2010年代 世に出なかったカメラ・レンズ大手篇

はい、先日は初心者未満の方向けの優しい記事を書きましたが今日は2周回っているような人向け。
というか、個人的に面白がってウォッチしていた製品のなれはてとかそういうやつです。
有名なライン、ニコンDLとかペンタックスK-1(仮)とかは対象外です

あ、素人が集めた情報ですので認識違いがありましたら指摘いただけるとありがたいです。


今日は大手(というか割とちゃんとしたメーカー・ブランドが)高らかにぶち上げて(あるいは噂話がポップして)
その後撤退宣言したり、音沙汰なく消滅したり、意匠抵触食らって消えたりしたもろもろです。

基本的に
・市場の読み違え
・開発遅延しているうちに市場変化
・経営陣/方針の変化
・協力会社との連携
なんかが主な要因のように思います。

SHARP マイクロフォーサーズ8kビデオカメラ

情報

2019/1 CES2019にて参考展示
2019/4 m4/3規格参画、国内お目見え
2019年内発売予定

史上初の民生用8kカメラ
・型番8C-B30A
・自社製CMOSイメージセンサー採用
・マイクロフォーサーズマウント
・ボディ内IS
・4k60p/8k30p
・SD(UHS-II)1スロット(CFexpressにすべきだった?)
・3000~4000USD
という話でしたが、その後音沙汰なく現在に至ります(2022/1頃に界隈で撤退かという話がポップしていましたが…)

憶測

・何か不具合があって遅延?
・CANONから8k30p対応のEOS R5 が2020/2に発表、2020/7発売(売り出しで50万JPY弱)となりまして商品性なくなった、と判断された?
・社長交代(2020年 戴正呉氏→野村勝明)の影響(ただあまり動き方が変わった印象はないんですが)

ちなみにシャープのイメージセンサカタログにはコレ用と思しきセンサが現在も掲載されています

2019/4国内発表時のお写真(AV Watchより)
2023/11時点 シャープCMOSイメージセンサラインナップ


SchineiderKreuznach 交換レンズ

情報

・2010/9 フォトキナにて一眼レフ用ティルト/シフトレンズ発表(翌年発売予定、日本では2012リリース)
・2011/2 m4/3規格参画
・2012/9 m4/3用広角、標準、中望遠マクロを発表(2013発売予定)
 一眼レフ(EF/F用)広角、標準、中望遠マクロを発表
・2014/9 m4/3広角と標準マクロホットモックが展示
・2015/7 民生用スチルカメラレンズ撤退宣言
ティルト/シフトレンズ以外はいずれも日本での発表はなかったと思います。

一眼レフティルトシフトレンズ
ローライの倒産(2009)でHy6向けレンズの在庫処分したかったのでは、という気がうっすらしますね…28mmは関係なさそうですが…
・PC Super-ANGULON 28mm f2.8 マウント交換式(MFマウントほぼ網羅)
・PC-TS Super-ANGULON 50mm f2.8 HM EF、A、F、Kマウント
・PC-TS Macro-SYMMAR 90mm f4.5 HM EF、A、F、Kマウント
このほかLeica SマウントにSymmar 120mmF5.6なんてのもありました(純正扱いだったかも)

m4/3用
・Super-Angulon 14mmF2
・Xenon 30mmF1.4
・Macro-Symmar 60mmF2.4
スペック的にはAPS-Cへの供給を想定していたように見えます

フォトキナ2014展示。マクロと標準が合体してる…(ephotozineより)

フルサイズ一眼レフ用
・Xenon 35mmF1.6
・Xenon 50mmF1.4
・Macro-Symmar 85mmF2.4
こちらは群枚数の他、フィルタ径、絞り羽枚数、最短撮影距離などかなり具体的なスペックまで出ていましたが…

一眼レフ用レンズスペックシート(公式 webarchiveより)

SchneiderKreutznachは(一番古い母体は)1890年創業のレンズメーカーで産業用、ムービー、ライカ判、中判、大判、映写用などあらゆるジャンルでレンズを供給しているメーカーでした。現在は産業用をメインに動画(特に映画)用と中判用(主にPhaseOne)にレンズの供給をしています。
直近ではSamsungのデジタルカメラ(2016年に事実上撤退)レンズの銘に使われていました。
Samsungとペンタックスが協力関係にあった時期(2005〜2010頃?)にはSamsung銘のカメラにシュナイダーレンズ(いずれも設計開発生産はペンタックス)というような存在もありました(日本未発売)

憶測
・2012年にCarl ZeissがTouit(広角、標準、マクロ)をSony Eマウント向けに発表(発表はシュナイダーより先)、翌年発売(のちに富士Xもリリース)
この辺との競合が厳しかった?
・思ったより単焦点のニーズが少ない、というような判断があったのか?
・純正で単焦点が思ったよりも早く供給された?
(m4/3もSonyも2012秋ごろにはこの辺のレンズはそろっていた)
・同時期(2012年春)に京セラオプティック(旧富岡光学)が複数のドイツメーカー※から開発・製造への協力を打診されていた、という話があります。結局これがどうなったのかは不明ですが、この中にシュナイダーもいて折り合いがつかず計画が流れた可能性もあるのかな、と思います。
 ※複数っていってもレンズブランドが生きているドイツ系メーカーって
 Carl ZeissとSchineiderKreutznachとRodenstockしかないんだけど…
・2015~16年に社長交代があったけど関係はあるのか?
完全に個人の印象だけどその辺の時期から映像系(動画・中判含め)で存在感薄くなってる気がするんだよなぁ…

Zeissが撤退の噂などもありますし(少なくとも数年新規リリースは止めています)、ドイツ光学機器メーカーのカメラレンズもどうなりますやら…

Poraloid iM1836

こちら一応、いったん売り出した(らしい)んですが、ソッコー販売差し止め食らってその後消えたので「世に出なかった」枠とします

情報

米Sakar InternationalがPolaroid商標を取得
2013/1 CESにてAndroid搭載レンズ交換式カメラ(コンセプトモデル)を展示
同年第1四半期に399USDで発売と発表
2013/10 ニコンがデザイン特許権等侵害訴訟をニューヨーク州南部連邦地方裁判所に提起(販売差し止め請求)
2013/10? ほぼほぼそのまんま発売(したらしい)
2013/12 ニューヨーク州南部連邦地方裁判所が販売などを禁止する仮差止命令、販売停止
以後音沙汰なし

発表したその瞬間にNikon1 J1(2011発表発売)に酷似していることは各方面より指摘されるところでした。「話はついてるのか?」「デザイナー同じでもこうはならんやろ…」
で、訴訟で案の定となったわけでした。
ちなみに兄弟機にiM1030とiM1236Wが発表されておりこちらはデザイン等に問題がなさそうでこっち売ってれば良かったのに…(発売されていない模様)

なお、実機はそれなりに市場に出たらしく日本でも2016年頃「ebayで中古を安く買った」という記事が2件ほど出ています。
ご感想としては
・AFが遅い
・動作が不安定でカメラアプリがよく落ちる
・電池がもたない
という感じらしいです。

ちなみにこれ、ニコン1と同じレンズ交換式と思いきやリコーGXRと同じくレンズと撮像が一体化したユニットになっているらしくとてもアレ。
Androidはボディ側だろうから画処理エンジンが(たぶん)ボディ側にあるってところはGXRと違っていますが…

憶測
・「中国メーカーに何もかも外注してチェックもろくにしなかったのでは?」などという説を某所で見たことがあります。
真偽は闇の中です。なお、兄弟機の外装を中華安カメラに転用した例などが発見されています。
・Polaroid社自体は2001年と2008年2度にわたって経営破綻していて、複数回オーナーが変わるなどしていて正直何がどうなってこうなったのかは不明。2017年にポーランドの富豪でインスタントカメラ好きの方(インスタントフィルム復活運動の旗手をしていたとか…)がオーナーとなって比較的安定した状況にあるっぽいです(断言はできない)

Polaroid iM1836(公式 webarchiveより)
Nikon1 J1(公式より)

Kenko Cマウントレンズ交換式カメラ

2010/9 フォトキナでCマウントレンズ交換式カメラを発表
発売時期は当初2011年初頭、その後(CP+)で夏
しかし、翌年CP+(2月)では展示もなくその後続報なし

m4/3にCマウントレンズが付くぞ!
ということで私みたいな人達が遊んでいた時期の発表でした。
当時、デジカメの展開もあったので、レンズ外してCマウント付ければでっちあげることはできたと思うんですが
Pentax Q(2011発売)あたりと被って回避したんですかねぇ…

2011年 CP+ ケンコートキナーブースでの展示(デジカメwatchより)
Pentax Q(初代) 1/2.3~1.7センサ 専用マウントだが各種アダプタあり
Cマウント、CSマウント辺りも使える

GE レンズ交換式に参入?

2011年3月頃にGEからm4/3ライクカメラが出る、というCNET記事がありました。
2009年頃日本市場に参入してきて勢いを感じていたので、何かあるのかも、と思いましたが以後何も(話題も)出てくることはありませんでした…
ちなみにこの頃の商売の仕方は、開発初手から中国でやって価格勝負、と言う感じだったようです。
PolaroidのアレかKodakのアレ辺りと関係あるのかなーなんて思ったりもしますがどうですかねぇ?

CNET Asiaの記事(ebarchiveより&google翻訳)


KodakのアレことPIXPRO S-1ちゃんとしたマイクロフォーサーズカメラ
開発(製造?)はJK imagingという本籍はアメリカの会社

いいなと思ったら応援しよう!