も半端じゃなかった。また、外に出ちゃったんだ。

 たまらず家を出たぼく。サッと目配せすると、洗面所は暗い。近寄ると、奥が薄明るく、友だちのおかあさんは現在、入浴中のもよう。そのままぼくは、ランニングを始めた。当時、野球部だったからね。日鋼団地の周回はちょうど良い距離で。だけどその夜のランニングは発情ザル状態だから、獲物を狙う狩生のように、道行くオンナを捜しながら、ハアハア走る。一周して戻るとま。だ、入浴中のよう。二周して戻ったら…。

 ビンゴ!洗面所の灯りが、コウコウと。弾むイキを殺し、階段によって見ると…
 上空き40度の窓の隙間から、バッチリ!鏡に向かう、友だちのおかあさんの、シュミーズ姿がすぐそこに、見えるではないか。すると、もう暗がりなんだけど。お隣さんの洗面所の電気は、まだ点いている。でも、友だちのおかあさんの姿は見えない。で、その日はやむなく戻りました。硬く張る下半身を抑えながら。
 もうすぐ中学生も半ばって頃のことです。 
 その後、何回か、試みました。どうも、友だちのおかあさんは、フロに入る時間が一定のよう。で、やばいわけ。この年頃のメンズの性衝動ってのは、本当に強くて。その強さを性差として、客観的に理解している女性は少ないでしょうね。
 ぼくも最初はビクビクと周りの目を気にして。やっぱり悪いことをしているっていう意識はどこかにしっかりあるんだよね。だから、さっと見て、さっと帰るって感じだったんだけど、その時間の、一般的な家庭は、夕食の支度時だったんだろうね。それほど人が通らないわけさ。だから、すぐ大胆になっちゃてね。3回・4回はバッチリ覗くことが出来た。それも垣根越しだけど、二、三メートルの、かなり至近距離から。張り出したズボンの膨らみも気にせずね。

 ところが、ある日、電気が点いてないんだよ。でも、いつもの時間のいつものように、窓は開いている。ぼくは不思議になって、窓に近づき中をのぞきこんだんだよね。あれっ?なにか、見える…。なんだろう?そして、もっと近づく…。もっと近づくと、そこに友だちのおかあさんの顔が、くらがりの中に浮かんでこちらを見ていた!
 まいりました。目をふせ、ちんこをたたみ、家にすごすごと帰りました。心臓をバクバクさせて。冷や汗をかいて。その夜の長いこと!生きた心地しなかったね~。いつ電話が鳴るか、いつ母親に告げ口に来るか。家の母親と友だちのおかあさんは親しかった。友だちのおかあさんの姉御的な感じで、二人は仲が良い。ぼくの母は厳格でね。ヌード写真なんかに興味をもつと、いやらしい!ふけつだ!とこっぴどく責めるわけ。それがトラウマになるぐらいで。わが子の性を受け入れ、一緒に学んでくれれば、少しは変わっていただろうな、と思うぐらい。で、固唾を呑んで、時間を過ごしたわけ。また、長いんだわ、時間がたつのが。でもその夜は、何事もなく終わった。

 翌日の午前中も、何もない。

 ぼくはもう脳天気になって、自分に都合よく考え、外に出て、隣の階段の正面を通り過ごそうと思ったら…。さっと、友だちのおかあさん、でてきましたよ。いつものトンボ眼鏡、美形の整った顔立ち、すずしく、やさしい笑顔。一見、何事もなかったように、ドーナッツ食べない?ってね。でも目は…、目は心なしか、笑ってはいず、初めて見る厳しさを宿している。シュンとなりました。血の気も一気に引いて、歩いているのに足が宙を浮いているよう。ついていきましたよ。ただ、身体は勝手に友だちのおかあさんに反応し、ねめてしまう。後ろ姿は美しく、本当に魅了されました。でも、やばい。ノロノロとぼくは、友だちのおかあさんの前まで進み、止まりました。友だちのおかあさんはぼくを玄関におしこみ、ドアを閉める。でね、家に入ったら、

 ガチャ。

 カギを後手で閉めるわけ。やっぱり友だち、なぜか家にいないんだよね。おされるように玄関をあがり、食卓とリビングの間まで進み、道をうしなってとまる。友だちのおかあさんは食卓にすすみ、イスを引いてぼくを待つ。

「すわりなさい」

 打たれたようにぼくは座りました。友だちのおかあさんは正面でなく、左前に座る。

「ドーナッツ食べなさい」

 友だちのおかあさんの目は、もう完全に笑ってなかった。目をあわせ続けることができずぼくは、下をみた。友だちのおかあさんのおなかの上に、大きな円錐がはりだしている。自分が恨めしかったですね。話しようにも、話すことがない。それに友だちのおかあさんの顔が、どんどんきびしくなっていく気がして。でね、ドーナッツ食っていると、友だちのおかあさんは、じっとぼくを見ているだけ。味がぜんぜんわからなくて、唾液も出てこず、無理しりドーナッツを飲み込んで。ぼくは泣きたくなりました。静かに声がして顔をあげました。

「どうして覗いたの」

・・・

「悪いことよ」

・・・

「わかっていたのよ」

・・・

「あんなことをつづけていたら、たいへんなことになるわよ」

 涙がにじんでくる。友だちのおかあさんのまじめな気持ちが、目を通してぼくにジカに伝わってきた。もうしわけなく、けれどこまったことに、本当にぼくはサルだった。友だちのおかあさんは、この上なく美しかった。今ならさらに、その美しさの価値がわかりますね。思い出しても、本当に美しい。スラッとしてスレンダーなボディとはりだしたゆたかなムネ。小顔。小ぶりのちいさくとがった鼻と、薄めのくちびる。パッチリとした目。そのすいこまれるような目と、
 いつわりのない心配を吐露する感情、あいてをおもいやるやさしさに、なぜかぼくは反応してしまっていました。まずいとおもうとうらはらにイキオイをまし、コントロール不能になる。アレよと言う間に、ぼくのジャージはもりあがった。そしてそれを机は、さえぎりようがなかった。

 ぼくの目から涙がこぼれた気がした。長い時間が経った気がした。音のない生暖かいため息が、何回か聞こえかかった。ぼくのブンレツ状態を、あるいはオトナである友だちのおかあさんは、理解したのかもしれない。場のキンチョウは、急速に弛んだ感じがした。

「こまったわね」

「しょうがない」

「いらっしゃ」

 けれどきたのは、友だちのおかあさんだった。友だちのおかあさんは立ち上がってぼくをそのまま抱きしめた。ムネの弾力の強さを、ぼくは生まれて始めて顔で感じた。

 一瞬が永遠に感じました。肩をつかまれ立たせられる。フラフラ立つと、友だちのおかあさんはしゃがみジャージをおろすと、ぼくのソレを口に含んだ。

 生あたたかいヌルヌルに包まれた感触と共に、ぼくはその場で爆発してしまった。

 友だちのおかあさんが受けた衝撃も伝わってきた。だけど友だちのおかあさんはそのまま口をはなさなかった。

 波がやってきた。壁当てのようにまた、ぼくのモノからいきおいよく発射される。

 ノドにあたる音が聞こえるようだった。友だちのおかあさんは少し震えていた。けれど一度、ゴクリと音を発てて飲み干すと、含んだ口をすぼめて密着させ、

頭 を前後に動かした。中で生暖かいヌルヌルが動いた感触がした。困るほど噴出はとまらなかった。またぼくのモノからすごい勢いがビュッと噴出しそのたびごとに、友だちのおかあさんの咽から、ゴクンと嚥下する音がした…。

 本当にマスカキザルだったのだと思う。ぼくのモノはまったく軌道を逸してしまって、ぜんぜん平常時に戻らなかった。友だちのおかあさんに手を引かれ、みたこともないベットにいっしょに横になった。ムネの感触を手のひらに始めて感じ、口のなかにほおばった。ミツがタレて匂いをはなつジャングルの飛まつを頬に浴びながら、

 舌でそこらじゅうを舐めまわした。そしてコチンコチンのぼくのソレがグニュっと友だちのおかあさんのソコに根元までくわえ込まれたとき、また中で爆発した。

繰り返し、繰り返し…。

 これがぼくの、生れてはじめての、淑女との結合でした。それはあまりに寛大でやさしく、潤いと慈愛に満ち溢れたものでした。歓喜と申し訳なさでいっぱいでした。

 我慢できなくなると、時々友だちのおかあさんに会いに行き、お願いし、ぼくは友だちのおかあさんの中で、こころゆくまで爆発した。

 その冬、友だち一家は、九州に転勤した。友だちのおかあさんは、転勤のことを知っていたのかもしれません。別れの時の握手と、抱擁。その後、時々母に、はがきがとどき、ぼくへの感謝が添えられていた。ぼくが友だちの盾になっていたことが、友だちのおかあさんはよほど嬉しかったようでした。

 それにも増して、ぼくを認め、受容し、励ましてくれたことが、危うい年代に突入したぼくを安らかな安定に導いてくれた。まさにぼくの人生は、淑女のおかげで開かれたと、感謝の念でいっぱいです。


 気が付くと、憤怒にまみれて、観たこともないアンナがそこにいた。手に持つ物の切っ先が、朝陽を浴びて乱反射する。了

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