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”まさか自分が?”から始まった男性不妊との向き合い方。
30歳を過ぎてから、仲の良い友人たちと話をする中で、「不妊」に関する話をする機会が増えました。
20代の頃は話題にならなかった(年齢的に気にする人が多くなかったからかもしれませんが。)のですが、30代になると子どもがいる友人も増えてきました。
そうなると、子どもを望む夫婦は少なからず意識しますし、子を望む一方でなかなか妊娠に至らない時間がやきもき感じることもあるかと思います。
実際、私もその一人でした。
この手の話は割とセンシティブなので、仲の良い友人ともほとんど話をしてきませんでした。
でも、30代になってみると、少しずつ「不妊」に関連する話をする機会が増え、よくよく話を聞いていると、予想以上に多くの友人が「不妊」に関して悩みを持ち、行動している(過去していた)経験があることがわかりました。
「不妊」かもしれない。だとしたら、まずは何をしたらよいのだろうか?
「不妊治療」って高額なんじゃないの?
助成金もあるみたいだけど、小難しくてよくわからない・・・。
このあたりは、最初にぶつかった壁として、多くの友人が共通して言っていた内容で、私も同じでした。
病院や自治体のホームページに書いてあることもよくわからない。
おまけに高額な治療費がかかるのかもしれない、と思って結果的に二の足を踏み続けたまま時間が過ぎていく。
私もまさにこのパターン。
私たち夫婦の場合、結婚当初から子どもはそのうち欲しいけど、授かりものだし期待しすぎず気長に待ってよう。きっと「そのうち来てくれるよ」というような姿勢でいました。
しかし、その後私と妻は結婚後3年半が経過(2023年当時)していましたが子どもはまだでした。
待てど暮らせど「そのうち」はなかなか来ず、周りの友人たちが先にパパママになっていく。
最初は楽観的だった妻も、そして私も次第に焦りを感じてきました。
この「焦り」がなかなか厄介でした。
常に同じくらいの「熱量」で焦りを感じているのであれば問題ないかもしれませんが、
・先んじて焦燥感に苛まれる『妻』
(少しずつ「不妊治療」が現実味を帯び、すでにしっかりリサーチし始めている)
・やや焦燥感はあるがまだ楽観的な見方をしている『私』
(「不妊治療」も頭をよぎるが、内心ではまだかな…と思っている)
こんな感じで、エンジンのかかり方には時期ズレがあったりします。
するとどうしてもすれ違いが生じやすくなります。
妻からしたら、当時の私の行動や言動は「真剣に考えていない」ように見えるし、それをややトゲのある言葉で伝えられた私はやや意固地になる。
そして、「子どもが欲しい!」という共通する将来の望みに関する話はいつのまにか取扱注意な話に変わる。お互いがこの件について話をしづらくなる。
まさに典型的とも思える悪いスパイラルに私たち夫婦ははまっていたようです。
「不妊」の定義とは?
ところで「不妊」の定義をご存知ですか?
「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。
この定義にあてはめたら私たち夫婦はまさに「不妊」。
妻との会話の中でこの定義を知り、自分たちは「不妊治療」が必要なのかもしれない、と思うようになりました。
「不妊」は女性だけでなく男性も向き合う必要があるもの!
さて、「不妊の原因は女性にある」というイメージを抱いている方も多いのではないでしょうか。
今思えばなぜ男性(自分)は大丈夫だと思っていたのか、大変お恥ずかしい話ですが、私も少なからず「不妊=女性側の原因(が多い)」というようなイメージを持っていました。
しかし、実際には不妊の原因の約40~50%が男性側にあるそうです。
男性不妊の主な原因は、
✅精子の数が少ない「乏精子症」
✅精子が全く見つからない「無精子症」
✅精子がうまく動けない「精子無力症」
などがあります。
これらは生活習慣やストレス、加齢、さらには病気などさまざまな要因で引き起こされるようです。
先に触れた通り、私自身も「男性側にはあまり関係ない」と思い込んでいた一人でした。
ただ、妻と「不妊治療始めてみようか!」、と本格的に話をし始めたタイミングが契機となり、私も「不妊」について真剣に調べ、その中で、男性側に問題があるケースも多くあることを知りました。
そして、次第に自分も検査しておいた方がいい!と思い始めるようになったのです。
しかし、「治療」の前段階の「検査」ですが、この検査費用なかなか高額です。
心の奥底では天秤が揺れていて、
『やっぱり検査なんてしなくていいのでは?』
『いやいや、やっぱり検査しておくに越したことはない!』
そんな二項対立した考えが自分のなかでせめぎ合っていたりしました。
でもそこは結婚してから3年半。
年齢的にも悠長なことは言っていられないし、問題があるなら早めに対処できるようにした方が夫婦の精神衛生上よいだろう。
夫婦でしっかりと話しをした上で、ともにこの考え方はブレなかったので夫婦で一緒に検査することから始めました。
「不妊検査」が私たち夫婦にもたらしたこと
私は一昨年の6月頃、男性不妊の検査を受けました。
33歳の時です。
妻側の検査と時期を同じくして、私も検査を受けた形です。
検査の結果はというと、「基本的には問題なし」でした。
詳細はこの場では割愛しますが、少なくとも私たち夫婦の場合、検査結果だけで言えば、タイミングなどの条件が合えば十分に「妊娠可能である」という結果だったのです。
これがわかったことは私たち夫婦にとっては、すごく勇気づけられる結果でしたし、とてもポジティブに思考できるようになりました。
今振り返ってみると、「夫婦一緒」に検査したことにはメリットが多かったと思っています。
具体的には、
✅「なんとなく」ではなく「本気」で子どもを望む姿勢が鮮明になった(それを共有できた)
✅検査結果で「妊娠可能であること」が明確になったことで精神的な余裕が生まれた
✅(検査結果踏まえた今後のアクションなど)将来に向けた具体的な会話ができるようになった
といったところが大きいです。
夫婦の中にやや話しづらい空気を作ってしまっていた「熱量の差」は縮小し、(妊娠できない体だとしたら)ひょっとして意味ないかもしれないと内心で感じていた不安・懐疑心が払拭され、身体の状態が見えたことで、暗闇の中であれもこれも悩む必要なく、明確なアクションを起こせるようになったわけです。
そして現在へ。
そして、2024年に「妊娠」が判明し無事に今では息子が生まれてきてくれました。
「妊娠」は奇跡だと思いました。
ゆえに、なにが良かったから「妊娠」したのかなんてわかりません。
別にこの記事で書いてきたような検査をしなくたって、結果的に息子が生まれてきてくれたかもしれません。
でも、閉塞感があった状況を打開しようと夫婦でしっかり向き合い、一緒に踏み出せたことは確実にいい影響があった!私は振り返ってそう感じています。
最後に
先に触れた通り、なかなか「妊娠」できないことに対して、どんなアクションを起こしたらよいのか?調べてもよくわからない、なんてことは決して珍しくないと思いますし、あたりまえの話だと思います。(医療従事者でもない限り)
いきなり「治療」に入らずとも、悩むくらいだったら、まずは自分自身の状態を知ることから始めたらよいと私は思います!
特に私が強調したいのは、『夫婦ともにまずは検査を一緒に受けたらいい』、ということです。
あたりまえですが、「女性側に問題がない場合」あるいは「女性側の問題があったが解消できた場合」どちらにしても結局男性側に問題あったら「妊娠」が難しいかもしれないわけです。
不妊の原因の約40~50%が男性側にある、ということを踏まえれば、これから一緒にがんばってこう!というタイミングで夫婦一緒に「検査」しておくのがよいと思います。
「まだ大丈夫」と先延ばしせず、一歩踏み出すことで未来への選択肢は確実に広がると思います!
少しでも今お悩みの方の参考になれば幸いです。