【おもしろいの正体:22】あ、おもしろいと思った瞬間、呪いが解けたみたいな気分になる。
今回もIPPONグランプリ
おもしろかったですね。
お笑いの中でも「アイデア勝負」感が強いので
いちばん好きかもしれません。
おもしろいこととして考えたものが、
相手に受け入れられるかどうか。
それがすごくわかりやすい作りになってる。
ネタがおもしろいだけでは
IPPONは取れない。
たぶんアレで勝つポイントって
それを「いつ出すか」だと思います。
同じ回答でも、最初に出すのと
何人か答えた後ではウケ方が変わる。
一人目は様子見られてウケづらいとか、
長めの答えは理解が高くなってからとか、
終盤は理屈がない勢いだけのが勝つとか、
直前の答との関係でももちろん変わります。
これってつまり
周りの状況次第で
おもしろい、の基準が変わる
ってことです。
おもしろい、はそのものだけでは決まらず、
それが受け手に届いたときに決まるわけです。
おもしろいは伝わってなんぼ。
おもしろい、は、アイデアとして
思いついたときがゴールじゃなくて
それが届いて、ウケたことで成立する。
ということですね。
だからアイデアそのものを
考えるのも楽しいですが、
それをどう届けるかを考えるのも楽しい。
いろんなアイデアが生まれては消えていく。
もちろんほとんどは、
中身がイマイチで消えるんだけど。
もともと
アイデアとは未完成なもの。
だからと言って調整するとつまらなくなるし
未完成の尖った部分は残したままで
ちゃんと受け入れられるものにしたい。
そのための届ける技術というのが、
実はおもしろさを作るために必要な
50%じゃないかと思っています。
この伝える技術、届ける技術は、
アイデアを考えることと別のものだと
考えがちですが、実はそうではない。
思いつくためには
それが欲しいと思う理由が潜在的にあって、
思いついたものは、
その理由に向けて届けられるものだから、
これらは全て一連のものだと言えます。
(ややこしくてすいません)
誰のためでもないアートはちょっと違う
かもしれませんが、
いわゆるクリエイティブワークと言われるもの
それらには必ず最初に課題がある。
課題は基本的に
負の感情を背負っている。
課題があってアイデアを出す場合、
その課題というのは
どれも負の感情を持っています。
そもそも答が必要だという
悩みがそこにあるから。
つまり、課題というのは呪いとも言える。
課題に応えようとして考えることは
その呪いを解く作業だったりします。
だからいいアイデアが課題を解決すると
スッキリして、すごくいい気分になる。
憑き物を落とす。
僕が仕事のプレゼンを行うときには、
呪いを解く陰陽師だと思ってやってます。
なんかカッコいいしやる気が出る。
(言うとカッコ悪いから人には言わない)
すごくつまらない課題があったとしたら
こりゃ低級の除霊だなと思えばいい。
逆に相手が特級だったら、
これは相当の技を使わないと勝てない。
話が逸れましたが…
課題は事象ではなく
感情だったりする。
課題は一見、困っている事柄に見えますが、
実は困っている人間や感情だったります。
だから相手の疑問や不安を解消することが
答えの本質なことが多いです。
そして相手はその不安の正体がわかっていない。
どうすれば解決するのかが
わからないから不安なわけで、だから
それを解体してわかるようにしてあげる。
相手にも漠然とは思ってることはあります。
思ってるけどカタチになってないもの、
それをカタチにしてあげる。
迷ってる(と見えてること)に、
答を出して背中を押してあげる。
呪いにかかってる(と思い込んでる)
ことを、晴らしてあげる。
仕事と単純におもしろいと感じることとは
違うのかもしれませんが、
このモヤモヤが晴れてスッキリする感覚が
おもしろいのひとつの答えだと思っています。
呪うの反対語は何?
また話逸れますが、
「呪う」の反対語って何だと思いますか?
「祝う」なんです。
意外ですよね。
そう言われれば漢字が対になっているなと
思うかもしれません。
一般的に「祝う」って
ただの行事っぽい感じするけど、
そこには幸せに向けた「祈り」がある。
ひとに「おもしろい」を届けることは
呪いを払ってマイナスをゼロにする
だけじゃなくて、そこにプラスの
ハッピーを届けるものじゃないと。
などと思ったのでした。
次回は
おもしろいを届ける技術について。
【おもしろいの正体:23】プレゼンにおもしろさは必要か。
気が向いたら、また遊びに来てください。